『定本セロニアス・モンク』(ジャズ批評編集部・編)
ジャズ喫茶でリクエストして聴いたのが、モンクとの出会いだった。そのときは何が良いのかさっぱりわからなかった。ジャズ特有のアウフタクトが更に予期できぬタイミングで脱構築され、ただ戸惑うばかりだった。なんというアルバムだったかすら、忘れてしまった。
村上春樹・和田誠の『ポートレイト・イン・ジャズ』を読まなければ、自分でCDを買うこともなかったかもしれない。
私が最初に買ったのは『ジニアス』の海賊盤で、何度も聴くうち、不思議なことに気づいた。
同じ曲を聴き込もうと思ってリピートをかける。20回聴いても、まったく飽きないのである。いままでにない経験だ。ただ単に耳新しいからだけではあるまい。この音楽には何かがある。そう思って本書を手にしてみた。
その軌跡、レコーディングにおける逸話などは、面白く読めた。また、オリジナルアルバムすべての解説が付され、今後モンクを聴いていくにあたっての、良い羅針盤にはなる。
しかし、謎は、解けなかった。そう簡単に因数分解できてしまう音像であったなら、モンクは「モンク的」でいられたはずがなかっただろう。

ジャズ喫茶でリクエストして聴いたのが、モンクとの出会いだった。そのときは何が良いのかさっぱりわからなかった。ジャズ特有のアウフタクトが更に予期できぬタイミングで脱構築され、ただ戸惑うばかりだった。なんというアルバムだったかすら、忘れてしまった。
村上春樹・和田誠の『ポートレイト・イン・ジャズ』を読まなければ、自分でCDを買うこともなかったかもしれない。
私が最初に買ったのは『ジニアス』の海賊盤で、何度も聴くうち、不思議なことに気づいた。
同じ曲を聴き込もうと思ってリピートをかける。20回聴いても、まったく飽きないのである。いままでにない経験だ。ただ単に耳新しいからだけではあるまい。この音楽には何かがある。そう思って本書を手にしてみた。
その軌跡、レコーディングにおける逸話などは、面白く読めた。また、オリジナルアルバムすべての解説が付され、今後モンクを聴いていくにあたっての、良い羅針盤にはなる。
しかし、謎は、解けなかった。そう簡単に因数分解できてしまう音像であったなら、モンクは「モンク的」でいられたはずがなかっただろう。
