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むじな@金沢よろず批評ブログ

台湾、国際情勢、アニメなどについて批評

チベット、東トルキスタンの独立運動を、中国が躍起になって抑圧・妨害するほど、裏目に出るの図

2009-10-02 03:49:01 | 世界の民族・言語問題
それにしても、今の中国は「大国」としての余裕がなさすぎwww。
いや、もはや経済がぼろぼろになっているのが実態だから、混迷のはけ口を「外」に向けようとしているのだろう。下種なナショナリスト=ショービニストが安易に採用したがる陳腐な手口だ。

ラビア女史が今年7月に日本、8月に豪州を訪問したとき、中国は「ラビアはテロリストだから入国を認めるな」などと圧力をかけた。しかし、日本はもちろん、親中派で悪名高かったはずの豪州のラッド首相も中国の圧力を一蹴した。
その後訪れたチェコとベルギーに中国が圧力をかけたかは知らないが、特にチェコは聞く耳など持たないだろう。
ところが、おかしなことに、ラビア女史は2年前にも日本を訪問しているのだが、そのときは中国は今年ほどは大騒ぎしていないのだ。
大騒ぎするようになったのは今年になってからだが、しかしラビア女史はもともと「知る人ぞ知る」というだけの知名度だったのが、中国が大騒ぎした今年はそのために、ラビア女史は一挙にブレークした。

ダライラマを擁するチベットと異なり、ウイグル民族運動はリーダーの不在が運動発展のネックとなってきた。しかし、中国が大騒ぎしたおかげで、ウイグルは盟主が生まれた。ラビア女史という盟主である。

中国の策略は完全にやぶへび、裏目に出てしまった。これは、大中国意識を共有する中国国民党も同じだ。台湾ではラビア女史は8月まではほとんど無名だったのだが、地方都市の映画祭に中国が横槍を入れ、国民党政権がラビア女史を入国禁止としたことで、いまや台湾での知名度は大幅にアップした。
シナ人らしい短慮というべきかww。

もし中国がラビア女史を抑圧したいなら、むしろラビア女史が中国の富豪として活躍してきた背景から、「実はラビアはスパイだ」という偽情報をそれらしい根拠もつけていろんなところに散布したほうが、評判を落とすには最適だろうし、米国ならそういうやり方をとるだろうが、シナ人はそういう情報戦術が苦手なのかな?

いずれにしても、これでチベットはダライラマ、東トルキスタンのラビアと、中華帝国主義にたいする民族運動には盟主が確定した。おめでとう。
今後、南モンゴル、それから中国とは関係ないが長年民族運動を展開しているクルドでも盟主が誕生することを祈りたい。
そして、抑圧された民族が一日も早く自由と尊厳が得られるように!

ところで自己PR。
6日にオンライン公開されるPHP研究所のPHP Global e-forumというところに、
「どうすれば少数民族は国民国家の中で共存共栄できるのか」というテーマで小論を寄稿しました。

グーグル翻訳、欧州語から英語の場合はわりと使える

2009-09-11 01:26:54 | 世界の民族・言語問題
最近台湾がつまらないので、現実逃避に東欧中欧の歴史文献をネットサーフィングしている。当然ハンガリー語、チェコ語、ポーランド語、クロアチア語などの文献にもぶち当たる。もちろんこれらの辞書も持ってはいるが、本格的に勉強したわけではないので、昔なら辞書を引くのは苦痛だった。

しかし、最近は便利になったものだ。
グーグルの翻訳、translate.google.com だ。
日本語への翻訳はおそらくいったん英語を通しているのだろう、使い物にならないが(おそらく韓国語以外は使い物にならないだろう、私自身は韓国語は問題ないので使う必然性はないが)、欧州言語から英語への翻訳は、けっこう使える。
スラブ系のロシア、セルビア、クロアチア、スロベニア、スロバキア、チェコ、ポーランド各語で試してみたら、けっこう読める英文になる。細かい点は妙な部分もあるが、大意をつかむにはまったく問題ない。
しかも驚いたことに、言語構造が違うはずのハンガリー語から英語へもけっこういける。
一応読めるからあまり使わなくてもよいフランス、スペイン、イタリア各語から英語も、これがかなりきれいにできる。
ところが意外なことに、ドイツ語とオランダ語から英語がうまくいかないことがある。ドイツ語は構文解析が機械には無理なのか、けっこうヘロヘロになることがある。しかもネットで引っ掛けるドイツ語の古い文献だと、方言表記もあったりするってことも理由のひとつだが。
でも、オランダ語がスラブ系よりもうまくいかないのは納得できない。英語と近いはずなのに。それとも、オランダ語文献の需要が少ないから、サボっているんだろうか?これは不思議だ。

まあ、いずれにせよ、欧州言語については、いまやグーグルで英語へ翻訳すればいいことがわかった。
歳とると語学習得の意欲が弱まるんだが、この分だと、欧州言語でわざわざ習得しようという気は失せるな。昔はポーランド語、チェコ語、ハンガリー語あたりはやってみようかとも思ったが、必要なさそうだw。
まあ、旅行用に簡単な会話を覚えるという道はあるんだが。

次に行ってみたいところは、レバノンとの内戦つながりでボスニアを含めた、イタリア語でパンノニアと呼ばれている地域。
だから、スラブ系とハンガリー語は必要なんだけど。

イスラームとヒンズーの葛藤と共存を描いたインド映画Jodhaa Akbar

2009-08-30 00:50:50 | 世界の民族・言語問題
ムガール帝国ジャラールディーン帝とヒンズー教徒のまま后になったジョダーの恋愛話に、一族の陰謀や闘争、イスラームとヒンズーの葛藤と和解などを絡めた歴史スペクタクル作品。以前から見たかったのだが、水害あってその気になれなかったのと、上映時間3時間半ということで気張ってみないといけないので、時期をうかがっていた。同僚の送別会があった水曜の夜に現在唯一の上映館長春戯院に見に行った。思ったより客がいて、10人はいた。台湾でもインドへの関心が高まっている証拠か。
結論からいってなかなかお勧め。

