院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

大量採用大量退職

2015-07-05 05:23:35 | 社会

(マンハッタン生命保険ビル。ウィキペディアより引用。)

 ひとくちに生命保険の外交員というが、新規顧客を取るにはもの凄い技術と知識が要るのだそうだ。

 大正生まれの亡父から聞いたことだが、生命保険会社は新しく採用した外交員(ほとんどが女性)の手腕にぜんぜん期待していないという。つまり、新規採用の外交員はまず親類縁者に保険を売る。多くの新規採用者はそれ以上の顧客を開拓できないから、やがて辞める。会社としては、保険契約だけは残るからそれで十分なのだそうである。これは「縁故販売」だけを狙った狡猾な採用法である。

 さいきん流行りの「ブラック企業」 (2013-08-21) は、大量採用して大量退職するから、就活に際してはそのような会社に気をつけろと言われる。大量に採用してシゴいて、生き残った者だけを出世させるシステムである。(これは見ようによっては、適性試験の一種だとも言える。)

 しかし、大量採用大量退職の会社の中には、上の生命保険会社のように、縁故販売だけやってくれれば辞めてくれてもよい、という会社が混じっているのではないか?

(むかし、生命保険の外交員には客と枕を共にして契約を取った者もいたという。故山本夏彦翁は生命保険会社の豪壮な本社ビルを指して、「婦女に紅涙を絞らせて建てた!」と切り捨てた。)


※今日、気にとまった短歌

  今日あった楽しいことを語り合う布団の中で脚絡(から)ませて (柏市)倉本恵理

新幹線グリーン車の乗客

2015-07-04 05:11:23 | 経済

(東海道新幹線のグリーン車。)

 新幹線のグリーン車はとても高価で、結婚式の招待などで乗車券をいただく以外、自腹で乗ったことがなかった。わずか2,3時間の移動に豪華な居住性を求める必要もない。

 そんなグリーン車にわざわざ乗る人に昔は「変な人」が多かった。たとえば、短パンにゴム草履なのに腕にはロレックスを着けた男や、異常な厚化粧でかえって気持ちが悪い女など、常識人離れした人が多かった。(乗客が1車両に数人だったから目立ったのかもしれない。)

 現在、グリーン車は前よりも乗車率が増えたし、乗客もマトモな人になった。国民の経済レベルが上がったことを実感する。


※今日、気にとまった短歌

  どうしても覚悟ができぬ婦人科の診察台を拒絶する脚 (札幌市)星ゆう子

サマータイムを「ゆう活」と言い換えてもダメなものはダメ!

2015-07-03 06:03:50 | 生活

「ゆう活」を伝えるANNニュース。)

 就活や婚活になぞらえて今度は「ゆう活」ですか?夕方に働けと言うこと?それとも夕方に遊べと言うこと?どう解釈してみても「ゆう活」はサマータイムのことである。

 なぜ為政者はいつもサマータイムをやりたがるのだろうか?私はサマータイム論が出るたびにこのブログで反対してきた。日本の気候には合わないからだ。

 1日24時間のうち、7,8時間は寝なくてはならない。寝る時間をずらしたって、一升マスは一升マスなのだ。特段生産性が上がるわけではないことは、戦後GHQによって指令されたサマータイムですでに実証済みである。

 私が小学生のとき、東京都の小学校だけがサマータイムを導入したことがある。もう朝が眠くて、なんだか調子が狂ってしまって、サマータイムが終わった時のホッした気持ちが忘れられない。(東京都全体ではなく、目黒区だけだったのかもしれない。)

 サマータイムにはもっと順序立てて反論できるのだが、もう語りつくしたのでそちらを参照されたい。(2011-06-06)


※今日、気にとまった短歌

  「ただいま」と帰りし父の顔隠す両手いっぱいの感謝の花束 (北海道)マカロン

認知バイアス

2015-07-02 06:09:19 | 心理

(昭和14年12月8日の東京日日新聞。しがけんバーチャル平和祈念館より引用。)

 金儲けでも出世でもよいが、ある人が事業で成功した原因を、本人は「自分の実力だ」と考え、他人は「運だ」と見る傾向がある。このように「原因」の評価に違いが生じるときには、どちらにも「認知バイアス」(先入観)がかかっていると考えられる。(「認知バイアス」とは平たく言えば「手前勝手」、「ご都合主義」、「ひいき目」、「独善」などで、本人はそれを意識しない。)

 「認知バイアス」は社会心理学の用語で下位分類があるが、話がまぎれるので省く。戦争の評価などは認知バイアスのかたまりで、交戦が始まると必ず双方が「相手が先に仕掛けた」というが、これは見え透いた嘘とも言い切れず、認知バイアスがかかっていることを知っておかれたい。

 ISに対する意識にも、欧米側とイスラム圏に違った認知バイアスがかかっていることだろう。学術論文がデータを重んじ強迫的なまでに他の文献に当たるのは、認知バイアスを防ぎたいという意味を含んでいる。(それでも学術論文にさえ認知バイアスはかかってしまうのだが。)


※今日、気にとまった短歌

  五枚中伴侶残るは二枚だけきょうだい五人の結婚写真 (千葉県)毘舎利愛子

ISにもワケがある

2015-07-01 05:48:23 | マスコミ

(ISが流した映像。時事ドットコムより引用。)

 わが国では戦前、米英を「鬼畜米英」といった。敗戦後、進駐軍が来るとき、外見も心も鬼のような外人が来るのだと、庶民は本気で恐れた。

 敵の気持ちを「理解」していたら戦争はできない。だから敵を、どうしようもないケダモノのように考えるのが、戦争をするときのセオリーである。

 いま、世界中の先進国のマスコミがISを極悪非道の狂った集団のように言う。残虐な映像を流したりするから、常識人はみなそう思う。(ISは宣伝が下手なのだ!)そんな極悪非道なだけの集団に、北アフリカや中東の青年が好んで参加するだろうか?

 「ISにもワケがある」と言ったのは、NHK国際部の太勇次郎氏である。(太氏は中東取材でボーン・上田賞という報道界の賞を受けている。)彼は少なくとも2回それを言った。「ワケ」の内容はまだ言っていない。あと何年かすれば言うだろう。


※今日、気にとまった短歌

  「これ何(なあ)に」のみ連発し好奇心旺盛なりし子いま並のひと (千葉県)一戸光代