
『古代兵器プルトンの設計図』は、トムからアイスバーグへ、そして今はフランキーへ受け継がれていた。
『CP9』はフランキーを、「バトルフランキー号」で司法船や人々を攻撃した罪で、エニエス・ロビーへ連行する事を決定した。
その決定を下したのは、『CP9』の長官スパンダムだった。
スパンダムは、エニエス・ロビーの「指令室」で、自分の顔面を潰した憎きフランキーが生きている事を知り、不敵な笑みを浮かべた。

『CP9』に強制連行されようとするフランキーを、ウソップは前に躍り出て止めた。
敵わない相手だとわかっていても、こういう時、ウソップは恐怖より正義心の方が勝るのだ。
だが、力量差は圧倒的だ。
ウソップは、あっさりとカクに倒され、"麦わらの一味"は抜けたが海賊は辞めてないという事で連行することとした。
ついでにカクは、"船大工"としてメリー号の処分をして行くことにした。
辞めろと叫ぶウソップの声を無視して、カクはメリー号を倉庫から「アクア・ラグナ」で荒れ狂う海へと突き落とした。
これで、メリー号は海の藻屑となるはずだ。
ウソップがメリーの名を呼ぶ悲痛な叫び声も、嵐にかき消されていった。

その頃、燃え盛る「ガレーラ・カンパニー」の本社に1つの変化があった。
業火の中から、一匹のトナカイが、アイスバーグさんやパウリ―をその背に乗せて飛び出してきたのだ。
チョッパーは、意識を失って倒れているナミを見つけると、治療をせねばと思ったが、その前に自身が重傷で意識を失って倒れてしまった。

人々はとまどった。犯人であるはずの"麦わらの一味"のペットが、アイスバーグさんを助けるとは・・・!!
そのアイスバーグは、意識を取り戻すと、同様に意識を取り戻したナミに話があると人払いした。
アイスバーグの話は「ニコ・ロビン」の事で、その内容は衝撃的だった。
アイスバーグは「ニコ・ロビンはこの町に来て態度が急変したか?」と聞いた。
ナミは「ええ、私達には何がなんだかわからなくて、船を降りる理由を聞きに来たのよ」と答えた。
しかし、そこで得た答えは、自分の夢を叶える為に暗殺と裏切りを認めたことだったけど・・・。
今度はナミがアイスバーグに聞いた。
「私達と一緒にいては叶わない夢って何?」
アイスバーグは、暗殺の夜の話を始めた。
話の前に、アイスバーグとニコ・ロビンは共に、世界を滅ぼす程の『古代兵器』を呼び起こす術ほ持っていることが前提だと言う。
その技を得る為に、『世界政府』がこの島で暗躍しており、ニコ・ロビンはこの島に来てすぐにその網にかかったのだ。
ロビンが、アイスバーグの寝室で二人きりになった時だった。
アイスバーグは、ここにあるのはニセモノで、本物は殺されても渡すつもりがない事を暗殺者ロビンに告げた。
「おれはたとえ殺されても設計図を政府には渡さねぇ!!
なのに一方で、お前が『歴史の本文ポーネグリフ』を嗅ぎまわり、政府に力を貸すってんなら、おれはお前をここで
止めなきゃならねェ!!!」
ロビンは否定した。
「何も私は兵器復活の為に『ポーネグリフ』を求めているわけじゃないわ!!ただ歴史を知りたくて」
アイスバーグの怒りは頂点に達した。
「人を傷つけるものに 必ずしも悪意があるとは限らない!!!
歴史を知りたいただの興味が、世界を滅ぼす結果を招くなら、今、お前はここで死ぬべきだ!!!ニコ・ロビン!!!
"オハラの悪魔達"の運命を目のあたりにして、まだ歴史を追いかけてェのか!!!!!」
ロビンも取り乱した。
「あなたが"オハラ"の何を知ってるのよ!!!
世界政府の手て私の人生がどれ程狂わされたかも知らないくせで!!!!」

アイスバーグは、ロビンの理論がわからなかった。
そこまで憎むべき敵であるはずの『世界政府』に、この女はなぜ加担する?
その問いにロビンはアイスバーグに突きつけた手と銃を解いて、少し離れてから喋りだした。
「全てを捨てても叶えたい"願い"があるからよ。この町でCP9が私につきつけた条件は2つ。
暗殺の罪を"麦わらの一味"にきせる事。その後『世界政府』に身を預けて従う事。」
それはロビンに『古代兵器プルトン』の設計図を解読させて古代兵器を復活させる事であること。
その後、ロビンの命がないことは明白な条件だった。
20年間も政府から逃げ続けたロビンが、あっさりとその条件を呑む理由がアイスバーグにはわからなかった。
ロビンは言う。
「CP9は、本来"青キジ"が持っている『バスターコール』の発動権利を持っていたの。
バスターコールとは、海軍本部の"中将"5人と、"軍艦"10隻を一度に招集する緊急命令。
その国家戦争クラスの軍事力を標的にされたら、後には何も残らない。
"青キジ"の名を聞いた時、観念したわ。
・・・私が今までどんな状況でも逃げのびて来れたのは、守るものがなかったから。
人を裏切り盾に出来たけど・・・・でももう今の私には本当に・・・それが出来ない!!!
一度捨てた命も、失った心も、途絶えた夢も、みんな救い上げてくれる。
こんな私を信じてくれる仲間が出来た・・・。
私の願いは、私を除く"麦わらの一味"の6人が無事にこの島を出航する事」と言い切った。

アイスバーグは、その話の矛盾を突いた。
「6人の為なら兵器を呼び起こし、世界がどうなろうと構わねェってのか!!!!」
ロビンは、まっすぐにアイスバーグを見て言い切った。
「構わない」

アイスバーグはそのバカげた希望が、この女の本気だと悟り、ひきべき引き金を引けずにいた。
その迷いが招いた結果がこれだ。
アイスバーグはナミに語りかけた。
「事もあろうに全世界の生きる全ての人間の命より、あの女は、お前達6人の命を選んだ。
おれの方の設計がが奪われそうな今、おれにあの女を責める権利はねェが・・・・」
ナミは唖然とつながらも、その瞳に光が戻っていた。

ナミは、気が抜けたように倒れこむと「よかった・・・。ロビンは私達を裏切ったんじゃないんだ・・・」と深く安堵のため息をつくと、すぐさま元気よく立ち上がった。
「早くみんなに知らせなきゃ!!ルフィ達なら大丈夫!!!これからロビンを奪い返すのよ!!!
迷えばだれでも弱くなるもの!助けていいんだとわかった時のあいつらの強さに、限度なんてないんだからっ!!!!」


そう言うとナミは駆けだして行って、重傷で意識を失って倒れているチョッパーを叩き起こした。
チョッパーは遠い意識の中で、サンジと別れた時の言葉を思いだしていた。
「チョッパー、一つ覚えてとけ。"女のウソ"は許すのが男だ」

別行動していたサンジの予感は当たっていた。
サンジは、「海列車」の駅でつぶやく。
「ビンゴ・・・」
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます