職場の図書室で見つけて読んでみた。2012年の発行だ。私が参加した2012年の『富士山マラソン』に瀬古さんが来ていて、サイン入りで著書を即売していたのは、本書だったのかもしれない。
やはり、本気で“マラソン道”を究めようとし、実積を残してきた人の言うことは説得力がある。重みがある。
【体調が悪かったり、練習を間違えたとしても、フィニッシュラインまでたどり着かないことには反省できない。苦しい42.195kmを走り切ったからこそ、レース、練習、調整方法などを振り返って、自分に足りなかったことや間違えたことを反省できる。途中でやめては何が間違えていたのか判断できないのだ。(中略)無駄なことを繰り返すのが練習であり、本当に無駄かどうかはレースを最後まで走り切って初めて答えがわかる】
単なる根性論ではない哲学がある。なるほどと思うのは以下の指摘もだ。
【結論から言えば、マラソンランナーにケガはつきもの。ケガをするまで練習して初めて、自分の限界を超えていける。(中略)ケガをするのは仕方のないことであり、むしろケガをしてこそ一人前のランナーだといえる。】
己の限界領域まで追い込んで初めて出せる記録があるとして、そのための練習でケガをするのは仕方のないことと思ってきた。それでも、中には過ぎたるは及ばざる云々と、練習のし過ぎを非難する人がいる。ベターでなくベストのためには、リスクも負わないといけない。瀬古さんの言うことに私は心から同意する。
また、本書で瀬古さんは、現役時代に毎日入浴時、片足に20分かけセルフマッサージしていたと書いていた。毎日触れることで、変化に気づくという。私はトレーナーのいないことを残念がってばかりで、自らできることを試みていなかったと気づかされた。(20分とはいかぬが、読んで以来、片足3分ほどマッサージしている。疲れの抜けかたが断然違うし、張りがわかる)。
やはり、その道を究めた人の言うこと、書くことには触れていく価値がある。やや手前味噌な書きっぷりも散見されたが、それが許されるだけの実積があるのだから、読んで不快にはならなかった。
