私が現在個人的に注目している政治指導者の一人、ニカラグアのオルテガ大統領。
中米友邦歴訪に出ている陳水扁総統が27日から28日、最終地のニカラグアを訪問、オルテガと17時間も話しこんだという。さすがオルテガ。あんなつまらない陳水扁と17時間も付き合ったというのはやはり只者ではない。おれだったら、30分でいやになると思う。
ニカラグアは昨年の大統領選挙で反米左派サンディニスタ民族解放戦線のオルテガ議長が当選、今年大統領に就任して17年ぶりに政権に復帰した。
台湾の民進党政権はサンディニスタほどではなくてもリベラル志向の中道左派政権なので本来はサンディニスタと親和性は高いのだが、何分、台湾の外交官は国民党系のばりばりの右翼反共主義者が多いので、サンディニスタ主導政権となったニカラグアとの関係は悪化、国交も危ぶまれていた。それに危機感を抱いた陳水扁が直接乗り込んで直談判することで打開を図ったのだろう。
私はもともとサンディニスタには好意を持っていたので、オルテガの出方には非常に注目していた。
サンディニスタは民進党政権になってから代表団を台湾によこして民進党なども訪問しているし、民進党がリベラル志向で国民党ファッショ政権と戦ってきたことは知っているだろうから、オルテガはそれで興味を抱いて、この機会にじっくり観察しようとしたのかも知れない。
しかし、自分が運転する車で空港まで出迎えて、さらに17時間も行動をともにするなんて、さすがオルテガはやることがすごい!(すごいといえば、昨年5月に陳水扁と4時間以上は話したとされているリビアの指導者カダフィもすごいが)本物の社会主義の指導者はこうでなくてはいかん。日本にはこうしたまともな大物左翼がいないところが問題だ。
ただ、この結果が、台湾にとって吉と出るか凶と出るかはわからない。陳水扁自身は人間としては非常につまらないからマイナスになった心配もなきにしもあらずだが、しかし陳水扁に体現されている民進党の闘争精神がオルテガに伝わればプラスになるだろう。台湾メディアの報道を見ている限りでは、プラスになった可能性は高いように見えるが、今後を見ないとわからない。
英字紙も含む台湾各紙は28日と29日付けでニカラグア訪問を伝えた。報道を見ると、陳水扁政権に好意的な自由時報やTaiwan Newsはもちろん肯定的な報道をしているが、国民党に近い右翼の中国時報や聯合報などは意図的に批判的報道をしていた。
特にひどいのが28日付け聯合報A4面の記事「陳水扁と左派は波長が合わない 金で買った友情?」という見出しの解説記事。
この記事では「台湾はいままで左派が育つ土壌はなかったし、民進党の政権路線は資本家に依存して久しいので、陳水扁総統が左派政権のニカラグアにいることは明らかに分不相応だ」「陳総統は左派政権のニカラグアで口を開けば自由貿易や経済援助を語ったが、それらはすべてかつて米国が中南米右派政権に対して行ったものであり、反米左派の指導者の耳にはそうした主張は複雑だろう」などと罵倒している。
しかし、これはすべて嘘であり、聯合報のような反共右翼メディアが勝手な「アカ」像をでっち上げて幻想の「左派」と陳水扁が違うと罵倒しているだけで、それこそ聯合報記者の無知である。
そもそも、台湾の民主化運動には、環境・人権・原住民・女性など「新しい社会運動」タイプの左派が根強く存在し、民進党の基盤はまさにそうした左派社会運動だった。聯合報はそうした運動を「資本主義に敵対するアカの思想」と長らく呼び、敵対してきたのではなかったか?
