【ストーリー】
巷では戯作者(げさくしゃ)・蛙亭文蝶(かわずていぶんちょう)の滑稽本が大人気。
しかし、その刺激的な内容がお上の怒りに触れ、文蝶は手鎖三十日の刑を受けた上に執筆活動を禁止されてしまう。
気楽な文蝶はそんな状況もさほど気にしていなかったが、その夜、文蝶の家に二人組の暴漢が押し入り、彼の妻・おきくが暴行されてしまう。
文蝶はおきくの恨みを晴らすためおこうに二人組の仕置を依頼するが、それを知らないおきくは自ら暴漢の一人・清太を殺そうとするも失敗し返り討ちにあってしまった。
妻を失い悲しみに暮れる文蝶であったが、この一件の裏には文蝶と親しい間柄の貸本屋の孫兵衛がいた。
孫兵衛の正体、それは市中の戯作者たちを調査する隠密廻りであったが、孫兵衛はその仕事の範疇を超え、版元から金を受け取り彼らが恨みを抱く戯作者たちを罠にかけ筆を折らせていたのだ。
文蝶が刑を受けたこと、おきくが暴行されたこと、それらも全て版元から依頼を受けた孫兵衛が裏で糸を引いていたが、孫兵衛は偽善者面で文蝶を慰めると禁を破って本を書くように説得する。
【知ってるゲスト】
寺田農、長谷川明男
【名シーン】
①主水殺しシーン
文蝶が孫兵衛に原稿を渡していたところ、主水が乗り込んで来た。
主水「おめえか、文蝶そそのかして戯本書かしてたのは。
貸本屋の孫兵衛とか言ったな。
その目つきや身のこなし方は只者じゃねえと踏んでたんだ」
主水は孫兵衛を立たせると、その懐から十手を取り出す。
主水「何でぇこれは?」
文蝶「ま、孫兵衛はん!」
主水「文蝶…おめえも人が良すぎるぜ。番所で訳聞かしてもらおうか」
ところ変わって、夜道で孫兵衛を連行する主水。
前を歩かされていた孫兵衛が低い声で呟く。
孫兵衛「てめえやっぱり昼行燈だな…俺を誰だと思ってやがる」
主水「誰とも思っちゃいねえ、根性の腐った隠密廻りだ」
孫兵衛「なにぃ?」
主水「やりすぎ。やりすぎだよ!」
孫兵衛は鎖分銅で主水の大刀を奪い攻撃しようとするが、一瞬早く主水の脇差が孫兵衛を貫く。
更に、大刀を取り返した主水の袈裟切りが入り、孫兵衛は倒れる。
↑一筆啓上偽善が見えた。孫兵衛の正体が分かり、文蝶もびっくり。
↑隠密らしく鎖分銅という隠し武器を持つ孫兵衛。
だけど主水の敵ではない!
②ラスト
主水「じゃあおめえ、筆を折ってくれるんだな?」
文蝶「ええ」
主水「世の中は持ちつ持たれつだ」
文蝶「はは、そりゃもう分かってま」
主水「そうかい!」
文蝶「折りゃしません」
主水「ええっ!?」
がっかりする主水さんで終わり。
↑孫兵衛も主水も文蝶の筆を折ることはできなかった、というオチ。
面白かったけど、孫兵衛の始末は村野様にどう報告されたんだろ?
まさか自分(主水)が斬ったって報告したのかな?
そんなこと言ったら実は強いのバレちゃう^^;