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ヒルルクは、チョッパーが命掛けで取ってきた猛毒「アミウダケ」のスープを一気に飲み干して、「力がみなぎってくるぜ・・!!ありがとうよ、チョッパー!!!」とニッカリといつもの笑顔で笑った。
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チョッパーは嬉しかった。これで、何もかも元通りの、あの楽しい生活がまた続くと思ったから。
その時、さらに幸せな事が起こった。ドクターの実験器具の中がピンク色に染まっているのだ。ヒルルクは目を見開いた。
「これだ・・!!!これを30年間待ち続けた!!!やったぞチョッパー!!これでこの”冬島”に桜を咲かせす事ができる!!!やったぞー!!!」
ヒルルクの命の灯と引き換えたかのような、成功だった。
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ヒルルクは大急ぎで出かけていったが、何かを思い出してすぐに戻ってきた。
「おいチョッパー!お前はいい医者になれるぜ!!!おれが保証する!!!」
それを言う為に、ドクターは引き返してきたのだ。チョッパーは、もう最高に嬉しかった。
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ヒルルクが大急ぎで向かった先は、ドクトリーヌの家だった。30年かけて成功したサクラのパウダーを、ドクトリーヌに託し、自分の代わりにサクラを咲かせて欲しい、そして、チョッパーに医学を教えてやってほしい、と頼みに来たのだった。
ドクトリーヌが、そんな事を了承しない事は百も承知で、ヒルルクは、深く土下座をして頼み込んだ。
「あいつはトナカイだし、バケモノだが、きっと立派な医者になれる!!!心の優しいいい奴なんだ・・・、命を張って、おれに薬を作ってくれた・・・頼む、お前の手であいつを医者にしてやってくれ!!!」
ドクトリーヌは激怒して、ヒルルクを追い出した。追い出されたヒルルクは、ドクトリーヌの家を振り返りって、「頼んだぜ・・、チョッパーをよろしく頼む」とつぶやいて去っていった。
ドクトリーヌは、ヒルルクの態度がどうしても腑に落ちなかった。あと2週間ある命を、あきらめるような男ではないはず・・・。
ドクトリーヌがヒルルクの家を訪ねると、家にいたのはトナカイだけで、そのトナカイは、心配するドクトリーヌに「アミウダケ」を見せて、これを飲んだからドクターはもう大丈夫なんだと言って笑った。
ドクトリーヌは、ヒルルクが何をして、何を決断したのかを悟った。
そして「このバカトナカイッ!!!」とチョッパーを殴りつけた。何度も何度もチョッパーを殴りつけたドクトリーヌの顔は、涙にぬれていた。「そのキノコはね、トナカイ!!!猛毒だよ!!!!」
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チョッパーは首をぶんぶんと降った。「そんなはずないさ。ちゃんと本で調べたんだ。このキノコの絵の横に”ちゃんと”ドクロが描いてあったんだ!!!!」
チョッパーにとってドクロは、不可能をものともしない信念の象徴だった。だってそう、ドクターが教えてくれたから。
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ドクトリーヌは涙で濡れた顔でチョッパーに教えた。「いいかい、優しいだけじゃ人は救えないんだ!!!人の命を救いたきゃ知識と医術を身に着けな!!!腕がなけりゃ、誰一人救えないんだよ!!!!」
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チョッパーは泣いた。泣いて泣いて泣いて泣いた。自分のバカさを呪い、ドクターの優しさを思い、別れを知って泣いた。
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その頃ドクターヒルルクは、猛毒キノコの毒が回る前にやっておかねばならない、最後の仕事に邁進していた。
城のイッシー20が全員病に倒れたと聞いて、いてもたってもいられずに城へと上った。死ぬその瞬間まで、一人でも多くの患者を苦しみから救いたい、おれは医者だから。ただ、その一心だった。
それがたとえワポルの罠だとしても、構わない。
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