最初の題字で、ジョダーがデーバナガーリ文字で、アクバルの部分がアラビア文字で出てくるところが凝っている。
またジョダー役の女優さんがなかなか美人で、しかもエロい服装をしているところが気にいった。

人口大国だけに戦闘シーンなど人数をやたら多く使えるところは圧巻で圧倒されるが、同様に人口大国のメリットを使っている中国映画のそれがいまや単にいやらしいものになっているのと違って、インド映画は何か感動を覚えた。
それは、主題にもなっているイスラームとヒンズーの共存といった宗教原理や人生観を踏まえた土台と深みがあるからだろうか。

そういえば、インドって、世界で二番目のムスリム人口抱えているんだよね。

中国経済がもはや駄目な今、やっぱり将来はインドだろうなと思った。

ラビア・カーディル議長の訪日、しかし「カーディル氏」という報道があるのは間抜けだw

2009-07-29 03:03:05 | 世界の民族・言語問題
ウイグルの母こと、ラビア・カーディル氏は今回のウイグル族蜂起事件で北京に「背後であおった」と名指しで批判されたことから、一躍有名になった。
北京はみすみす「敵に塩を送る」ようなマネをしたようなもので、何をやっているのかよくわからないが(おそらく経済がもうダメだから末期症状なんだろうけど)
そのラビア氏がこのほど訪日するらしい。しかし、これを伝える報道の中には、「カーディル氏」などとあるのは、間抜け、というか、明らかに勉強不足だろう。

ウイグル人の名前は、ムスリム一般に多いように、姓はない。本人名のあとに父親の名前をつけて呼ぶだけ。だから、この場合はカーディル氏ではなくて、ラビア氏と略すべき。

ところで

ラビア氏が今回訪日するという報道で、中国のネット族が反日感情を再び爆発させているらしい。
しかし、たかだか入国させるというだけで「けしからん」というなら、定住している米国には、なぜ「断交して、ミサイルをぶちこめ」とすごまないのか、わけがわからんw。

文句を言いたいなら、住まわせている米国にいうべきじゃないの?

まったくシナ人って、本当に意気地なしなんだよね。


ガザには声を上げてもウルムチには沈黙? イスラーム諸国と日本の左翼

2009-07-20 17:39:02 | 世界の民族・言語問題
ウルムチにおけるムスリム虐殺事件に対して、なぜかイスラーム諸国の大半と日本の左翼の多くが沈黙している。
イスラーム諸国では、ウイグルと同じチュルク系国家のトルコが国家レベルで大々的に非難の声を上げているほか、イスラーム諸国の中では民主的なインドネシアで連日デモが起こったり、あとアル・カーイダが報復声明を出したりした。
この点ではアルカーイダは筋は通っている。しかし、ヒズブッラーやハマースは何も言っていない。

イスラエルによるガザ攻撃ではあれほどヒートアップしたのに、同じムスリム同胞が被害にあっても、ウイグルについては沈黙している、ムスリムが多いのは、どうみても偽善である。
ムスリムとしての連帯感に乏しいのか?あるいはマトモに信仰心があるムスリムが少ないのか?

偽善といえば、日本の左翼はもっと偽善だ。ガザ攻撃のときは左派系ブログの多くが、カテゴリーまでつくって、ガザ攻撃非難を繰り返してきたのが、今回のウルムチ虐殺については、ほとんど何も言わない。まして、ガザは日本から遠く離れたところ、ウイグルは現在中国の一部なのだが隣国の事態だというのに、なぜか左翼の多くは沈黙している。

マシなのは「プレカリアート」の「アフガン・イラク・北朝鮮と日本」くらい(中国社会主義と民族自決権
2009年07月12日 18時27分56秒
)。
まあ、この人もかつてティーカップで掲示板を開いていたときに、私が散々、中国に対する妙な及び腰を糾弾してきたので、最近ようやく中国糾弾もするようになった次第なのだが。しかも、中国非難についてもウヨクと一緒にされるのが嫌なようで、予防線張りまくっているせいで、焦点がぼけてしまっているw。要するに、この人の頭の中では「中国非難=ウヨク」というくくりらしい。これがまた古いw。この人が大好きな中米や欧州の左翼は、中国非難を公然と展開していることを思うと、「中国非難=ウヨク」などとキメツケテイルところは媚中の臍の緒が取れない日本の旧左翼の限界というべきか。これだから日本では左翼が衰退したんだよ。中国批判も無遠慮にできないなんて、左翼じゃないよ。
ただ、この人はウイグル問題を取り上げただけまだマシだ。
不可解なのは、「安禅不必須山水」と「薫のハムニダ日記」。
ガザについてはカテゴリーまで作って大々的に糾弾していたくせに、隣国の出来事にはまったく無関心。前者は日本の内政という内向きの話題に集中してウイグルからは目をそむけようとしているし、後者は犬の写真などはって暢気なものだ。

ガザについては当ブログでもイスラエル糾弾記事をさんざん書いたが、それは私自身がこの事態が発生したときにレバノンに行っていたという一種の臨場感によるものであった。日本の左翼は中東なんか行ったこともないだろうから、ガザを取り上げる必然性には乏しい。しかし取り上げた。ところがガザを取り上げるくらいなら、日本にとって至近距離の隣国の出来事をなぜ取り上げないのか?
しかも、ガザについては、ハマースにも非がないわけではない。左翼はハマースの欠陥にも目をつぶったうえで、イスラエル非難に集中してきた。だったら、どうして何の組織的背景ももたないウイグルの素手の民衆の蜂起に共感し、それに対する中国の弾圧を非難しないのか?

