むじな@金沢よろず批評ブログ

台湾、国際情勢、アニメなどについて批評

陳水扁総統退任直後に「容疑者」にする馬英九政権の中華的非情さ

2008-05-21 22:12:19 | 台湾政治
とはいえ、やっぱり陳水扁が総統を退任したのを狙ったかのように、最高検が陳水扁を国務機密費流用事件の容疑者として、出国制限措置に踏み切ったことは、おかしいと思う。これでは、「王朝や政権が交代すれば、前任者を血祭りにあげる」という悪しき中華主義であり、90年代の韓国、文革関係者を裁判にかけた80年代前半の中国と同じレベルである。

いかに問題があったとはいえ、仮にも民主的選挙で選ばれた元首経験者である。

基本的には、外患罪に抵触する以外には、国家元首(と経験者)というのは罪に問われるべきではない。

まして、台湾人など東南アジア社会の文化は、「過ぎたこと」への断罪を嫌う気風がある。
だからこそ民進党が進めた蒋介石への断罪も不発あるいは逆効果になった。おそらく、これが不発に終わったのは、蒋介石がいまだに敬愛されているからだと国民党は勘違いしているんだろうが、それは台湾の民意を完全に誤解してしまっている。

台湾人にとっても過去のことはどうでもよい。だから日本時代も美化されるし、国民党による虐殺の記憶ももはや風化しつつある(だからまた国民党政権になったのだw)。
これは台湾人が国民党が好きで完全に洗脳された結果ではなく、台湾人が過ぎ去ったことを重視していない証拠なのだ。

だとしたら、国民党がもはや辞めた人、選挙で敗北したことで十分にお灸をすえられた民進党と陳水扁をこれ以上深追いすることは、やめたほうが良いだろう。

一部シナ人根性の持ち主は、「この際、徹底的に民進党のやつらをつるし上げて、断罪すべきだ」と息巻いているようだが、それは朝鮮人やシナ人は考えそうな「復讐思想」というべきものであって、台湾社会の風習にはあわない。

もし「58%も獲得して政権をとったのだ」といって調子にのって、陳水扁その他を断罪する暴挙に出たなら、その時点で国民党政権は終了する。台湾人は「権力の傲慢」が大嫌いだということを、国民党権力者と支持者は陳水扁の失敗から学んでいないのだろうか?

民進党主席交代式で陳水扁がKY発言

2008-05-21 22:11:21 | 台湾政治
21日午前10時半から、蔡英文氏への民進党主席交代式が党本部が入居するビルの一階で開かれた。謝長廷・前主席、黄昆輝・台連主席(党本部の距離が近いから楽だねw)、陳水扁・前総統、蔡英文主席と挨拶があったが、陳水扁、待ってましたとばかり長々と話しただけでなく、KYな発言が見られて、げんなりした。
「本当は来るべきではないかも知れないが、親友代表ということで話をしたい」といって、11時5分から始めた話が11時22分までかかった。蔡英文が11時23分から11時40分までだったのだから、ほぼ同じ時間だ。もはや総統じゃないんだし、この日の主役でもないんだから、ちょっとは遠慮しろよ!
KY発言といえば「総統選挙で負けた原因について、みなさんに一言注意を喚起しておきた」と前置きして「私にも問題があることは謙虚に受け止めたい」といいながらも、「予備選挙が終わってから、団結していたか?総統選挙の過程でも団結していたか?4年前の時のように、台連との緑連合の団結がうまく行っていたか?」などと「指摘」していたのには、非常に呆れた。実際、その後本部職員らとも雑談したら、やっぱりみんな「本人がその最大の元凶だろw」みたいにいっていたw。とはいえ「やっぱりそこが陳水扁の個性なんだよな」とサジを投げていたが。
そもそも、交代式なんだから、前総統として「与党というのはこういう問題がつきものだから、今後蔡主席には野党としてこういう点を監督するといいでしょう」みたいなアドバイスをするんならいいが、まるで自分のことを棚に上げたように「総統選挙で台連との協力や団結がなされなかった」と発言したのは、あまりにKYというべきだろう。
20日に退任したすぐの午前10時に最高検が「国務機密費事件」の被告として出国規制などの措置を行ったことで、陳水扁には多少同情したのだが、この日の発言でやっぱりちょっと興ざめした。これだから、嫌われたんだよね、。

