goo blog サービス終了のお知らせ 

ワンピースまんがぱうち(レビュー・ネタバレ)

ワンピースをまとめながら、フラグとなる詳細を記録しつつストーリーを追っていきます。

143話 不器用      (冬島・チョッパー登場-14)

2015年11月23日 | アラバスタ編






ヒルルクは、チョッパーを無理矢理追い出した後、ドクトリーヌの家を訪ねていた。吐血した自分の血を見ながら、ヒルルクは言った。「おれァ・・・死ぬだろ」



ドクトリーヌは、酒をラッパ飲みしながら「ヒッヒッヒッヒ・・・ああ、死ぬねェ・・」と肯定した。
「あと3~4日ってことか?だがお前の腕であと少しだけ引き伸ばせねェか?おれにはまだ、やり残した仕事があるんだ。もう少しだけ30年続けた研究に形をつけたい。」

それがヒルルクの頼みで、ここに来た理由だとわかったドクトリーヌは、ヒルルクの方を向き直った。「まだこの世に未練があるのかい?そんなに生きたきゃ”また”遠い西の国”へでも行ってきたらどうだい?昔、”大泥棒だった”お前を救った”奇跡の桜”とやらを見にさ・・・」




ヒルルクは、暫く黙りこみ、悔しそうに言葉を搾り出した。「・・・その必要はねェ・・・・・・この国におれが桜を咲かせてみせる!!」
年中雪に閉ざされた「極寒の冬島」であるこの島に桜を咲かすのは、現実的ではなかった。だが、ヒルルクはひかない。
「咲く!!!!どうしようもねェ悪党で、死にかけてたおれが、行き長らえて改心できた。心の底から洗浄される様な奇跡の治療を、おれは体験したんだぜ!!!そういう手段がこの世にあるってことだ!!それを、おれはこの生まれた土地で照明したい!!!この世の全ての人間は、救うことができるんだ!!!!・・・あと少しだけ時間が欲しい」

ドクトリーヌは、それは医学ではないし、桜が咲いたところで、人の体にゃ何も起きやしない・・・とは思っていたが、この男の意気込みとひかなさは理解していた。

その時、ドクトリーヌは、窓の外に張り付いていた妙なバケモノが、雪山の方へ駆け出して行くのを見た。ドクトリーヌは、その後姿を見送りながら少し呆れたように言った。「それで一年も一緒にいたあいつを・・・・突然突き放したってわけかい・・・」






ヒルルクはドクトリーヌに白状した。
「やっと出会えた、たった一人の仲間が、目の前でいきなり死んだら、あいつは一体どうなる・・・!!?これ以上の絶望をあいつに味わわせろと!!?おれ達ァ似てるのさ。・・・だが・・・だからせめて、最期に教えてやるんだ。お前にだって何でもできるってよ!!おれが桜を咲かすことで!!!」

ドクトリーヌは、この話を黙って聞いていたが、「お前は4日後の午後5時半に死ぬ。それが寿命さ。でもあたしなら、3週間、おまえの体を騙すことができる」と言って、ヒルルクを治療した。
ドクトリーヌは、見届けたかった。ヒルルクという一人の男が、”医者として”この国に一体何をもたらすのかを。
そして、ため息まじりにつぶやいた。
「確かにそっくりだよ、お前達は・・・。不器用なところがね・・」




真実を知ってしまった、もう一方の不器用な男チョッパーは一心不乱に走っていた。
ヒルルクの家にたどり着くと、ヒルルクの医学書を読み漁ってから、旅に出た。

ドクターと初めて出会ったあの日、真ッ裸になったドクターは「おれは決して、お前を撃たねぇ」と言った。そのドクターが、自分を追い出すために撃ってきた。ずっとわからなかった。ドクターがなぜそんな事をしたのか、ずっとわからなかった。

でも、今は違う。
ドクターが自分を嫌いになったわけじゃない。それがドクターの愛情なのだと知った以上、自分がドクターを救うんだ。
極寒の吹雪吹きすさぶ雪山の奥深くを、チョッパーは歩き続けた。途中、トナカイの群れに遭遇しても、どんな怖くても、どんなに嫌な記憶が蘇っても、チョッパーは諦めなかった。
荒れ狂う海に突き出た断崖絶壁に、その薬用きのこ「アミウダケ」は生えていた。背後からは、怒ったトナカイの群れ、前は崖。それでもチョッパーは逃げなかったし、諦めなかった。


ヒルルクも諦めなかった。
30年間一度も成功したことのない実験を、爆発しても、失敗しても、諦めることなく、昼夜を問わず、病の体に鞭打ってくる日もくる日も実験を続けた。この国の為、そして残していくチョッパーの為に、命尽きるまでに完成させねばならない、諦めるわけにはいかなかった。



愛する人の為なら頑張れたし、一人ではないから生きていけた。


それから一週間後、チョッパーはドクターの元に帰ってきた。
その体は、角が折れ、足の骨も折れ、顔の形が変わるほどの姿であったが、その手には1本の”きのこ”がしっかりと握られていた。
「ギノ゛ゴ」



その手に握られていたのは、猛毒「アミウダケ」であった。
「生きててドクター・・・・!!!ドクター、おれ医者になりたいんだよ、医者のやり方、教えてくれよ。トナカイでも・・・やれるかな」



ヒルルクは、そんなチョッパーのいじらしさに心を締め付けらて、満身創痍の小さな体を、ぎゅうと抱きしめた。
「やれるさ、チョッパー。お前はこんなに優しいじゃねェか!!!」






その頃、城ではワポルが汚い手を使って「医者狩り」と医者の死刑を実行しようとしていた。







最新の画像もっと見る

コメントを投稿