「ガザへの連帯」は一種のファッションで、かっこいいと思っているが、「ウイグルへの連帯」は欧米も冷淡だからかっこ悪いと思っているのだろうね。この手の「ファッションサヨク」しかいない日本の左翼界はだから衰退するんだろうな。

wikipediaにエジプト・アラブ語版、googleニュースにウクライナの烏語、露語版が登場

2009-06-12 18:32:25 | 世界の民族・言語問題
wikipediaにアラビア文字によるエジプトのアラビア語口語方言版が登場したようだ。http://arz.wikipedia.org/。すでに記事数が3000を超えている。
また6月からgoogleニュースにウクライナのウクライナ語(http://news.google.com/news?ned=uk_ua)とロシア語(http://news.google.com/news?ned=ru_ua)ニュースが加わった。

カルデロン一家「送還反対」論は、むしろフィリピンの国情や中学生の言語能力を無視した弱者蔑視思想

2009-05-26 19:19:02 | 世界の民族・言語問題
なぜか今頃カルデロン一家の話。
日本に不法滞在しながら家族をつくっていたフィリピン国籍のカルデロン氏とその一家をめぐる問題だが、私は法律にもとづき強制送還するのが筋だと思う。かといって、私は右翼ではなくむしろ左翼のほうなのだが、しかし日本人左翼に多い「日本語しかできない中学生の娘まで送還されるのはかわいそう。また父親と引き離されるのはかわいそう」論こそが、それこそフィリピンをバカにしたレイシズムだと考えるからである。
そこには、「日本語しかできない中学生の娘が、日本語が通じないフィリピンなんかに放り込まれたら、かわいそう」という、フィリピンが多民族国家であり、フィリピン社会の優しさを無視した、典型的な日本人の傲慢な単一文化主義にもとづく第三世界蔑視の視線がある。

そもそもこの議論は、日本では日本語ができない外国人は、生きていけないという、日本語単一言語主義が確立した日本の特殊性をフィリピンにも投射しただけの単なる暴論である。フィリピンは、そもそもある単一言語がフィリピン全土で使われている国ではない。フィリピンで国語はフィリピノ語であり、公用語は英語であるが、実際には両言語ともできないで生活している人は少なくない。フィリピンは、「日本語しかできない」からといって、それで不自由したり、排撃されたりするような社会ではない。マレー系は異なる文化や言語にも寛容であるので、日本で日本語ができない外国人が遭うような排除やいじめなど起きにくい。「日本語しかできない娘はかわいそう」というのは、フィリピン人が自国語ができない人間を日本人みたいに排除したがるような社会だと思い込んでいる時点で、フィリピンを侮辱している。

日本には日本語以外の言語のコミュニティが独立して存在する環境にはないので、世界で最も強勢な言語と国民である米国人ですら、日本で生活する以上は、日本語なしで生活することは不可能だ。それほど日本は日本語の強制圧力が強い。
私も台湾から日本に戻ると、「日本では日本語しか使われていない」ことに驚嘆するほどだ。台湾では、ラジオテレビであれ、公共交通機関のアナウンスであれ、毎日どこかで北京語と台湾語はもちろん、客家語も並行して使われており、また日本語や英語だけが飛び交うコミュニティも存在しているのが「当たり前」なので、日本のように「日本語だけしか使われていない」社会は、逆に異様に感じるのだ。
移民国家米国は日本と対照的だ。米国のシカゴのポーランド人コミュニティを訪れたことがあるが、英語ができなくても生活できている。さすが「シカゴはポーランド人第2の都市だ」と言われるだけのことはある(シカゴのポーランド移民は100万人とされているが、これはポーランド人の都市としてはワルシャワにつぐ大きさ)。
ロンドンではフランス、スペインの新聞などに混じって、アラビア語(アルハヤーであることが多い)の新聞なども普通のスタンドで売られているし、これは欧州の都市では普通の光景だが、日本のキヨスクでは普通、日本語の新聞しか売られていないのとは対照的だ(英字紙も日本の会社が発行するもの)。
だから、「送還反対論者」は、そうした日本の光景を他国にも投射して「かわいそう」といっているだけなのだ。逆に日本が特殊であることを考えようともしない。

カルデロンの娘も含めた送還に反対する人は、要するに特殊な単一言語強制社会、異質なものをいじめ排除してしまう日本の特殊なあり方を、フィリピンにも当てはめて議論しているだけである。それはフィリピンに失礼というものだ。

また、カルデロンの娘が中学生という、まだまだ脳が固まっていない年齢であることを無視して「日本語しかできないからかわいそう」という議論は、年齢が低いほど、言語や習慣に対する適応能力が高いことを無視した「大人社会の勝手なリクツ」だ。
確かに、言語習得が完璧に行われる時期は小学校低学年までなので、中学生となれば、習得のスピードはそれより若干劣るし、プロソディまで含めた「ネーティブ並の自然な発音取得」は困難であるほど高い年齢だ。しかし、だからといって「送還反対論」を叫んでいる日本語単一言語主義者や言語習得脳が退化している大人が、「かわいそう」と心配するほどには、中学生の言語に対する適応能力は低くはない。人にもよるだろうが、おそらく1-3ヶ月もすればほとんどの会話は理解でき、1年後には流暢に会話できているはずである。これが大脳細胞が日々減少している大人だったら、初めて接する言語環境に放り込まれた場合、リスニング能力だけでも1年以上はかかり、ある程度流暢に話せるまでになるには3年、人によっては永遠にできないこともある。しかし中学生についていえば、そんな心配は初めから無用だ。

つまり「送還反対論者」は、中学生が未成年だからといって、その言語取得能力が大人より低いと決め付けて見くびっているのだ。ところが、言語取得能力については、年齢とは反比例する。中学生のほうが大人よりも勝っているのだ。
そして、フィリピンは「日本語しかできない人」が排除されるようなギスギスした社会ではない。

また、不法滞在者が家族がいるからといって特別在住資格を与えよという議論は、今後増え続ける不法滞在者が、家族を持ちさせすれば合法になってしまうという前例を作るものであり、今後同様の不法滞在者を取り締まることはまったく不可能になってしまう。
日本と第三世界の所得格差を考えれば、不法滞在者はどんな手段を使ってでも滞在しようとしているのだから、それをみすみす見逃し、幇助するような「家族がいるから特別在住資格」というのは、世の中の仕組みをわかっていない暴論だ。