またニカラグアのサンディニスタなどイマドキの「左派」は、市場経済や自由貿易や経済援助全般を否定しているわけではないことは、オルテガ政権の経済政策、さらにはもっと反米左派としては過激なベネズエラのチャベス政権の政策を見れば明らかだろう。イマドキどんな左派社会主義者といえども、市場経済や自由貿易を否定するような古典的かつ頑迷な「マルキスト」はいない。聯合報記者こそ、国民党時代の反共教育を受けて「左派=アカ」と決め付けているだけで、それこそ馬鹿である。
そもそもサンディニスタが拒否しているところの「自由貿易」は、米国覇権主義の強制としての「自由貿易」であって、たとえば小国同士の対等なものなら、むしろ積極的なのがイマドキの左派なのである。
これに比べれば批判的だとはいえ、まだ的を射ているといえるのは、中国時報28日A4面で「サンディニスタの集会 陳水扁は反米の盟友に」と題して、陳水扁がサンディニスタの集会に参加して、かなり同調していた事実を「親米右派」の中国時報として批判的に書いたものである。これならまだわかる。しかしこの記事にしても、イランのアフマディネジャドを「反米の立場が鮮明な左派の大物」に含めているのは、あまりにもアホである。アフマディネジャドは、イランの基準でいっても、超保守派=極右であって、絶対に左派ではない。「反米なら左派」だと思い込む国民党の誤った世界観がここに示されている。
これに対して、自由時報の28日A2面「オルテガと陳水扁 決起集会演説はそっくり 同じ法律学徒で反対運動に従事した同志・・・」という記事は、サンディニスタの決起集会の雰囲気と目指してきたものが、往年の党外・民進党の民主化や選挙決起集会のそれらと似ている点を指摘しているのは、正しい。
また、英字紙Taiwan Newsは、米国人左派ジャーナリストでサンディニスタにも民進党にも好意的なデニス・エングバースが現地発で書いている記事で、抜群に良い。デニスは風来坊でちょっと馬鹿なやつだが、世界の左派運動には造詣が深く、ちゃんとサンディニスタのこともわかっているから、陳水扁ニカラグア訪問の記事については秀逸。
現場の実際の雰囲気や今後の展望については、戻ってきたデニスに詳しく聞いてみよう。
しかし、それに比べて、国民党系のメディアといい、外交官といい、国民党って、相変わらず反共・反左翼・対米従属の偏狭な世界観を持った馬鹿ばかりだね。ニカラグア報道で、聯合報や中国時報の馬鹿さ加減はますますはっきりしたな。
中米友邦歴訪に出ている陳水扁総統が27日から28日、最終地のニカラグアを訪問、オルテガと17時間も話しこんだという。さすがオルテガ。あんなつまらない陳水扁と17時間も付き合ったというのはやはり只者ではない。おれだったら、30分でいやになると思う。
ニカラグアは昨年の大統領選挙で反米左派サンディニスタ民族解放戦線のオルテガ議長が当選、今年大統領に就任して17年ぶりに政権に復帰した。
台湾の民進党政権はサンディニスタほどではなくてもリベラル志向の中道左派政権なので本来はサンディニスタと親和性は高いのだが、何分、台湾の外交官は国民党系のばりばりの右翼反共主義者が多いので、サンディニスタ主導政権となったニカラグアとの関係は悪化、国交も危ぶまれていた。それに危機感を抱いた陳水扁が直接乗り込んで直談判することで打開を図ったのだろう。
私はもともとサンディニスタには好意を持っていたので、オルテガの出方には非常に注目していた。
サンディニスタは民進党政権になってから代表団を台湾によこして民進党なども訪問しているし、民進党がリベラル志向で国民党ファッショ政権と戦ってきたことは知っているだろうから、オルテガはそれで興味を抱いて、この機会にじっくり観察しようとしたのかも知れない。
しかし、自分が運転する車で空港まで出迎えて、さらに17時間も行動をともにするなんて、さすがオルテガはやることがすごい!(すごいといえば、昨年5月に陳水扁と4時間以上は話したとされているリビアの指導者カダフィもすごいが)本物の社会主義の指導者はこうでなくてはいかん。日本にはこうしたまともな大物左翼がいないところが問題だ。
