坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

レオナルド・ダ・ヴィンチ 美の理想展

2011年10月02日 | 展覧会
盛期ルネサンスの三大巨匠の一人、レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452-1519)は、絵画を知的なものとして、哲学や科学の総合とみなし、自然の森羅万象の数理的な美の規則などの観測から出発しました。
ダ・ヴィンチはイタリア、トスカーナ地方のヴィンチ村に生まれ、14歳のころフィレンツェの工房に弟子入りし、20歳で画家組合に入り、ミラノで絶頂期を迎えました。その後さまざまな地を転々とし、最後はフランス国王フランソワ1世に招かれ、アンボワーズ郊外で67歳の生涯を閉じました。絵画だけでなく建築や土木や都市計画など膨大な手稿を残す一方、現存する絵画は十数点と限られています。
神秘の微笑みを浮かべる「モナ・リザ」が象徴するように、ダ・ヴィンチは憂いのある女性の表情の下絵、素描を残しています。その一つ「ほつれ髪の女」(1506-08年)・東京会場のみ出品・は、モナ・リザとほぼ同時期に描かれた作品(掲載画像の右側)で、鋭い観察眼の素描力が発揮されています。


本展は、その日本初公開となるダ・ヴィンチの作品、ダ・ヴィンチと弟子による共作、弟子やレオナルド派と呼ばれる画家たちの作品など資料などを含めて約80点を展覧。聖母子像や16世紀の穏やかな女性美の系譜が紹介されます。

◆レオナルド・ダ・ヴィンチ美の理想/11月3日~12月25日・静岡市美術館/12年1月5日~3月4日・福岡市美術館
 12年3月31日~6月10日・Bunkamuraザ・ミュージアム(渋谷区)

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