しかも、「特別在住資格を与えろ」というのは、いってみれば、入管関連法令のうち、法務大臣の裁量権を拡大解釈したものであり、行政の肥大化、司法や立法の形骸化、法治国家の否定につながる暴論だ。「強制送還反対派」が憲法については「解釈改憲」に反対して、自衛隊の裁量権に反対している一方で、この問題では法務大臣の裁量権を求めるのは、おかしい。
そもそも、防衛省なら駄目だが、法務省ならいいという議論は理解できない(逆にウヨクが9条撤廃して軍事力充実をというのも、軍隊もまた官僚であることを忘れている点で理解できない)。
法務省は主な官庁の中では最も頭が固く、保守的で権力的な官庁でもある点に留意したほうが良い。
それを無視して「法務大臣の裁量で在住資格を与えろ」という議論は、法務省の権限を拡大させ、法務ファシズムに荷担する危険な発想だ。
「外国人の人権擁護」がテーマだからそう主張するのだろうが、そういう裁量権は左翼に都合のよいテーマだけに適用されるとは限らない。「財閥がいかんから、軍に牽制してもらう」という戦前の発想が、軍部の暴走を招いた歴史を、左翼は学んでいない。法務省だろうが、防衛省だろうが、裁量権の濫用は問題である。不法滞在は強制送還するという原則を裁量権で突破してしまったら、その裁量権は国民の人権を抑圧する武器としても使われることになるのだ。

ただし、単に強制送還をしてそれでおしまいという問題ではないことはもちろんだ。この点は私も左翼のはしくれとして、右翼の単純な強制送還論とは異にする。
それは、日本に不法入国、滞在してでも、日本に出稼ぎして居座る外国人が後を絶たないのは、それらの国に雇用機会がなく、絶望的で絶対的な貧困が存在するためだ。だからフィリピン人や中国人やバングラデシュ人が日本に不法滞在したがる。
だから、単に個別対応で強制送還するだけでは、イタチゴッコであって、問題の解決にならない。
だからといってこれまで日本のODAがそうしてきたように単に金だけつっこんで、無償援助で「施しを与える」という発想も意味がない。無償援助はありがたみがなく、人々の怠惰を促進するだけで、自立支援とならない。

カルデロン氏一家は強制送還すべきだ。フィリピン政府もそれを望んでいる。しかし強制送還後のケアも必要だ。

そういう意味では、今の左翼の「送還反対論」も、右翼の「強制送還すればよい」論も、いずれもフィリピンの国情や中学生の言語取得能力の高さ、絶対貧困の問題を無視した、日本の島国にこもった身勝手な議論でしかない。

カルデロン一家の問題で明らかになったことは、そうした絶対貧困、雇用機会の欠如という構造的問題だ。だから明らかになったこの際、たとえばカルデロン氏の出身地周辺だけでもいいから、日本にわざわざ不法入国しなくても、ちゃんと働いて生活できるだけの雇用機会が確立される方法を日本が考えるべきなのだ。これは、官邸、法務省、外務省、経産省、国交省、防衛省に加え、NGOなども加わった形で、考えるべきことだ。これは本来日本の左翼が主張すべきことだが、日本の左翼はどういうわけか目先の日本国内に限定した「人権」にこだわって、広い視点で経済問題を考えられないところに重大な欠陥がある。だからこそ、浅薄な日本の右翼の国粋主義論に左翼が勝てないのではなかろうか?左翼が本来の意味でアジアを見つめ、日本の狭い枠組みから思考と視野が解き放たれるならば、現在跋扈するアホなウヨクなど簡単に乗り越えられる。それだけ現在の日本のウヨクは低レベルだが、左翼もまた視野狭窄なのだ(ブログのプレカリアートがその典型)。

台湾に「ウイグルの母」が来るらしい

2009-05-22 18:06:52 | 世界の民族・言語問題
台北市で23日開かれる「2009年國際人權論壇(国際人権フォーラム) 」に、「ウイグルの母」こと世界ウイグル会議議長で東トルキスタン独立運動の精神的指導者のラビア・カーディル女史が参加するそうだ。
ところで、彼女の名前、ムスリムだからかアラビア語で解釈できるが、「力の春」という感じで、まさにおめでたいというか力強さを感じる名前だ。カーディルに定冠詞がつけば「全能者」となるが。

ただし現在米国ワシントンDCで世界ウイグル会議総会が開かれている最中であることと、台湾は媚中派の馬英九政権になったので、本当に参加するのか今のところ怪しい。大体本当に来るなら、どうして三立とか民視とか自由時報が大々的に伝えないんだよ!

本当に来るとしたら、これまでチベット関係は運動が盛んだった台湾で、ウイグルとの連帯が図られる大きなきっかけであり、突破口となるということで、注目したい。

イスラームと私

2009-05-10 16:39:22 | 世界の民族・言語問題
イスラームについてこのブログではたびたび好意的に取り上げている。イスラームについて偏見を持っている人間は「きっとイスラームの過激な報復を恐れているに違いない」と指摘しているが、それは下衆の勘繰りというものだ。
私がイスラームに好意的なのは、私自身がイスラーム教徒になりたいと昔から考えてきたからだ。

イスラームの教えは、セム一神教で最後に成立しただけあって、そして商人の間でまず受け入れられただけあって、きわめて精緻かつ合理的な体系をもっている。私が現在信ずるキリスト教の比ではない。
あまりにも合理的で、理屈っぽいので、アウグスティヌスやテルトゥリアヌスが指摘した「非合理がゆえに信ずる」という宗教の基本原理としての非合理性ゆえの信仰というよりは、哲学倫理体系というべきだろう。

そして中東に足を運ぶようになって、実物のムスリムやイスラーム社会というものを見るにつれて、イスラームへの敬意は強まった。
それには、最近のネオリベという名前で単なる金銭崇拝主義に走り、基本的なモラルを失っているグローバル資本主義の米国や中国のあり方に対する疑念も絡んでいる。

