MAP65 v3.0.0-rc1には、WSJT-XやJTDXにあるようなTx-Delay(送信遅延)が設定できません。Tx-Delayが設定できれば、シーケンサーは不要な筈なのですが、アンテナメーカとして有名なエムスクエア(M2)には、”S2 EME SEQUENCER”という商品あるようです。そのマニュアルを見ていると、MAP65モードというものまであります。
MAP65で運用するには、シーケンサーが必要なのでしょうか?必要ならば製作しなければなりません。製作する前に、MAP65の送信時のタイミングを測定してみることにしました。
デジタルオシロのch1(黄色)にMAP65が出力する変調用オーディオ信号を、ch2(水色)にMAP65が出力するPTT信号(USBシリアルのRTS)を接続して波形観測しました。
最初の写真は、受信状態から送信状態に切り替わる時のタイミングです。PTTをONにしてから約1秒後に変調用オーディオ信号を出力しています。
2枚目の写真は、送信状態から受信状態に切り替わる時のタイミングです。変調用オーディオ信号の出力を停止してから約1.25秒後にPTTをオフにしています。
これらの波形観測から、送受切り替え用の同軸リレーやアンテナ直下型プリアンプの送受切り替えには、PTT信号を利用しても良いことがわかります。PTT信号によって、トランシーバの送受切り替えを行っていても、送受切り替え用リレーがメークする時やブレークする時には、変調された電波の出力がゼロに近いことは明白だからです。
では何故、M2の商品の存在価値があるのでしょうか?
それは多分、CWやSSBでの運用時および、V/H偏波のアンテナ切り替えを送信中は禁止するという機能にあるものと考えられます。手動スイッチでV/H偏波切り替えをやっていると、ついつい誤って送信中に操作してしまい、同軸リレーにダメージを与えてしまうという可能性が無きにしも非ずですからね。
波形観測には現れていませんが、PTTがONになるタイミングは、59秒から0秒になる時です。変調用オーディオ信号が出力開始されるのは、0秒から1秒になるタイミングであることを、時計とデジタルオシロの波形(電圧レベルの変化)を何度も見て確認しました。受信者から見ると、MAP65で送信した波形は1秒遅れでスタートすることになります。これが、DTにどのように影響を及ぼすのか・・・実際にQSOして確認してみたいところです。