院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

うつ状態とうつ病

2006-11-03 08:05:33 | Weblog
 うつ状態とうつ病とは別物である。うつ状態は症状名で、うつ病は病名である。

 ちょうど腹痛が症状名で、胃腸炎が病名であることに似ている。でも、うつ状態とうつ病はしばしば混同される。

 失恋したり、近親者が死んだりしたときには、誰でもうつ状態になる。しかし、うつ病になるとは限らない。

 ここで、ややこしいのは、失恋や近親者の死がうつ病の引き金になるという事実があることである。

 うつ病は幸せのまっただなかにいる人が突然罹ることもある。会社で昇進してめでたいのに、うつ病になる人がいる。これを「昇進うつ病」という。

 なんの原因もないのにうつ病になる人がもっとも多い。原因不明に神経伝達物質の異常が脳内に起こるのである。

 また、不幸な体験に引き続いてうつ病になる人がいる。これまでの研究では、うつ病の原因(引き金)として、不幸体験が関係しているという研究結果もあるし、何にもないのにうつ病になるという報告もある。

 うつ病は、まだ明快には解明されていない病態である。