院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

お寺の経済

2011-10-16 04:37:40 | Weblog
 当家が檀家になっている末寺は、儲かっているのかどうか分からない。檀家が200軒程度あるとして、檀家一軒、年に5万円納入すると1000万円。それに葬式のお経料、戒名代などを入れると、お寺は非課税だから、悪い実入りではない。

 当家の旦那寺は東京の文京区にある。界隈にはお寺が多い。東京駅まで歩いて15分くらいだ。随分、都心にあると思われるかもしれないが、江戸時代の江戸は、その界隈くらいまでで、新宿からしてすでに甲州街道の宿場町だった。そのあたりは、もう田舎といってよかった。

 私の妹(小学校6年生)が病死したときにお経をあげてくれたのは、先代の住職だった。先代も亡くなり、父親の葬儀のときにお経をあげたのは、今の住職だった。妹の葬儀のときは、「見習い」のように先代に付いていた先代の息子さんだ。

 父親の葬儀のとき、私はその住職にお経料を聞いた。しかし、「あくまでもお布施ですから、いただいてもいただかなくても」と決して値段を言わなかった。

 ただし、戒名料だけは「宗派内で30万円と決まっています」と答えてくれた。松竹梅でいうと、松が30万円である。院号居士と言って、○○院○○○居士というのが、一番上等な戒名である。当家は歴代、院号居士なのでそうしてもらった。何かと物要りの葬儀に、30万円は痛かった。

 住職の話によると、自分たちの宗派は浄土真宗であり、戒名ではなく法名と呼ぶという。法名は実は生前に付けておくもので、死んでからあたふたと付けるものではない。本山と協議して決めるのだそうだ。

 そこで私は、葬儀で息子たちが困らないように、生前に法名を付けてもらった。そして30万円支払った。最近、浄土真宗の中で、理由は知らないが「居士」は止めようということになったそうで。私の法名は○○院○○○だけである。

 戒名について、値段によってランクがあるのは、おかしいとか、ちょろっと考えるだけで30万円は高いなぞといった議論があるけれども、要するにケチなのである。イヤなら自分で戒名を付けるか、いっそなしにしてしまえばよい。

 私は本当は無宗教だが、親戚と争いたくないから戒名(法名)を付けてもらっただけであって、深い宗教的な信念があるわけではない。

 それに浄土真宗の法名代は禅宗などと較べると決して高くない。禅宗では100万円だとも聞く。

 最後になったが、檀家という言葉は鎌倉時代からあった。だが、江戸幕府の宗教政策によって檀家制度が確立された。寺が強い権限をもつようになり、後の廃仏毀釈を招いた。檀家制度は「葬式仏教」と揶揄されるように、宗教的には退廃した。

 しかし私には、このような論を展開して戒名料をケチるのは趣味に合わない。めんどうくさいのである。慣例があるなら、それに乗っかればよい。なにも考えずに、お金だけで済んでしまうから、精神衛生上よいことこの上ない。もともと宗教とは、精神衛生のために存在するのではなかったか?

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