馬英九がかつて「軍国主義者」と酷評した石原慎太郎が就任式に出席

2008-05-21 22:10:39 | 台湾政治
そういえば、馬英九の総統就任式に、日本から石原慎太郎・都知事が出席した。石原といえば、2000年、04年にも陳水扁の就任式に出席しているが、2000年の時には馬英九が「軍国主義者を歓迎する陳水扁総統はいけない」と(馬英九自身の極右性は棚に上げて)酷評したことがあるし、聯合報など中華右翼メディアも、「国が違えば右翼どうしは仲が悪い」の通例で、やはり自分たちを棚に上げて石原を軍国主義者だと罵倒するキャンペーンを張った。

ところが、その後馬英九は台北市長時代に何度も石原と会っているし、今回の総統就任式にも参加しているのだ。
しかもおかしなことに、今回馬英九は石原を「軍国主義者だから来るな」といわなかったし、聯合報なども石原を罵倒する記事を書いていない。

どうしたことか?w

正式の接見で米国人相手に英語を使う馬英九は元首失格

2008-05-21 22:10:09 | 台湾政治
20日就任式を終えた馬英九総統は早速外国からの来賓の接見行事に追われた。しかしあろうことか、米国人訪問団を正式接見した場で、外交部が用意した通訳を通さずに、英語で直接全部話をした、という。
いくら英語が流暢といっても(しかもあの程度で流暢とはいえないしw)、元首たるものは、聞くほうは通訳を通さなくてもいいが、話すときは、その国の公用語か生活言語を使って通訳を通すべきで、「俺は英語もこんなにできるんだぞ」と見せびらかすような下衆な考えの持ち主は、そもそも外交儀礼を知らない下衆であり、元首失格である。

かつて金大中や李登輝も日本語ができるからといって、日本人の正式接見のときに日本語で話したことで、メディアから批判されたことがある。李登輝にいたっては聯合報は「やはり日本人だ」などとこき下ろした。

実はそういう批判のほうがまともなんだが、馬英九が米国人相手に英語で話したことは、やっぱり選挙中に暴露された「馬英九は米国人」という馬脚をあらわしたというべきか?
さすが21日の民視の討論番組はこれを槍玉に挙げているが、李登輝については批判した聯合報以下、国民党系メディアは疑問に思わないとしたら、自ら台湾人と名乗る資格はない。米帝の手先でしかない。

何が「中華民族」だ! 2割の深藍の人間しか見えていない視野狭窄症の馬英九政権

2008-05-21 22:03:46 | 台湾政治
それにしても20日の馬英九総統就任演説もお粗末だった。「両岸人民はともに中華民族に属する」だの「大陸同胞」だの「台湾は世界で唯一中華文化の土壌のところで二度の政権交代を果たしたところ」だの、古色蒼然たる大中華封建反動思想に立脚した主張をしていた。これは民進党政権時代を通じて浸透した台湾主体意識をもつ大多数の台湾国民の立場を否定する醜悪なものである。

そもそも国民党は民進党内の一部が持っていた「台湾民族主義」を「生活に関係ない過激なイデオロギー」と批判していたのではなかったのか?だからこそ、国民党は多数派の穏健な台湾主体意識に訴えた選挙活動をして、その結果6割近い支持を得て馬が当選できたのである。ところが、選挙が終わり、いざ政権を取る段階になると、三つ子の魂というべきか、本来馬が立脚していた一部の極右中華イデオロギー全開といったところで、大多数の台湾人の立場と遊離したものとなっている。
そもそも「中華民族」なんて、今の台湾国民の一部しか信仰していない古臭い幻想でしょ?イマドキそんなものはほとんどの人は信じない。一部のアホはいまだに「中華民族」なんてものを信仰しているんだろうが、そんなものはこの21世紀において前世紀の遺物というか、少数の虚妄に過ぎない。

しかも馬英九が声高に叫ぶ「台湾は島国だから開放を旨とすべきだ」という主張と、「中華民族」なるショービニズムは完全に矛盾する。大体、中華民族って何だよw。そんなものないだろw。てか、民族なんてものが幻想なんだし、現実的な台湾人には完全に無用の長物というものなのだ。
だからこそ民進党だって、結党当時はイザ知らず、90年代後半からは「台湾市民社会」のほうを重視するようになって、民族なんて持ち出さなかったんだ。
ところが、馬英九のいう「中華民族」論とは、そうした流れに完全に逆行するアナクロニズム。こんなものに固執していたら、経済なんて良くなるわけがない。大体、台湾が発展したのは、海洋国家として日米とリンクしたからであって、馬英九が就任演説で力説した中国との関係の開放なるものではない。だから馬英九は世間知らずの無能人間だといわれるんだよ!

