院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

言葉にするとウソになる

2012-02-04 13:54:35 | 日本語
 次の短歌が好きだ。

   友だちでいようだなんて本当の友だちならば言わない絶対

 作者はアマチュアの若い人だが、名前を失念した。

 この歌は思いを言葉にすることを戒めている。

 西洋の風習はよく知らないが、言葉にしないと通じないと聞いたことがある。だが、それは語弊があるかもしれないが、野蛮である。

 日本の場合は、言葉にしなくても通じる、あるいは、言葉にしたらかえって意味を失う、あるいは、言葉にするまでもないといったことがある。以心伝心、言わぬが花という美学である。

 これは土居健郎の言う「甘え」に通じることなのかもしれないけれども、わが国では言葉にしてしまうと、かえってウソになるということは少なくないのである。

最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (coco)
2012-02-07 23:26:37
ご無沙汰しています。

以前(かなり前です)中日新聞でコラム?『恋する歌音』(短歌かも?)だったかを書いていた佐藤真由美さんの歌に

友達でいようだなんて
話し合う友達同士は
いない 絶対
(『プライベート』)

というのがあります。
ちょっとの違いで友人同士から男女の関係に変化してしまうものですね。
ちょうど部屋の掃除で発掘された単行本を読んだばかりだったので書き込んでみました。
返信する
似たような歌が (管理人)
2012-02-08 06:52:07
coco さん、お久しぶりです。
それにしても似たような歌があるものですね。驚きました。
私が掲載歌を見たのは、一年ほど前の「週刊朝日」の俵真智さんのコラムででした。
昔のトアエモアの「あ~る日突然、二人黙るの~」なんていう歌詞は、毎日「愛してる」と言い続けなければ恋愛関係が維持できない西洋人には理解できないでしょうね。
これからもコメントお願いします。
返信する
そうですね~ (昔風な若者)
2014-03-07 14:42:02
愛し合っている夫婦ほど「愛してる」とは言わない、なんてのもありますね。昔風の、奥ゆかしい美意識です。
何でもかんでも言葉にして、思ったことは全部言わないと気がすまないって人がいるんですが、どうも一緒にいると疲れてしまって、困ります。言葉を尽くすことが、誠意を尽くすことだと思っているようで、それも分かるには分かるのですが。言葉の重みも目減りする気がして。
「言わなきゃ伝わらない」というのも、まあ一つの合理主義ではあるんでしょうが、良し悪しですね。
返信する
言わない美 (管理人)
2014-03-07 21:09:12
昔風な若者さん、コメントありがとうございました。
私が愛好している俳句は全部言ってはいけないのです。
「言ひおほせて何かある」とは芭蕉の言葉です。
言っていないことを想起させるというこの技、日本的ですねぇ。
今や日本語で生産される俳句より外国語の俳句のほうが多いのですが、「言わない」ということを外国人は理解できているのか疑問に思っています。
返信する
私の様な者の言葉に (昔風な若者)
2014-03-08 08:50:30
丁寧なるご返事、ありがとうございます。
先日『逝きし世の面影』という本を読みまして、江戸時代の日本を外国人がどう見ていたのか書かれた本で、これが大変面白かったのですが、その中で「日本人女性は夫からあまり愛されていない」という観察が多かったと書かれていたことを思い出しました。
本当にそうなんだろうか? と。言葉にしない、言外の愛情みたいなものが、十分に見えていなかっただけなのじゃないだろうか? と。今からでは、確かめようもないことですが。
返信する
愛してる! (管理人)
2014-03-08 11:32:16
アメリカでは夫が一日に何度も「愛してる」と言わないと、妻から「愛していないの?」と問われるそうですね。
江戸時代の外国人もそうだったのかもしれませんね。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。