昨日リニアアンプの動作確認ができたので、IC-9700と接続してスプリアスのチェックをしました。スプリアスといえば、2次や3次の高調波を連想するのですが、これらはノッチフィルターやローパスフィルターで低減することも可能です。しかし、厄介なのは、エキサイター内部のローカルオシレータや変調の過程で混入したスプリアスです。
次の図は、IC-9700の出力を5%に絞って、リニアアンプなしの状態30dBのアッテネータを挿入して、435MHz±50MHz (100MHzスパン)のスペクトルを観測したものです。
453.75MHzにスプリアスがあり、-63.29dBcの強さであることが分かります。こんな周波数にあるスプリアスは、フィルターなどで除去することが極めて困難です。IC-9700の仕様では、スプリアス領域のスプリアス発射強度は-60dB以下とされており、50W以下の機種では無線設備規則の基準に合致するので、文句は言えません。しかし、IC-9700にリニアアンプを接続して500Wにパワーアップした場合、-70dBc以下という基準をクリアしなければなりません。残念ながら、それは無理だと言わざるをえませんので、変更許可を得ていますが、取り下げなければならないかもしれません。何か良い手はないのでしょうか?
一方、最近嵌っている、SDRで435MHzの信号を生成してスペアナで観測してみました。PlutoSDRとSDRangleを組み合わせました。SDRangleは色んな変調が可能で、送信もできるようになっていますので、SSBモードにしてシングルトーンを発生して実験しました。この時に観測したスペクトルを以下に示します。
439MHzに-72.6dBcのスプリアスがありますが、IC-9700と比べると、明らかにスプリアス発射強度が小さいことが分かります。これなら、リニアアンプと組み合わせても-70dBc以下を実現できる可能性があります。
しかし、PlutoSDRでEMEの実用機を作るとなると・・・結構な手間暇がかかりそうです。(;´д`)トホホ
IC-9700はダイレクトサンプリングということなので、ヘテロダイン方式のようにローカルオシレータはない筈ですし、PlutoSDRには、AD9363というアジャイルトランシーバチップがあるだけです。これらのSDRでもスプリアスが生じるのは、サンプリング周波数やデシメーションおよびインターポレーションなどによる影響なのでしょうね?!ということは、同じハードウェアを使っていても、SDRの頭文字でもあるSoftwareによって、スプリアスの強度や周波数が異なると考えられます。ひょっとしたら、IC-9700のファームウェアがバージョンアップされていて、-70dBcがクリアできるようになっていたら超有難いんですけど・・・