それから「台湾は世界で唯一中華文化を土壌としたところで、二度の政権交代を果たした」というくだりも、視野狭窄の見本。中華文化を土壌にしているというなら、朝鮮半島や日本列島やベトナムはそうだし、その中で政権交代を二度以上果たしたことがあるのは韓国や日本もそう。
まさか、馬英九は「文化」なるものが、近代国家になって作られた国境を超越していることも知らないで「中華文化」なんて使っているのか?だとしたら、とんでもない無知無教養である。陳水扁よりバカだ。
台湾と大陸「だけ」が「中華文化を土壌にしている」と思っているとしたら、とんでもない無知である。
王維が晁衡こと阿倍仲麻呂の帰国に際して「送秘書晁監還日本國」を贈っているように(ひょっとして、馬英九はそんなことも知らないんだろうね)、しかも日本も漢字を使い、学校の課程では漢文を学び、漢籍由来の成語や知識を当然の教養として要求されているように、日本もまた「中華文化を土壌にしている」のである(その当否はともかく)。ベトナムや朝鮮半島についてはさらに色濃い。

「論語読みの論語知らず」という日本の諺にもあるように、馬英九は声高に「中華文化」と叫びながら、実際には王維も知らない。李白や杜甫が日本や韓国やベトナムでも当然の教養の基盤と見做されていることも知らない。

もちろん原稿を書いた国民党のブレーンも知らないということだから、台湾の「中華文化」など所詮「その程度のレベル」だということである。だったら、中華文化なんていうな!
そもそも台湾人は歴史的には熟蕃なんであり、文化とか歴史なんてどうでもいいという商売人であり、現実主義なのだから。
だから、深緑の台湾民族主義と脱中国化も空振りに終わったのである。脱中国化が空振りに終わったのは、そもそも現実主義だから文化に興味がないためであって、国民党はこれを台湾人が中華を愛しているためだと勘違いしているようだ。馬英九と国民党の勘違いは、彼らの破滅を早めることだろう。

最初から失敗連続の馬英九政権 就任式もヘマばかり

2008-05-21 22:02:52 | 台湾政治
馬英九政権が就任早々から長続きしないとの観測が台湾社会で強まっている。そもそも門出として最も大事にすべきはずの20日の就任祝賀式にしてからがヘマばかりやらかしている。
早々と出席を表明していた対立候補の謝長廷・民進党主席代理の手元には遅々として招待状が届かず、謝主席は16日までに不参加を決めた。やっと3日前の17日に届いたと思ったら、今度は二枚届き、しかも一枚が普通席、一枚が来賓席だったという混乱ぶり。
さらに最悪なことに、自党主席である呉伯雄氏も「政党代表者」として「中国老兵統一党主席」の隣という末席にアレンジされ、それに切れた呉主席が一時は欠席すると息巻いた。結局、呉主席の席は前方に移されたことでこの件は一件落着した。だがこれで馬英九と呉伯雄の溝は深まったというのがもっぱらの観測だ。
さらに、就任祝賀式典が台北アリーナで開かれた時にも、またまたポカを起こしてしまった。「明天会更好」という90年代初頭に国民党がはやらせた歌を全員で斉唱することになったが、ここで壇上にいた馬英九夫妻や蕭萬長らは事前に式次第を知らされておらず、しかもこの歌を知らなかったとみえて、ポカンとしているのだ。しかも止めておけばいいものを、手振りをつけての斉唱にしたが、この振りも「主役」たちが知らず、みんなとばらばらになる始末。
ここ数日、反国民党系政治討論番組では、国民党議員からも「馬英九は側近ばかり重用していて、その側近が仕事があまりできないものだから、こういうポカをやらかすのだ」と猛烈な批判があがっている状態だ。

しかも国民党は官僚主義文化があって、こうした式典の処理はお得意のはずであり、就任式一つまともにできないようでは、台湾国政運営や外交などできるのか?先が思いやられる。韓国の新聞は馬英九を「台湾のMB(李明博)」と呼んでいるが、ポカの仕方もMBと同じだ。

しかも、就任当日に馬英九びいきのはずの極右系・聯合報が実施した調査ですら、馬英九の支持率は僅か66%、陳水扁の2000年就任直後の79%には遠く及ばない低調ぶり(聯合報で66%なら実際には50%程度でしょう)。

馬英九が台湾のMBなら、法則からいって8月には支持率が20%台にまで下降していることだろう。言いたい放題の評論家・李敖が先日テレビ番組でいっていたように、とにかく無能だからどうしょうもない。民主主義の失敗(民主主義にはできないこと)の好例だろう。