昨日は、出演者の皆さんのアドリブの応酬の炸裂でした。やはり千秋楽、これが最後という自由さが、奔放に演技をさせるんでしょうか。
客席は何度も爆笑の渦でした(^_^.) またその客席に向かって俳優さんが観客をいじる。「なに 椅子に座って見とる」で、また客席が笑うという 笑いの無限ループ。
ジュリーは怒号のような台詞を吐きながらも、表情がクルクル変わり、怒ったかと思えば、一転 満面の笑みをみせる。その暖かい蕩けるような笑顔に、また客席は魅せられるのです。
チンピラ3人組もノリノリの演技で、「六甲おろし」まで披露したのはビックリ!ここはTOKIOでっせ(笑) 大サービスですね。
びっくりぜんざいのサンドイッチマンでは ♬びっくりぜんざい コーヒ~♪の歌は、「別れても好きなひと」の歌い出しの曲と同じでしたよ。
「サンドイッチマンよりチンドン屋がいい!」と言って、チンドン屋のマネで歌い出したりもう、好き勝手にやってました。清治さんが「楽しいでんな~」(笑)
それはともかく、男たちが好き勝手にやりながらも 「悪名」は侠客たちのぶつかりあいを描いたものではない、男と女の話。昨日はより強くそれを感じました。
兵隊に行った朝吉の帰りを待たずに、他の男と一緒になったお絹。待てなかった女を、恨み言のひとつも言わずに 潔く身を引く朝吉(戦死の公報はきていたの?来てないなら待ってよ)
今また別の男と所帯をもち、臆面もなく堂々と「今が一番幸せ」と告げるお絹。その後ろ姿を 黙って幸せにと、見送る朝吉。
ヤトナのアケミと 世慣れた男と女の色っぽい言葉を交わしながら涙にくれる朝吉、なんという純情さ、なんというウブさ。朝吉は二度もお絹に裏切られながら、それでもお絹の為に尽くす。
まるで始めての恋を、いまだに忘れられずに思い続けている少年のようだ。八尾の大親分と言われながら、なんという純な朝吉。
それに対して、女は最初から最後までずっと したたか。戦争から帰る朝吉を待たずに、あっさりと人の女房になり、その結婚が失敗して堕ちるとこまで堕ちたのは、多分自分自身のせい。
それが厚かましくも「琴糸」という 昔、朝吉が助けた女と同じ源氏名にして「あんさんが 探してくれるかもと思って・・・」と甘い声で朝吉を頼る。
好き勝手にやって失敗して堕ちて、こういう時だけは朝吉を頼りにするのね。なんという厚顔、自分勝手さ、男の操縦術、お絹は天性の魔性の女かも。お絹が厚かましく、したたかさに甘い声で「あんさん・・」と呼びかけられたら朝吉は昔の事など全て忘れて、お絹を助ける。
そして止めても出ていく男を「死んでまえ!」と叫ぶお絹に自分勝手な女となじり乍らも、観客はその女の気持ちに いつの間にか共感しているのだった。「どうか行かないで!」
お互いの為にと深く思いあいながらも、結局気持ちはすれ違ったままの男と女。「悪名」は侠客の世界の物語だけではない、男と女の心の機微を描いているのだと、何度目かの哀しい結末を見た後にそう感じた。
想う女に最後まで少年のような純な気持を捧げ続ける朝吉。その姿に、女は微かな希望を見る。王子様はもう とうの昔に白馬からは降りてしまっている。地べたにいる。粗野で乱暴者で品はない、けれどその気持ちは昔から変わらず、ずっと暖かい。
誠実で真っ直ぐで、変わらぬ気持ちを捧げてくれる男こそ、男の中の男。何にも持っていないように見えるけど、実は優しさの全てを持っているのが朝吉なのだと、女はやっと気がついたのだ。
それにしても、お絹もお輝も、やとなのあけみも、女たちのなんとしたたかな事か。「お絹はええ女やのう」と蕩けるような満面の笑顔に含羞を見せる朝吉。スポットライトが笑顔の朝吉の顔を 一際明るく照らし、恥じらいを含んだその笑顔をさらに輝かせていた。
この華やかさ、これこそがスターの顔だと その笑顔に見とれた。
朝吉さんは来年もリターンします✨50周年の記念の年に、次はどんな愛の形を見せてくれるんだろうか。
今年の紫陽花は例年よりも大きく、よく咲いてくれました。植え替えたせいだろうか、植物も、女も男も、やっぱり手をかけてやらないとね。