ことばのない
音符の夢にまどろむと
ピアノは、転がって、銀の鈴
首に付けたネコの気まぐれ‥
おおきなガラス窓の外の
白い雲が薄くたなびいて、水の空
初夏の匂う風の六月
生きる意味も忘れた頃に、「意味」はやって来て
私は、どうでもいいもののように捕まって
隠れんぼ、見つかった子供のように
アハハ‥と笑って
でも空は青く澄んでいて
晴れた日曜日の午後には
やはりピアノ
心の鍵盤を響かせていると
何も格別の欲しいものも
もはやなく
独り居の静けさだけあれば良く
そうして時は流れ、人は移ろい
古い童話の絵本に描かれた
空の色のように、年老いた私は語られて
大空に昇る赤い風船のように
遥かに、小さくなっては、ふつりと消える
そんな、フーライボーで私はありたい。