マレーシアのKLでスカーフをした日本人から声をかけられた。その人はシンガポールでマレー系ムスリムと結婚したから、改宗したらしい。そして別れ際に「あなたもムスリムになる日が来ることを希望する」趣旨のことをいった。

ところが、私はムスリムになりたいと思っているのだが、実際にはなれそうにないと思う。だからこそその代替として同じセム一神教のキリスト教徒になったともいえるのだが、それはなぜかというと。
一日5回の礼拝とラマダーン時の断食が、私の生活スタイルと体質からしてほとんど不可能だと思うからだ。もちろんムスリムでも1日5回の礼拝を欠かさずしている人は少ない。断食でもつばを飲み込まないという人は少ないし、水を飲む人はいる。
ただ、私は体温が高く、代謝が激しく、汗かきなので、水をも断つ断食は、ほとんど不可能だ。脱水症状になってしまうだろう。
また物書きやっていると、どうしても夜に仕事して、夜更けに寝ることになってしまうので、明け方のスブフは無理だ。

礼拝と断食は、立派な行為だと思う。だからこそそれが出来ている人を尊敬する。
しかし、私には無理だと思う。

それから、私は最近キリスト教でも無教会派だ。それは、神を信じるという行為は、あくまでも神と私個人との契約なのであって、別に教会に集まって、宗派の儀式、形式にこだわるのは、無意味だと考えるからだ。
そういう意味ではイスラームの礼拝の仕方などは、儀式化している面もあると思うので、やはりなじめない。神を信じ、畏敬の念を持つことは、心の中でもできるではないか、ということだ。

「イスラームのテロが恐いからイスラームの批判をしないのだ」なんていっている人間は、おそらく欧米や中国メディアのイスラームに対する偏見や悪宣伝を鵜呑みにしている哀れな人たちだろう。それは人智を超える存在を恐れず、環境を破壊しまくり、最低限のモラルも喪失した下劣なネオリベらしい発想だ。
イスラームは恐い宗教でもなんでもない。原理主義の過激派は、イスラームなのではなく、単なる犯罪者なのだから、それをもってイスラームが恐いというのは、イスラームを知らず、神を畏れないネオリベの傲慢でしかない。

ネオリベといえば、やはりソ連が崩壊してしまって、資本主義側に慢心が生まれたのが大きいと思う。ソ連は資本主義の横暴をいさめる役割があった。もちろんバルト三国や東欧にとってはソ連崩壊はプラス面のほうが大きかったといえるが、世界全体ではマイナス面が大きかったといえるのではないか?芸術の面でも今のロシアなんかよりも、ソ連時代のほうがよっぽどすばらしいものがあった。だからロシアはソ連時代の国歌のメロディを復活させた。
これは中国も同じことで、経済が自由になってからのほうが、芸術のレベルは低下している。中国もいまだに文革時代を超える芸術は生まれていない。

今のイスラーム世界はその点でも注目するべきだし、日本では注目され始めている。
経済的にはネオリベとは別のタイプ資本主義モデルを提示しつつある。
芸術文化の面でもインドネシア、マレーシア、レバノンあたりは今後注目されるだろう。もちろんサウジみたいな頭の固いワッハービズム、ハンバル学派は芸術を抑圧するだけだが、ハナフィー学派やシーフィイー学派、それから宗派ではシーア派には、そうした創造性が秘められているといえる。


よし!次回はコタキナバルに行こう!

2009-01-27 19:05:06 | 世界の民族・言語問題
帰りのクアラから台北の飛行機は、カリマンタン島北部のコタキナバル経由だった。空港のトランジットゾーンにおいてあったサバ州紹介の観光パンフレットの表紙はオランウータンだったので、「そうか、ここはオランウータンの生息地に近いんだ」と改めて思い直した。

私は類人猿の中では、チンパンジーでもボノボでもゴリラでもなく、オランウータンが一番好きなのだ。
今度マレーシアに行くときは、クアラとペナンとそれからコタキナバルにも寄ろうと思う。

華人も親日的なマレーシア

2009-01-27 19:03:17 | 世界の民族・言語問題
クアラの市街地は街自体はそれほど見るべきところはない。街の見学そのものはバンコックのほうが面白いといえよう。ただ、人種構成が思った以上に多様で、MRTでも黒いのも白いのも黄色いのもいて、スカーフをつけたムスリマもいたり、日本人もけっこういた。というか、全体的に日本のプレゼンスと貢献が強い国だと思った。

しかも華人もいまや若い世代は親日で、日本の貢献と建設を良く知っていたし、感謝もしていた。これは、どこぞの国とは違う。
そもそもマレーシアの華人も、そのどこぞの国が一番嫌いで、次に嫌いなのはシンガポールのようだった。どこぞの国は父祖の国でもあるんだが、「ぎすぎすしていて、嫌い」といっていた。

そういう心理を反映しているのか、80年代までは反日言論で有名だったマレーシアの華字各紙も最近は親日的になっている。びっくりしたのは、帰りに空港で読んだ南洋商報では天皇の一般参賀まで小さいが報道していたし、1月7日は何の日のコーナーで、昭和天皇について「崩御」(にあたる中国語)の表現を使って、さらに「戦争でアジア人を殺した責任があるといわれているが、天皇自身は直接指揮していないと釈明しているし、戦後の発展はこの天皇の下で成し遂げられた」と比較的肯定的に説明していた。
まあ、私は天皇制廃止論者なんだけど、外国人が天皇を肯定することは、気分はいいんだよね。

スカーフをつけたムスリマとは通行中やMRT内でよくぶつかった。すると、私が華人と一緒で北京語しゃべっているため華人と勘違いされたのか、むっとした顔をされた。
ただ、こっちがあらかじめ日本人だということがわかると態度が違って、ニコニコするので、マレー系のムスリムたちも日本には手放しでよいが、華人には一物を持っていることがわかった。

