【OPナレーション】
神や仏がいなさって
悪を罰して下さると
小さいときに聞きました
それはやさしい慰めと
大きくなって知りました
やさしさ頼りに生きてはきたが
やさしさだけでは生きては行けぬ
早く来てくれ からくり人
(語り:吉田日出子)
【キャスト】
出雲のお艶:山田五十鈴
唐十郎:沖雅也
宇蔵:芦屋雁之助
鈴平:江戸家小猫
うさぎ(1話~4話):高橋洋子
うさぎ(5話~14話):真行寺君枝
葛飾北斎:小沢栄太郎
おえい:吉田日出子
【EDテーマ:夢ん中】
指のつめたさ うなじの細さ
肩のはかなさ まつ毛の長さ
すべて重たい悲しみつれて
ひとりお前は生きている
男もつらいし 女もつらい
男と女はなおつらい
だけど泣くなよ 泣くじゃない
酸いも甘いも 夢ん中
男もつらいし 女もつらい
男と女はなおつらい
だけど泣くなよ 泣くじゃない
酸いも甘いも 夢ん中
(歌:小林旭)
【必殺からくり人・富嶽百景殺し旅について】
「東海道五十三次殺し旅」の続編です。
登場人物は前作とそのままのお艶、名前だけ変わった宇蔵、新キャラの鈴平と唐十郎。
よく分からないのがうさぎ。
前作の小駒ポジションなんだけど、「名前だけ変わった同じ人」なのか「新キャラ」なのかがよく分からない。
中の人も変わっているし多分後者なんだろうけど、どっちにしても二人(五話で中の人が交代してしまう)合わせても超可愛いかったジュデイ・オングの足元にも及ばないという…。
ストーリーは「東海道五十三次」に比べると暗めで、殺しの実働部隊が三人だけだしジュデイ・オングがいないから華やかさに欠ける感じもあるかな(どんだけジュデイ・オングが好きなんだ)。
これも1クールと短い作品なので、ささっとまとめてみます。
【ストーリー】
突如、南町奉行所に現れた世直し三人組。
彼らは派手に大暴れし、商人たちに恨まれていた与力の葛西を仕留めると大ガマに乗って去っていった。
派手な立ち回りに腹を立てた南町同心・中村主水はお歌の元に向かうと口止め料を要求し、綾太郎は五百両出すから仕事の邪魔をするなと念を押す。
その晩、江戸の町を大きな地震が襲い、綾太郎たちの五千両は地割れに飲み込まれ、さらに結城屋から出た火が付近一帯を焼き尽くし、家や衣装を失ってしまう。
しかし、実はその火事は大老や老中が仕組んだ御用火事であり、お七の親友の魚屋おしちは何者かが付け火をする現場を目撃していたのだ。
ところが、老中は魚屋おしちに火付けの濡れ衣を着せ、彼女を捕らえると有無を言わせず火あぶりにしてしまった。
「おしちのために、また世直し三人組になってほしい」-お七の夢をかなえるため、再び剣劇人たちは立ち上がる。
一方、五百両貰い損ねた主水は剣劇人たちの仕事に参加して仕事料をせしめようとするが…。
【知ってるゲスト】
藤田まこと、菅井きん、白木万理、山内としお、西田健、田中弘史、菅貫太郎、大橋壮多
【感想その①】
「必殺剣劇人」というのは実質、前回で終わっていると思うのです。
なぜならこの第八話は必殺シリーズの総決算として「中村主水」がゲスト出演し、会話の中にメタ発言が多く含まれている「スタッフのオナニー回」だと思うので。
必殺の顔とも言える主水をゲスト出演させ、さらに今回に限り剣劇人が秀や勇次の殺し技を披露するというファンサービスもある反面、剣劇人が主水を散々こき下ろすシーンもあり、賛否両論ありそうな回です。
第八話の感想はまた下の方に書きます。
【名シーン】
①松vs田中様&鬼塚
松は南町奉行所の雑魚を錫杖で打ち倒す。
鬼塚「ぬぅぅ!やられたぁ…」
松「何なんだ、こいつらは…」
②主水と綾太郎
主水「おめえら一体何者だ?」
綾太郎「はい、チャンバラをこよなく愛する、剣劇人!」
主水「剣劇人?」
綾太郎「お気に召さないようですがね、仕事も人生も芝居ですよ、芝居。
芝居には遊び心がある、夢がある、ね!」
主水「何を言ってやがんでい、夢や遊びで人が殺せるかい!」
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主水「なんて野郎だ…」
お歌「裏の世界だって様変わりしてきてんですから」
主水「あんなとぼけた野郎がのさばるようじゃ、裏の稼業もおしめえだな」
お歌「時代ですよ、時代」
↑時代の流れでコメディ化した必殺…
それはそれで好きだけど、中の人がそういう発言をするのは寒い。
③お七の告白
お七「あたい謝んなきゃ…あたいね、父ちゃんたち幻の世直し三人組だったこと、知ってたんだ。
知ってて、面白がって隠してた。
綾太郎「知ってた…」
お七「だからお願い、死んじゃったおしちちゃんのために
もう一度だけでいいから幻の世直し三人組になってみせて。
あたいの父ちゃんは三人のうちの誰かなんかじゃない。
三人みんな父ちゃん…だからお願い…」
考える三人。
お七「…やってくれるね?」
綾太郎「いいとも!」
松坊主「まだ出ますか!」
清次「やるか!」
お七「ありがとう」
深々とおじぎをするとお七は去っていく。
綾太郎「ばれてた…」
大笑いする三人。
↑お七の夢(頼み)はおしちの敵討ちにしか思えないんだけど、下の会話によれば違うらしい。
④仕事料とは何か?
