
トムは、「バトルフランキー号」の鎖を力任せに引きちぎった。
元来、魚人は人間の10倍以上の力を持っている。
しかし、魚人であるトムが鎖を引きちぎったことで、トムの凶暴化を恐れた海兵達が、一斉にトムに銃口を向けた。
トムは、この事態を冷静に分析していた。
(罪を被せてきたのも世界政府、裁くのも世界政府、この疑いは晴れるわけもねェ・・・!!ここまでだな・・!!)

そう覚悟を決めたトムは行動に移した。
まずはフランキーの事。
(自分の造った汚れなき船を、こんな事に使われて・・辛かろう・・・、あいつを殴りたいだろう?フランキー)
トムさんは、フランキーのかわりにスパンダムを力いっぱい殴りつけた。
「お前に!!!!あいつの痛みがわかるのか!!!?」


トムの暴動に、海兵達は一斉に「麻酔銃」をトムめがけて撃った。
設計図の事をはくまで、殺すわけにもいかないのだ。

この暴力で、先程の司法船襲撃もトムがしたのだろう、トムは本当は極悪人だったのか、と町の人々は口々にトムを批難しだしたが、トムは気にしなかった。
トムは裁判長の方を向くと
「裁判長・・・司法船襲撃の罪を認める!!!だが一つ頼みがある・・・!!
"海列車"を作ったことで、何か一つ罪が消えると言うのなら、今日の罪を消してほしい・・・!!」
裁判長は暫く険しい顔で黙っていたが、ゆっくり口を開いた。
「たとえその望みが通ったとしても・・・お前は"海賊王の船製造"の極刑の罪が残るぞ!!」
トムは元から承知だった。
どの道、『古代兵器設計図』がある以上、世界政府は自分を自由にするはずがないのだから。
ならば、弟子たちに残していってやりたかった。
「わしはロジャーという男に力を貸した事を、ドンと誇りに思っている!!!」

それからトムは、フランキーを向いて優しく話しかけた。
「フランキー、おめェ自分を責めるなよ。まさか世界政府に設計図を狙われるとは・・・。
大丈夫だ、見ろ・・・。罪名が14年前に戻っても、何もかも昔とは違う。この島はいまや力に満ちている。
こけからさ・・・わしの身に何が起きても、わしは町の力になれる。
わしの夢はやっと、走り始めたんだわ・・・・」
トムさんはそう言って、いつもの笑顔でどうと地面に倒れた。


(アイスバーグ、フランキー、設計図を頼んだ・・・ココロさん、ヨコヅナ・・・今まで世話になった・・・)
スパンダムが"3人"を捕らえるよう部下に命じた時、裁判長が木槌を叩いた。
「罪名を言い渡す。海賊王ゴールド・ロジャーの海賊船製造の罪により、造船技師トム1名!
エニエス・ロビーに連行する、以上!」
ココロさんは、二人の若者の肩をぎゅっと掴んで泣いた。
「我慢しなよ、おまェらトムさんに救われたんだ。トムさんはもう助からねェよ、
エニエス・ロビーは世界政府の司法の島・・・あそこへ行った罪人が帰ってきたためしはねェんだ!!!」

だがフランキーは立ち上がった。
「ココロさん、おれは・・・ムリだわ」
そう言ってフランキーは、落ちていた棒でスパンダムの顔面を力いっぱい打った。

フランキーには、ココロさんの声も、アイスバーグの叫びも聞こえてはいなかった。
「トムさんを返せぇーーーーー!!!!!」
フランキーは、もう自分がどうなってもよかった。
それでも大勢の海兵や「CP5」に敵うはずもなく、トムさんは"海列車"に乗せられて連行されて行った。
その"海列車"の行く手に立ち塞がるのは、いつの間にか逃げたはずのカティ・フラムだった。
カエルのヨコヅナを横に従えたフランキーは叫ぶ。
「止まれ!パッシング・トム!!てめェ、生みの親をどこへ連れてく気だよ!!!」

だが、トムさんの手で頑丈に造られた"海列車"は、バズーカ砲にびくともしない。
フランキーはバズーカを捨て、その両手で"海列車"を止めようとした。
行かせやしねェ!!!トムさんを返せ!!!止まれ海列車ァ!!!!

トムさんは、親だった。
生んだ親に存在を否定され、廃棄船のように捨てられていたフランキーをたっはっはっはと笑って受け入れてくれた恩人であり、親であり、師匠だった。
トムさん・・おれはもう船なんか造りたくねェ・・・・・!!!
本当に大切な人達を傷つけた船を、おれは許せねぇ・・・!!!だけどトムさん、おれの目標はやっぱりあんただから・・!!!帰ってきて、また教えてほしいんだ!!!!
おれもいつか、"夢の船"を造りてェから、世界の果ての未知の波でも、胸を張って乗り越えていく"夢の船"を

カティ・フラムは、"海列車"に跳ねられ、以後彼の姿を見ることはなかった。


ただ、ヨコズナだけが泣きながら、カティ・フラムの最期の姿を見ていた。
明らか
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