それから私は旅行先では地元民と勘違いされる傾向があって、NYやロンドンに行ったときも同国人に道を尋ねられることがあるし、台北でもよく道を聞かれる。さすがに中東ではそんなことはないが、クアラではコンビニで飲料を買ったときに、6リンギット20シリングだったところ、10リンギットを出したら、マレー系店員にマレー語で何かいわれた。
友人が「地元民だと思われたようで、端数の20シリングはないか聞いている」といって、その端数は出してくれた。

そういえば、マレーシアに最近訪れた台湾人の友人は「マレーシアはすごく優秀ですばらしいということもないが、悪い、駄目だという部分もなく、なんとなく中くらい。それでも国民の満足度が高い、不思議な国だ」といっていた。

実際、私も華人の友人と話していて、その辺を突っ込んだら、「日本ほど完璧に良いわけじゃないよ。でも、悪くはない。中国よりはずっといい」とやっぱりいって

ボーっとしているマレーシア人(初めてのマレーシア訪問)

2009-01-27 19:02:38 | 世界の民族・言語問題
私はどうも天邪鬼的なところがあって、これまで20数カ国旅行をしながら、あまりメジャーな国には行っていない。欧州だってスペイン、イタリア、ドイツはまだ行っていないし、中東もトルコとエジプトはまだだし、東南アジアはマレーシアとインドネシアはまだだし、タイもちょい立ち寄っただけ。ほかにもインド、豪州はまだだし、多分行くことはないかも。
ただマレーシアとインドネシアは前々から行ってみたかった。
特にマレーシアについては、大学生時代の留学生の友人にマレーシア華人が多く、彼らのリベラルな思考に好感を持っていたし、マハティールに代表されるマレー系ムスリムも親日的だというイメージがあったので、ぜひ行ってみたかったところだ。

今回のレバノン行きはサーチャージの高い時期だったために一番安いマレーシア航空、クアラルンプール経由で行くことにしたため、必然的にマレーシアに接し、立ち寄る機会にめぐまれた。
行きは予定では12時間待ち、帰りも9時間待ちだったが、行きのときだけストップオーバーしてクアラの街に出てみた。
ただ、その後のレバノンでの拘束を予告するかのように、出だしからつまづいた。それはロスアンゼルスから飛んでくる機体が遅れたため、出発も2時間遅れとなった。当然クアラ滞在時間も当初予定していた8時間あまりから6時間あまりになってしまった。

しかも、チェックインカウンターの台湾人のおねえちゃんが、新米のようで、もたもたしていて、チェックインに30分もかかった。まあ、わりとかわいいおねえちゃんだったので、腹は立たなかったけど。ただ、最終目的地のBeirutを見て、「これはマレーシア国内ですか?」と質問してきたのは、たまげた。
日本でも原宿で遊んでいるアーパーねえちゃんだったらそんなもんだろうが、かりにも航空会社の職員が、ベイルートも知らんのかよ!って、台湾人って教養を重視しないから、もっとレベルが高いのが期待される職業の人でも地理の教養知らなかったりするんだよねw。

そうそう、マレーシア航空も初めてだったが、これがまたキャッビンアテンダントがボーっとしていて、ぜんぜん気が利かないところが、いきなりマレーシアというか、マレー世界になっていた。まあ、これは台湾も根底のところはそうなんだが。
また面白いことに、着地前に普通航空会社が回収して回るイアホンについては、行きのクアラに着地するときには回収を忘れていたwし、後で乗った便では、客が「まだ使いたい」といったら、無理強いして回収することはしなかった。

やるべきことを忘れるトロさと、相手を追い詰めないところが、マレー系の特徴。これ台湾人もそういうところがあって、いいところだと思う。ただ大方の短気できちんとしている日本人は激怒するポイントかも知れないが。

クアラでは、Sentral駅で2年前に知り合った華人(広東系)で与党連合内一政党職員と待ち合わせて、街を案内してもらった。

ちなみに、クアラは台湾と同じ標準時、GMT+8。だが経度では30度ほど西にあるため、台湾と同じ標準時だと夜が明けるのが遅く7時過ぎだが、夕方暗くなるのが8時近くなので、Sentralでの待ち合わせが予定より遅れて3時半になっても、まだまだ余裕で明るいうちの街を見る時間があったのは幸いだった。
しかもクアラはたいして見るところもないから、これで十分だった。
友人所属する政党事務所をちょっと見て、ツインタワーをシーイングスポットから眺めて、あとは華人街を回り、そこで夕食をとった。華人街の隣にインド人街(タミル系が多数)があって、そこでヒンズー寺院も見学。なぜか華人とおぼしき人もお参りに来ていた。それからムルデカ広場なども回って、華人の行き着けの流しの歌手の歌のサービスつきの「美食中心」(台湾から伝わったもの)でビールを飲んで、それからSentralで別れた。

ガザとラサ--シオニズムと中華帝国主義に共通する過剰な被害妄想がが招いた悲劇

2009-01-21 04:19:53 | 世界の民族・言語問題
レバノン滞在中の12月27日に突然起こったイスラエルによるガザ攻撃は、レバノンの地元テレビが延々と報じて、新聞雑誌もトップで報じていたので、私にとっては忘れられない出来事になった。とはいえ、レバノン住民は一部パレスチナやスンナ派急進勢力を除けば、実は「他人事」であり、平静そのものだったが。
(写真はレバノンの人権NGOがつくったガザ攻撃抗議ポスター)
それというのも、レバノン人の間にあるパレスチナ人に対する微妙な感情がある。極悪非道のイスラエルに抑圧されている同じアラブ系の同胞として、キリスト教徒も多いパレスチナ人にはキリスト教徒も含めて、総論としてはパレスチナ支持論は大勢を占めるが、パレスチナ人の不法滞在者が社会問題となっているという現実もあって、盲目的にパレスチナ人に加勢するというわけにはいかないからだ。
しかもレバノン人は長い内戦や内乱で、「争うこと」には疲れていて、まして他人事に巻き込まれたくないという感情もある。
またレバノンでは最大宗派になっているシーア派にしても、ハマースの基盤になっているスンナ派には若干の違和感もあるし、ハマースを過激な冒険主義と見るむきは、たとえ急進的なヒズブッラーの支持層であっても少なくないのだ。

