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トムさんが連行され、フランキーが不空不明になった日以来、ココロさんは酒におぼれた。
「聞いたかい?凶暴なトムの弟子、カティ・フラムは・・・死んだそうだ・・・。"海列車"にひかれて。」
みんなで必死で作った希望の"海列車"でトムは連行され、かわいい弟子の一人が轢かれて死んだ。
世界一の船大工であり、島を救った英雄のトムが、凶暴な犯罪者だと、その島の人々に思われていること・・・。
ココロさんの心にはそれらの事は入りきらず、次第に壊れていった。
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アイスバーグは違った。
ココロさんに「そのうち一緒に飲もう、楽しい酒を・・・」と別れを告げると、トムさんの意志を引き継いで、トムさんが遣り残した事を成し遂げることを誓った。
トムさんおれは・・・この町を変える!!!
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だが、フランキーは死んでいなかった。
「海列車」に跳ねどばされ、骨は折れ、片腕は吹き飛び、鼻すら原型をとどめない程の酷い姿で、ゴミのように海を漂っていた。
どれ位の間、そうしていたのかはわからない。
いつしか、フランキーの傍に巨大な廃船が漂っていた。
廃船によじ登ると、人影はなく、打ち捨てられて廃材、鉄クズ、たくさんのゴミ・・・。
そこは廃船島のようで、フランキーには落ち着く場所だった。フランキーはそこで深い眠りについた。
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それから4年後。
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アイスバーグは、世界一の船大工の一番弟子の腕を如何なく発揮して、ウォーターセブンの造船技術を格段に引き上げ、アイスバーグの設立した「ガレーラ・カンパニー」の経営は軌道に乗っていた。
町は活気に満ち、人々の賑やかで笑顔の溢れる町に変貌を遂げていた。
その町をさらによくする為、アイスバーグは「ガレーラ・カンパニー」の社長の傍ら、市長にも立候補するつもりだった。
それが、彼がトムさんから引き継いだ"意思"だった。
多忙を極めるアイスバーグに、ある日訪問客があった。
「カティ・フラム」と名乗るガラの悪い、海パン姿の男だったそうだが、アイスバーグはその男と会うことなく、追い返した。
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その夜、アイスバーグは人目を忍んで、ゴミ焼却場の橋の下倉庫にある「トムズ・ワーカーズ」のあった場所にやってきた。カティ・フラムことフランキーは、ぼろぼろになった全身を廃船の廃材で修理して、生きていた。
開口一番、フランキーが言ったのは、アイスバーグへの文句だった。
「てめェ、"世界政府"の船を請け負ってるそうじゃねェか!!!おれは許さねェぞ!!!
政府に手を貸すようなマネ!!!あいつらはトムさんを殺した張本人じゃねェか!!!!」
アイスバーグもフランキーには文句が山ほどあった。
「そのきっかけを作った"凶器"は、誰が作ったもんなんだ!!!!
この4年でおれがお前を許したと思うな!!!あんな事があってよく、おれの前に
堂々とそのツラを出せたもんだ!!! トムさんが許しても、おれは許す気はねェ・・!!」
昔と同じように暫く言い争った後、アイスバーグはフランキーに、トムさんから預かった「古代兵器の設計図」を手渡した。
「カティ・フラムの名を捨てて、これを持って島から出ろ、フランキー。そうすれば、設計図は闇に消える」
だがフランキーはうんとは言わなかった。
トムさんを狙った世界政府が、再びアイスバーグを狙ったとして、その時設計図を持ってないとなれば殺されるのがオチだ。
そんな事はアイスバーグは百も承知だった。
「トムさんが、全てを捨てて未来に繋いだ『設計図』だ。
少なくとも『ニコ・ロビン』という女が実在する『兵器』を復活させる可能性がある以上、これは"抵抗勢力"として、この世に必要だ。たとえこのままおれが持っていたとしても、おれは殺されようとも、世界政府には渡さん!!!」
それから、アイスバーグはフランキーに背を向けて言った。
「おれ達はいつまでもかわらねぇなぁ。顔つきあわせりゃどなりあって、この先もおれはお前を許さないし、お前もそうかもしれねぇが・・・てめぇ・・・本当に・・・生きててよかったなぁ・・・!!!」と言ってポロポロと涙をこぼして泣いた。
アイスバーグにとって、唯一の"兄弟"が生きていたのだ。
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