
ルフィ達3人は、生贄となった仲間を助けるために「神の島(アッパーヤード)」へ向かい、途中、コニスの案内で「エンジェル島」の「ラブリー通り」を歩いていた。

ここは島随一の繁華街で、雲の特性を活かし、あちらこちらに店が浮いている立体的で美しい街だった。
だが、ルフィ達を避けて遠巻きに怪訝そうに見る、街の人達の視線は冷たかった。
ルフィは、街の中心部に”変な像”が大切そうに設置されてあるのを見つけた。

コニスが「それは"ヴァース"。空に住む人々の永遠の"憧れ"そのものです」と説明したが、ルフィは「え?お前らこんなもんに憧れんのか?」と顔をしかめた。
コニスは「・・・フフッ、青海の人達には理解し難いものですね・・・きっと」と笑った。
エンジェル島の船着き場には、いろんな形のゴンドラが並んでいたが、ルフィ達が乗るのは、中でもとびきりダサい「カラス丸」だった。
カラス丸を紹介するコニスは明るい笑顔だったが、ルフィは笑顔の奥のコニスの異変に気付いていた。
「・・・おいコニス、お前んち出てからずっと・・・何でお前、震えてんだ?」
その指摘にコニスはギクッとして顔色を変えた。

顔色を変えたのは、コニスだけではなかった。
周囲の人達も、一行を尾行していたマッキンリー隊長も一瞬にして不安気に顔色をかえた。
コニスはガタガタとと震えながら、何かを迷っていた。
コニスのその様子に街の人が耐えきれず、「あなた!!おやめなさい!!バカな事口にするもんじゃない!!!!」と叫び、辺りは緊迫感で空気が張りつめていた。
その頃、自宅ではコニスの父パガヤもまた、頭を抱えてガタガタと震えていた。
だが、迷っていたコニスは崩れるように涙と共に言ってしまう。
「逃げてくれませんか・・・?」
周囲の人達の「よせ!!!何を言うんだ!!!」という悲鳴にも似た声も、コニスには届いていないようだった。
コニスは泣き崩れながら「ごめんなさい!!!超特急エビ呼んだの、私なんですよね・・・!!犯罪者を確認したら、裁きの地へ誘導しないと、私達殺されてしまうから!!!これが国民の義務なんですよね・・・!!!ごめんなさい!!!おかしいですよね・・・!?何もかも・・!!!」とルフィ達に謝った。

ルフィ、サンジ、ウソップは同時に叫んだ。
「バカヤロー・・・何でおれ達に言うんだ!!!!お前が狙われるんだぞ!!!」

周囲の人達は一斉に、我先にとコニスからできるだけ遠くへと避難を始めていた。
と同時に、コニスやルフィ達の頭上からまぶしい光がさし、空気がビリビリと振動した。
ルフィは野生のカンで、コニスを抱えて、「その光」の中心地から飛びのけたが、「ダメだ、でけェ」と「それ」から逃げきれない事を悟った。
直後、先ほどまでコニスらがいた場所に、強烈な雷が狙ったように落ち、周囲はその雷のエネルギーで破壊された。

難を逃れたサンジとウソップは、あわててルフィとコニスを探すが姿は見えない。
その時、頭上から声がした。「二人共、無事である!!」
それは、あの「空の騎士」とピエールの無料サービスだった。

騎士はルフィだけを戻すと、コニスをピエールに乗せて一緒に連れて行くと言う。
「この娘は我輩に預けよ、みすみすエネルに狙わせはせぬ。おぬしらはこの国の本心を知った。"神"の力もな。これよりいかに動く?」
ルフィは答える。
「国はおれ達には関係ねェよ、"神の島"に仲間がいるんだ!!!」
空の騎士は「そうか・・・幸運あれ」とルフィ達を見送った。
空の騎士に連れられたコニスは、空の騎士が誰であるかを知っていた。
コニスは小さく震えながら、空の騎士にぎゅっと掴って言った。
「帰ってきてください・・・!!"神様"」

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