坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

野田裕示展とセザンヌ展

2011年10月04日 | 展覧会
今年も3カ月を切り、来年の企画展の情報が入ってきます。各地域で美術展が通常通り開催されることは喜ばしいことで、今年は大震災という大変な惨事があっただけに一層思いが強くなります。
来年、国立新美術館の開館5周年記念展として、1月から、野田裕示展、3月からセザンヌ展が同館で開催されます。
掲載作品は、野田裕示さん(1952年、和歌山県生まれ)の参考作品ですが、心が溌剌となるような色彩と植物的なフォルムが連動して画面に動きを与えています。80年代の初頭から活動を始めた野田さんは、フランク・ステラが絵画の概念をレリーフ状へと展開していったのとは、別方向に、一種のレリーフ作品ともいえる箱状の造形によってスタートしました。
本展では、30年に及ぶ画業の取り組みを140点の作品によって概観します。
その100年以上前、セザンヌは印象派から脱し、より建築的で堅固な造形表現を求めて、リンゴのある卓上静物やエクス・アン・プロヴァンスの山をテーマに連作を重ねました。従来の遠近法や明暗法ではなく、多視的な方向や、半立体的な明暗法で次のキュビスムの時代へのアプローチとして重要な役割を果たしました。
セザンヌの探究は、現代においてもさまざまな抽象世界において影響を与えています。
同時代的作家の発表の場としての機能と大型の国際展を開催してきた同館において、その企画の特徴をよく示した内容となっています。

◆野田裕示 絵画のかたち/絵画の姿/12年1月18日~4月2日
◆セザンヌーパリとプロヴァンス/12年3月28日~6月11日  両展とも国立新美術館(六本木)

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