坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

モネ、風景をみる眼

2014年01月08日 | 展覧会
モネに始まり、モネに夢を重ねて。モネは、日本人が最も愛する画家の一人で、国内で収蔵する作品も群を抜いて多い画家です。
印象派特有の筆触分割で、市民生活を明るい色彩で描きだしたモネ。「モネは眼にすぎない、だが何という眼なのだろう」と賛辞をおくったセザンヌのように、理論だけではなく、移りゆく風景の光と影を画面に定着させようとした革新の画家です。
私自身も初めて画集を買ったのがモネやルノワールの印象派画家でした。
松方コレクションで知られる国立西洋美術館は、松方が晩年のモネを訪ねて買い入れた作品を中心に、寄託2点を含む絵画・デッサン17点を収蔵しています。もう一方の箱根のポーラ美術館は、化粧品会社の「ポーラ」の創業家2代目の鈴木常司が戦後40年余りをかけて蒐集した作品の中でもモネは19点を数え、国内では最多のコレクションです。
両館が共同企画をした本展は、モネ作品が35点がそろい、見ごたえのある内容でした。
掲載の「舟遊び」1887年、国立西洋美術館蔵。水面を大きくとらえた構図で、すがすがしい風を呼び込む作品となっています。
半分、画面から切れたボート、流れる時間を感じさせます。
このような構図の発見は、写真やジャポニズムの関係と言われています。

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