お歌「さあ!いつもの通り、もしもの時の三途の川の渡し賃」
四文を皆に配るお歌。
主水「ちょっと待った、三途の川の渡し賃だと?仕事料は一体どうなってるんだ?」
お歌「そんなものありません」
主水「ねえ!?」
↑ドヤ顔で「そんなものありません」というお歌…何かおかしいね。
ここでまず第一話の仕事料のくだりを振り返ってみましょう。
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お歌「本当?嬉しいねぇ…じゃあ、仕事料だ」
清次「仕事料はいらねえ」
お歌「そりゃお断りだ…遊びじゃないんだ、マジで願いたいね」
松坊主「じゃあ四文銭一枚ずつ頂いとこう。ドジってくたばった時の三途の川の渡し賃…」
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この時のお歌の発言からすると、彼女はこの時は主水と同じ『仕事料が必要派』だったわけだ。
でも剣劇人たちはいらないと言ったため、代わりに三途の川の渡し賃として四文を渡すようになった。
ここで自分は『仕事料=三途の川の渡し賃』と認識したんだけど、どうやら違うようだ。
お歌もすっかり『仕事料が必要ない派』に転じてるし、
なんかこの辺の会話って脚本で無理やりこじつけた感じがするんだよね。
いらないと言うならビタ一文も貰うべきじゃないんだよ、紛らわしい。
⑤仕事の目的とは?
綾太郎「この子の夢をかなえてやるために、仕事をしてきたんです」
松坊主「晴らせぬ恨みを晴らしてやるか…
耳から指突っ込んで奥歯ガタガタ言わしたるでぇ、立派な大義名分ですなぁ!」
↑「剣劇人の仕事=お七の夢をかなえる=敵討ちをする」つまり「剣劇人の仕事=敵討ちをする」だと思っていたんだけど、違うんだと。
さっきと同じで、ここも脚本のこじつけっぽく思える。
要するに旧体制派・主水と新体制派・剣劇人を口論させるため、
剣劇人の設定を無理やり主水と対極の存在に仕向けるようにしたかったんだろうな。
⑥すっかり落ちてしまった必殺スタッフからのトドメの一言
お七「いい!?今も昔も関係ないんだよそんなの!面白いのが一番なんだ!」
↑こういう台詞って本当に楽しんでいる時は出ないだろうし、
打ち切りも決まってすっかり落ち目になったことを承知の上で言ってるんでしょ?
今風に言えば「嫌なら見るな」にも通じる開き直りというか、負け惜しみというか…寒い寒い。
⑦ファンサービス?剣劇人殺しシーン
↑様式美、光と闇の使い方、BGM、この辺は文句なし。
でも剣劇人の設定を崩して有名キャラの真似をしているだけなので、まるでドリフの必殺コントのように見えなくもない。
⑧剣劇人のラスト
お百の墓参りに行くため、剣劇人とお七は八丈島へ旅立つ。
↑スタッフのオナニーを見せられて、もはや剣劇人のラストなんてどうでもよくなっちゃった。
⑨中村家から最後の挨拶
↑だからさ「必殺が始まって今年で15年…」とかメタ発言するなら、
藤田まこと、菅井きん、白木万理として締めの挨拶をすればいいだろ。
しかもこれは「必殺剣劇人」ですよ…中村家がラストなのはおかしいだろ。
【感想その②】
剣劇人最終回、散々ぶっ叩いてすっきり。
七話までは一応見れたけど、最終回の印象が悪すぎて全てが台無しになったような気がします。
まぁこういうのもたまにはありじゃないですかね。
「美人を引き立てるブス」のように、こういう作品があるからこそ、他の名作と呼べる必殺シリーズが輝くのです。