むじな@金沢よろず批評ブログ

台湾、国際情勢、アニメなどについて批評

馬英九政権の支持率、発足僅か1ヶ月で41%に急落、世界記録達成!

2008-06-21 17:38:06 | 台湾政治
馬英九氏は対中交渉で「総統と呼ばず先生(氏)でもよい」と自ら総統であることを否定し、すでに総統ではないのだが、馬氏が率いる政権の支持率は発足からわずか1ヶ月の19日行われた各種世論調査結果では、最低値で41%(TVBS)と、支持率急落の世界記録を達成した。
これまで支持率急落の世界記録なのは李明博・韓国大統領だが、李氏ですら就任から一ヶ月の3月26日に世論調査会社リアルミーターが実施した調査結果では51.1%、ほぼ2ヶ月目の4月23日の49.2%と、かろうじて50%前後を保っていたから、これは驚くべき不人気、無能ぶりである。

なまじ「経済振興」を掲げて幻想を与えて大差で当選しただけに、発足直後からガソリン価格引き上げで庶民や漁民に不満を高め、さらに物価高騰に無策、6月上旬に南部で起こった水害に現場にも行かず、閣僚が「損失はたった2千万元だけ」などと失言、閣僚や総統府側近の外国永住権問題も対応が後手後手に回り、その矛先逸らし?で騒いだ尖閣諸島問題でも錯乱した対応を見せ、対日関係もぶち壊してこれまた大失敗。つまり、内政・経済も外交もボロボロなのだ。

TVBS調査は16-17日実施(97年06月17日馬英九就職一個月滿意度民調 http://www.tvbs.com.tw/FILE_DB/DL_DB/even/200806/even-20080620165917.pdf)、馬英九政権の満足度(支持率)41%、不支持率37%で、2000年同時期の陳水扁の支持率が77%あったのと比べて大幅に低い。選挙で馬に投票した人の中ですら28%が不支持。
テーマ別では、両岸関係進展については60%が満足(26%が不満)を表明しているものの。物価高騰に対しては58%が不満で31%が満足、尖閣問題について45%が不満、38%が満足、危機管理能力について51%が良くない、36%が良い、選挙当時の期待に比べて現在は悪いが42%、期待通りが41%などと、両岸関係進展以外はすべて厳しい評価を下している。

聯合報が18ー19日に実施、20日付け紙面で伝えた調査(http://udn.com/NEWS/NATIONAL/NATS5/4392595.shtml、民調》馬總統降為50% 劉揆43%)では、馬英九総統の満足度(支持率)は50%と、就任した5月20日の66%に比べて16ポイントも低下する一方で、不満度(不支持率)は10%から30%に急増した。劉行政院長については支持、不支持が42%、33%、内閣全体が42%、35%とわずか一ヶ月にしては不支持が多い。同じ時期の安倍、福田内閣を超えているだろう。

民進党が5-6日実施、10日に発表した調査で、馬英九総統の支持率は50.8%。
さらに、17-18日実施19日発表の調査で馬政権の評価は平均で100点満点の59.6点と不合格(民進党HPから右上ボタンで日本語を選び、メニューからニュース→ニュースで6月10日と19日のニュースを選ぶ)。
劉行政院長は支持率が47.5%に対して不支持率が44.4%と誤差範囲内で拮抗している。
テーマ別の不満度は経済振興策については53.8%、物価対策は63.3%、社会福祉については44.1%、外国永住権所持問題について53.7%、水害対策について59.7%となって、経済民生分野で不満が高い。
閣僚で評判が悪いのは対日強硬発言など不穏当発言が目立つ外交部長歐鴻錬、国防部長陳肇敏と、対日強硬路線に国民がノーを突きつけた形だ。

ここで注目すべきなのは、民進党調査よりも馬英九に好意的だったはずのTVBS調査での支持率が低く、民進党と聯合報が同じである点。
最近民進党の世論調査があまり当たらなくなり、今年の二つの選挙ではTVBSがかなり正確な数字を出していたことからみて、TVBSの数字は真実に近いといえるだろう。
もっとも民進党の名誉?のために付け加えるなら、10日発表の調査結果で支持層の交差分析によれば、中間選民(浮動層、中立層)の中では、当選後就任前の4月上旬に支持率が61%あったのに、6月上旬には31%に急落している。最近の台湾の輿論は中間選民の意向が重要になっているので、これが全体の真実を表しているといえるのではないか?

だとしたら、これは牛肉問題で騒ぎが大きくなって李明博支持率が急落した4月末から5月初にかけての状況と類似していることになる。
ただし、李明博は少なくとも外交的に失敗はしていない(牛肉問題の迷走で米国の信頼を失いつつあるものの、日本に矛先を逸らすことはまだやっていない)し、まして台湾は韓国よりも国際的地位が低い(韓国人は国連事務総長にもなっているが、台湾は国連加盟以前の問題)分、外交での失敗、特に日本との関係悪化は致命傷となりうる。

ところが、どういうわけか、馬英九「先生」は、元首としての自覚と責任を放棄しているためか、対日関係悪化が今後致命傷となりうるという自覚も危機感もないようだ。
しかも、国民党内部、特に立法院の台湾本土派には、与党となったうまみがないためか、積極的に政権を擁護しようという雰囲気も見られない。それは、そもそも4分の1もない民進党の議員にほとんど発言させ、それを抑えることもまったくしないし、むしろテレビ討論では民進党を援護する国民党議員や学者が多いという点にも見られる。
与党国民党は空中分裂状態、つまり、早くも政権末期という様相を呈している。
その一方では民進党の支持率はうなぎのぼりで、35%前後に達している(ひょっとして輿論調査では過去最高?)。台湾ではこのところ与野党の支持率のねじれ現象が続いていて、野党になったほうがなぜか支持が高い。

藍系の聯合晩報ですら、20日付けの一面トップで「株価8000ポイントの大台も陥落、145ポイント下落、馬政権一ヶ月で1000ポイント下落」という見出しで「馬英九総統が就任して一ヶ月の今日、台湾株式市場は本格的に8000ポイントの大台を割った」と皮肉交じりに書き、さらに別の記事で「投資家激怒、馬は陳と同じで騙している」と伝えている。聯合報は社説は相変わらず深藍だが、記事では最近馬政権批判が増えている(8千失守 台股重挫145點 馬滿月跌千餘點 http://udn.com/NEWS/STOCK/STOS1/4393005.shtml。股民怒:馬跟扁一樣 都在騙 http://udn.com/NEWS/STOCK/STOS1/4393030.shtml)
特に同じ藍系の中国時報があまりにも馬英九国民党擁護が過ぎて業績不振でついに人員整理に乗り出したのを見て、国民党べったりではダメだという危機感があるのだろう。
そういえば、テレビも中天は馬擁護的だが、TVBSは56chは馬擁護、55chは馬に批判的と割れていて、年代と東森も馬批判の色彩が強まっている。リンゴ日報は是々非々だが「脱台湾化」「対日関係悪化」については批判を強めている。

ある意味で、台湾メディアも「政権との関係」については、健全になっているといえるが(ただし尖閣問題では随分煽って、失格だが)、身内だったはずのメディアにも批判されるほど、民衆の不満が強いといえる。
選挙時に馬英九に強い反感がなかった淡緑系の友人いわく「思った以上に無能で、特に経済の不振は現実主義の台湾人には堪える。このままだと8月には大デモが起こって、馬英九は引きずりおろされるだろう」。

最新の画像もっと見る