眺めのいい部屋

人、映画、本・・・記憶の小箱の中身を文字に直す作業をしています。

『すばらしき世界』

2022-02-09 16:24:52 | 映画・本

やっぱり西川美和監督とは相性が悪いのかなあ…な、シリメツレツ「ひとこと感想」その7。

観てから丸一年経った今、感想を書こうとしても「すべてが古い紙束になった」ような記憶しか残っていないのが、残念と言えば残念。

私は、この監督さんの過去の作品とは相性が悪かったけれど、この映画はそんなことはなかった。「よく練られた脚本」を、「最適なキャスト」を得て、とても美しく映像化した作品だと思った記憶は、確かにある。

なのにたった一年で、それらがここまでカサカサになってしまうのは、なぜなんだろう。


私にとって一番印象的だったのは、九州の組長の妻が別れに際して、主人公に言った言葉。

「私らはもうこれまでやけど、あんたはまだ間に合う(逃げられる)。娑婆はガマンの連続で、その割に面白うもないけど… それでも空は広いって言うから…」(うろ覚え)

社会の上層部、富裕層ならともかく、庶民にとっては、刑務所も娑婆も、ヤクザも堅気も、苦労の割りには報われない。人は自分の思う通りには、まず生きられない。

けれど生き延びて先へ進むしか、仕方ないのだ… そう言われているような気がした。


もう一つ、なるほどなあ…と思わされたのは、敏腕プロデューサーが口にした言葉。

「カメラ回し続けられないって言うんなら、やめて(喧嘩を)止めに入りなさいよ! どっちも出来ない、あんたみたいなのが一番使えない!!」

これはこれで、マスメディア(社会の表側?)の人間としては至極もっともな台詞だと思った。(私としては「でもねえ…」と続くにしても)


どうして日本はここまで「不寛容な」社会になってしまったんだろう…と、私でさえ思う。

元々そういうところがある社会だったとしても、最近では何かネタを見つけて、人をいじめよう、袋叩きにしよう…と待ち構えている人たちが多すぎる(と思う)。

それは一本気な主人公が売る喧嘩とは、全く種類の違うモノに見える。彼は弱い者の味方でありたい人。「カッとなりやすい」せいで暴力事件、果ては殺人まで犯してしまったけれど、「弱ければいくら叩いてもいい」という人種とは違うのだ。


それやこれや、今となるととりとめのないまま、アタマの中を記憶と想念が流れていくので、何を書きたかったのかわからなくなってしまった(^^;


それでも、最後に一つだけ。

話すことの苦手な相手には、「聞く余力のある方が」気をつけて、ゆっくりと語らせないといけない。

案外、人は自分以外の人の顔を、ちゃんと見てない。見てればわかる表情(相手の心情)も、見たくない(知りたくない)と内心思っているせいで、見逃されてしまう。言葉の苦手な人にとっては、とても大事なことなのに。

(映画とどう繋がるのかワカラナイけれど、自分だけでも覚えておこうと思ったので)

 

 

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