とはいえ、やはり今回のイスラエルによるガザ攻撃は、あまりにも唐突であり、一面の道理もないという見方は、レバノンでも圧倒的だし、私もそれから国際社会の多くにも共有されている見方だ。台湾に戻ってきて見たところでも、国際報道では米国経由のバイアスが強い台湾でも、米国離れが進んでいることもあって、やはりイスラエル批判の世論のほうが多いことが確認できた。

まあ、それだけ今回のイスラエルのやっていることは、国連関連施設や病院も爆撃したことも含めて、常軌を逸しているわけだ。

そこで連想されたのが、昨年3月のチベット蜂起に対する中国の弾圧だ。偶然にも台湾の中国語表記ではガザは迦薩、加薩、ラサは拉薩で、薩の字が共通しているという類似性もある。だから、表題もガザとラサとした。

何が似ているといえば、イスラエルはナチスドイツによるホロコースト、ジェノサイドの対象となった被害の悲劇という過去の出来事をいまだにあげつらい、現在のパレスチナ人その他に対する加害、侵略、殺戮の正当化に利用し、さらにかつての被害を繰り返さないためという被害妄想にかられて、先手を打ってパレスチナ人に「テロリスト」などのレッテルを貼って、殺しまくって平気な顔をしている。しかも、それを批判する人間を「ナチスの手先」とレッテルを張って貶めようとする。
今の中国もかつての日本をはじめとする帝国主義諸国による植民地化、殺害、収奪といった過去の被害をあげつらって、現在のチベットその他に対する加害、侵略、殺戮、収奪を正当化している。ウイグルなどについては相手を「テロリスト」とレッテル貼りして、先制攻撃を正当化する手口はイスラエルとそっくり。さらに、それを批判する人間を「日本軍国主義、右翼」とレッテルを貼って、抑圧しようとする手口も一緒だ。

ところが今のイスラエルや中国がやっていることを見ればわかるが、イスラエルや中国こそがナチスの再来だということだ。いや被害妄想にとらわれて、殺戮も正当防衛だと思い込んでいたり、国際的な媒体も買収して強力に宣伝しまくる力を持っている分、ナチスよりももっとタチが悪いといえるだろう。

実際、イスラエルと中国は軍事協力も密接だ。似たもの同志だという点を互いに認識できているようだ。

もっとも、これまで欧米諸国に甘やかされて増長してきたイスラエルも、さすがに今回の攻撃は完全に裏目に出た。米国政府すら公然たる支持をためらい、欧州の伝統的な親イスラエル諸国も批判に回ったりしたように、イスラエルが孤立し、イスラエルの横暴が浮き彫りにされてしまった。
同様に、昨年のチベット蜂起に対する中国政府の弾圧も、国際的に強い非難を浴び、中国の横暴も浮き彫りになってしまった。

もっとも、イスラエルはユダヤ人の間ではそれなりに言論表現の自由は認められていて、ハアレツ紙などは批判的報道をしているし、ハアレツで活躍しているGideon Levy、Amira Hassのような良心的勢力が存在し、反戦の声を挙げることが可能になっている点だけは、中国よりは数倍はマシである。中国では控えめな民主化要求の「08憲章」すら弾圧の対象になってしまうのだから。

とはいえ、台湾から見れば、中国もイスラエルもキチガイじみた敵であることには変わりがない。
イスラエルは冷戦時代には、同じく国際的孤児だったアパルトヘイト時代の南アフリカ、および独裁体制だったROC国民党政権と仲が良く、核兵器の共同開発まで手がけていた。それが冷戦崩壊後に南アフリカとROCが民主化すると、今度は中国に協力相手を乗り換えてしまった。いずれにしても、台湾独立民主勢力から見れば、独裁時代の国民党、今の中国と結託してきたイスラエルは敵なのである。

台湾は残念ながら米国の影響も強いが、台湾の利益から考えれば、アラブとの関係がより重要であり、長期的な観点でいえば、アラブ側にたつべきだろう。それは石油といった目先の利益だけではなく、台湾にとって日本についで重要な東南アジアの大国インドネシア(そしてマレーシア)がイスラーム国家でありアラブとも関係が深いこと、さらに20年後の世界は中国人、インド人、ムスリム、その他がそれぞれ4分の1ずつを占めるだろうが、台湾および日本がその中で手を結ぶメリットが高いのは、まぎれもなくムスリムだろうから、今のうちから将来も見据えて、イスラームやアラブとの関係を緊密にしておくことだ。
民進党政権時代には、米国やイスラエルの妨害にもかかわらず、実際にレバノンのヒズブッラーとも関係を結んだり、またリビアとも関係強化を図るなど、アラブとの関係に配慮していたのだが、国民党政権になってからはイスラエル寄りになってしまっている。

台湾の発展のためにも、アラブとの関係は重要だ。そういう意味で、今回のガザ攻撃は実は台湾にとって他人事ではない。イスラエルを中国、ガザを台湾にたとえることができる。

もっとも、ハマースはテロリストじゃないかという反論も来るかも知れない。しかしそのハマースはアラブの中では比較的公正自由に行われた選挙で、パレスチナ人民の多数の支持を得た民主政府なのである。
その選挙結果を無視して、ファタハをむりやり政権にとどまらせようとしたのが、イスラエルと米国だ。「民主主義」をあれほど喧伝している米国とイスラエルが、パレスチナの民主主義の結果を認めず、踏みにじったのである。
テロリストというなら、パレスチナ人から見たら、イスラエルこそがテロリストだといえるし、そもそも911以降「テロリスト」なる用語は、完全に政治的なレッテルになってしまっている。それにハマースも一枚岩ではなく、イスラエルとの対話を認める勢力もある。それなのに、相手をテロリストなどとレッテル貼りするだけで、対話を拒んでいては、まともな政治ができるわけがない。
責任はすべて米国とイスラエルにあるといえる。