ただ、この結果が、台湾にとって吉と出るか凶と出るかはわからない。陳水扁自身は人間としては非常につまらないからマイナスになった心配もなきにしもあらずだが、しかし陳水扁に体現されている民進党の闘争精神がオルテガに伝わればプラスになるだろう。台湾メディアの報道を見ている限りでは、プラスになった可能性は高いように見えるが、今後を見ないとわからない。
英字紙も含む台湾各紙は28日と29日付けでニカラグア訪問を伝えた。報道を見ると、陳水扁政権に好意的な自由時報やTaiwan Newsはもちろん肯定的な報道をしているが、国民党に近い右翼の中国時報や聯合報などは意図的に批判的報道をしていた。
特にひどいのが28日付け聯合報A4面の記事「陳水扁と左派は波長が合わない 金で買った友情?」という見出しの解説記事。
この記事では「台湾はいままで左派が育つ土壌はなかったし、民進党の政権路線は資本家に依存して久しいので、陳水扁総統が左派政権のニカラグアにいることは明らかに分不相応だ」「陳総統は左派政権のニカラグアで口を開けば自由貿易や経済援助を語ったが、それらはすべてかつて米国が中南米右派政権に対して行ったものであり、反米左派の指導者の耳にはそうした主張は複雑だろう」などと罵倒している。
しかし、これはすべて嘘であり、聯合報のような反共右翼メディアが勝手な「アカ」像をでっち上げて幻想の「左派」と陳水扁が違うと罵倒しているだけで、それこそ聯合報記者の無知である。
そもそも、台湾の民主化運動には、環境・人権・原住民・女性など「新しい社会運動」タイプの左派が根強く存在し、民進党の基盤はまさにそうした左派社会運動だった。聯合報はそうした運動を「資本主義に敵対するアカの思想」と長らく呼び、敵対してきたのではなかったか?
またニカラグアのサンディニスタなどイマドキの「左派」は、市場経済や自由貿易や経済援助全般を否定しているわけではないことは、オルテガ政権の経済政策、さらにはもっと反米左派としては過激なベネズエラのチャベス政権の政策を見れば明らかだろう。イマドキどんな左派社会主義者といえども、市場経済や自由貿易を否定するような古典的かつ頑迷な「マルキスト」はいない。聯合報記者こそ、国民党時代の反共教育を受けて「左派=アカ」と決め付けているだけで、それこそ馬鹿である。
そもそもサンディニスタが拒否しているところの「自由貿易」は、米国覇権主義の強制としての「自由貿易」であって、たとえば小国同士の対等なものなら、むしろ積極的なのがイマドキの左派なのである。
これに比べれば批判的だとはいえ、まだ的を射ているといえるのは、中国時報28日A4面で「サンディニスタの集会 陳水扁は反米の盟友に」と題して、陳水扁がサンディニスタの集会に参加して、かなり同調していた事実を「親米右派」の中国時報として批判的に書いたものである。これならまだわかる。しかしこの記事にしても、イランのアフマディネジャドを「反米の立場が鮮明な左派の大物」に含めているのは、あまりにもアホである。アフマディネジャドは、イランの基準でいっても、超保守派=極右であって、絶対に左派ではない。「反米なら左派」だと思い込む国民党の誤った世界観がここに示されている。
これに対して、自由時報の28日A2面「オルテガと陳水扁 決起集会演説はそっくり 同じ法律学徒で反対運動に従事した同志・・・」という記事は、サンディニスタの決起集会の雰囲気と目指してきたものが、往年の党外・民進党の民主化や選挙決起集会のそれらと似ている点を指摘しているのは、正しい。
また、英字紙Taiwan Newsは、米国人左派ジャーナリストでサンディニスタにも民進党にも好意的なデニス・エングバースが現地発で書いている記事で、抜群に良い。デニスは風来坊でちょっと馬鹿なやつだが、世界の左派運動には造詣が深く、ちゃんとサンディニスタのこともわかっているから、陳水扁ニカラグア訪問の記事については秀逸。
現場の実際の雰囲気や今後の展望については、戻ってきたデニスに詳しく聞いてみよう。
しかし、それに比べて、国民党系のメディアといい、外交官といい、国民党って、相変わらず反共・反左翼・対米従属の偏狭な世界観を持った馬鹿ばかりだね。ニカラグア報道で、聯合報や中国時報の馬鹿さ加減はますますはっきりしたな。