停戦およびイスラエルのガザ撤収が宣言された今となっては、イスラエルと米国にはハマースがパレスチナ人の民意を得た合法民主政権であることを尊重し、対話を推進することを求めたい。そして、イランやヒズブッラーとも対話すべきだ。

イスラエルはユダヤ人の出生率の少なさとパレスチナ人の出生率の多さから、早晩、自然消滅することになる。シオニズムには正当性がなかったとはいえ、イスラエル国家にも既成事実がある以上は、今イスラエルに住むユダヤ人にも生存権はある。だが、今回のガザ攻撃で、パレスチナ人からの恨みを深めてしまった。これ以上イスラエルが愚行を繰り返すことは、決してユダヤ人にとっていいことはないだろう。いや、このままでは近い将来、ユダヤ人は再びディアスポラになってしまうだけだろう。

時代の流れはパレスチナ人側にある以上、イスラエルは姿勢を低くして、パレスチナ人に寛容と慈悲を乞い、将来成立するパレスチナ国家において、ユダヤ人も生存する空間を要望するのが賢いありかただろう。
もっとも、今の被害妄想にかられているだけのシオニストたちにはそんな知恵はないだろうが。

対中「対話」に過大な幻想を抱くアホな国民党、ようやく幻想から目覚めつつあるダライ・ラマ

2008-11-04 03:13:04 | 世界の民族・言語問題
台湾政権党の中国国民党が、すでに経済的に崩壊して、各地で暴動が頻発している中国に過度の幻想を抱いて「経済交流のための対話」をはじめた3日、対中和解融和に取り組んできたチベットの指導者ダライラマ14世が、訪問先の東京で、「中国との対話路線は失敗した。自由を弾圧する現在の中国政府は信用できない」と言い放った。
ちょうど時期が時期だけに、ダライラマの発言は国民党への冷や水を浴びせるものである。

台湾では、民進党本部職員など独立志向勢力の間では、実は最近の対中融和路線のダライラマには失望している人が多かっただけに、今回のダライラマの「覚醒」には、台湾の独立志向派も「遅きに失したが、やっとわかったか」という感想が出ている。

ダライラマが対中融和路線をとっていたのは、おそらく彼を支援しているCIAなど米国政府の意向によるものだろうし、最近対中強硬路線に転じつつあるのも、中国の経済崩壊を見通している同じく米国政府の意向によるものだろう。そういう意味では、ダライラマは何のことはない、ただの米国の傀儡なのだ。傀儡はその主人の意向に従わねばならない。

そういう点でも、私は中国に抑圧されていて独立運動が盛んなチベット・ウイグル・モンゴルの3民族の中では、イスラームということで米国の支援が及び腰な感が強いウイグルが一番マシだと思う。しかもイスラームは仏教と違って、念仏を唱えるだけではよしとしない。もちろんウイグルもばらばらだという難点はあるが、抑圧的な体制には、やはり武力を使ってでも戦うというウイグル人のあり方は正しいと思う。
東チモールが独立できたのも結局、武力を行使してきたからであるし、パレスチナ人の戦いが困難であるもののそれなりに世界から共鳴を受けているのも要するに「不義の相手には相応の反撃が必要」という抵抗権が正しいからである。

そういえば、ダライラマのことを中国当局は「ダライ」と略す習慣があるが、あれは本当に間抜けで、中国政府の異文化蔑視・無視の思想がにじみ出ている表現だ。なぜなら、ダライだけなら「海」という意味にしかならないからだ。つまり、「ダライ集団」という言い方は「海集団」といっているに等しく、何のことかわからない。ちなみに、ダライってなぜかモンゴル語なんだよね。



朝日新聞電子版3日配信
> ダライ・ラマ「中国との対話路線、失敗」 東京で会見
> 2008年11月3日18時51分
>  来日中のチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世は3日、東京の日本外国特派員協会で記者会見し、チベットの高度な自治獲得を目指し中国当局と対話してきた従来の穏健路線について「成果が見られず失敗だった」と述べた。今後については、インドで今月開く亡命チベット人の緊急会議の判断に委ねる考えを示すとともに、中国側の姿勢変化へ期待感もにじませた。
>  ダライ・ラマ側と中国当局の対話は02年に始まり、今年3月のチベット騒乱後、3回目の対話が現在、北京で行われている。
>  これまでの中国側の姿勢についてダライ・ラマは、何度か改善の兆しを見せながらもその都度、期待を裏切られたと指摘。「その間、チベット情勢は悪化するばかり。対話路線で事態が好転しないことに、チベット人の間で批判が強まっている。人々の判断を仰ぐのが私の務めだ」と述べた。
>  一方で「中国政府への信頼感はどんどん薄れている」としながらも「中国の人々を私は信頼している。中国の政治状況が変われば、合意には何日もかからない」と、対話による解決にも意欲を見せた。


毎日新聞電子版2日配信
> http://mainichi.jp/select/world/news/20081103k0000m030055000c.html
> ダライ・ラマ:「中国政府への信頼なくなりつつある」
> 共同インタビューで報道陣の質問に答えるダライ・ラマ14世=東京都中央区で2008年11月2日午前11時33分、内藤絵美撮影
>  来日中のチベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世(73)は2日、東京都中央区で毎日新聞などのインタビューに応じ「中国政府への信頼はなくなりつつある」と語り、不信感をあらわにした。中国との対話を今後も続けるかについては言及を避け、17日からインド北部ダラムサラで開く亡命チベット人代表による会議で議論する意向を示した。
>  ダライ・ラマは、3月のチベット暴動後も中国政府による僧侶の逮捕や暴力が続いていることを指摘。中国政府は「自由がなく、腐敗した共産主義だ」と非難した。
>  チベットの自治を巡っては現在、北京でダライ・ラマの特使と中国政府との対話が行われているが、大きな進展は期待できない。対話継続の是非を巡り、亡命チベット人による議論が始まることをふまえ「私は中立の立場だ」と語った。
>  自身の後継者については「チベットの民衆が決めることで、私はかかわらない」とだけ述べた。【鵜塚健】