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むじな@金沢よろず批評ブログ

台湾、国際情勢、アニメなどについて批評

苗栗県1区立法委員補欠選挙で、国民党敗北、しかし僅差、台湾人は相変わらず愚鈍

2009-03-15 17:23:58 | 台湾政治
昨年1月の立法委員選挙時に買収などを働いたとして李乙廷(中国国民党)に対する当選無効判決が確定してことを受けて3月14日、苗栗県一区立法委員補欠選挙が実施された。寒波の再来で冷たい雨がときおり降る中で、投票率も42.1%と低かったが、民進党も支持する無所属の康世儒氏(現・竹南鎮長)が1600票差で当選した。
苗栗県は国民党の強力な地盤で、元々国民党員とはいえ、事実上民進党候補といえる康氏が当選するとはほとんど予測されていなかった。

国民党政権が成立してわずか10ヶ月弱で、国民党公認候補が地盤で敗北したことで、国民党政権は早くに危機に直面している。

ただし、「台湾の声」がうれしそうに「今回、与党・国民党は李乙廷氏の当選無効の重みを反省することなく、李乙廷氏の妻である陳鑾英氏を公認候補としたことが世論の反発を招いた。」というのは、言いすぎだ。
というのも、康氏が地盤の大票田竹南鎮で1万3000票差と大きく引き離したのと、民進党が比較的強い苑裡などで票を伸ばしたことが勝因となったわけだが、勝ち幅は千票台と接戦でしかなく、逆にいえば竹南がなければ大きく負けていたわけで、これを見ても決して台湾人がちゃんと自覚して国民党に反発したとはいえない。反発はあるが、まだまだ強くはなく、台湾人は相変わらず自らの誤った選択を反省することなく、愚鈍のままでいるということだ。

だから、この結果がそのまま3月28日にある台北市大安区立法委員補欠選挙に反映されるかは私自身は懐疑的だ。もちろん長年の友人である民進党公認の周柏雅氏が当選するに越したことはないが、苗栗県と違って都会で外省人比率が高い大安区は、新自由主義政策でも資源が優先的に投入され、国民党の失政に気づきにくいどうしょうもないアホな地区だからである。
日本でもそうだが、ネオリベ保守の失政のツケは、田舎ほど、下層ほど強くのしかかり、都会や富裕層はむしろネオリベを歓迎する気風が強い。日本でもいまだに自民党支持が多いのは、むしろ東京であって、田舎では民主党への交代を期待する気風が強まっている。
日本でも現れているネオリベ保守に対する庶民の批判が、苗栗のような田舎だから、少しは出てきただけだ。
28日の大安区では民進党が勝つことは難しい。しかし、そのかわり、12月5日に予定されている県市長選挙では、国民党が大敗しそうだ。というのも、現在国民党が握る県市のうち8県市で国民党の跡目争いが激化して、国民党分裂選挙となる気配が濃厚だからだ。

とはいえ、このブログで前から指摘しているとおり、私は年末に県市長選挙が実施されることそのものに懐疑的だ。それは国民党が共産党を引き入れて台湾が中国になってしまうというのではなく、秋ごろまでに台湾で失業者が400万人くらいになって、食えなくなった民衆による暴動が発生する可能性が高いからだ。暴動になれば、馬英九は何も打つ手がなく、、南ベトナムのグエンバンチューのように米国に逃亡、しかしもしそれまでに民進党が強力なリーダーをいただくことなく、今のような弱体を続けていたら、民衆を組織する求心力がなく、暴動が継続して(幕末のときに受け皿の新政府が登場したために、「ええじゃないか」が終息したようにならず)、そうなると、台湾が完全に無政府状態になって(北斗の拳や今のソマリアのように)、選挙どころじゃなくなるからだ。(そして最終的には戦略観がない日本が国力だけはあるばかりに不承不承、無政府台湾を引き受けざるを得なくなる)

中国が呂秀蓮に触手を伸ばしたのは、中国が民進党の復活を予想しているからでは?

2009-03-15 13:32:55 | 台湾政治
7日付け聯合報がトップで報じたことだが、中国が呂秀蓮・前副総統の訪中を期待しているようだ。呂自身も「私はもはや自由な身だ」として前向きの発言をしているが、民進党内からは「統一戦線工作に利用される」と警戒する声も出ているし、副総統経験者がほいほいいくのはどうかと思うので、難しいだろう。行きたいなら「玉山午報」社長なんかじゃなくて、ちゃんと前副総統という肩書きで行くべきだろう。

それはともかく、このニュースは中国側が、一義的には民進党勢力の分断を狙ったものだといえるだろうが、うがった見方をするなら、混迷する一方の国民党政権に政権維持が不可能と見て、そうなると消去法で民進党が再び台頭せざるを得ないことを見越して先手を打った分裂工作といえるだろう。
中国共産党はその本質からいって、権力がある、もしくは取る見込みがない人間には近づかない。そして、「権力」に関する嗅覚では鋭いところがある。

その意味では、呂に触手を伸ばしはじめたということは、中国共産党が国民党の将来性に不安を覚え、民進党の復活を予測しているということだろう。

もっとも、ここで何度も指摘しているとおり、国民党による台湾経済、社会体制破壊政策が思った以上に急激に進行している今、民進党が敗戦の打撃から復活する前に、台湾そのものが日本に管理される可能性のほうが高いだろうが。

裸の王様・KY陳水扁、息子らの「罪状自白」は司法取引戦術だが、陳水扁の政治生命の終焉を意味する

2009-01-24 17:14:07 | 台湾政治
陳水扁が獄中手記などをまとめた本を出したことは完全に裏目に出たようだ。
民進党の陳水扁に近い幹部の秘書も「あの本を読んで、愛想をつかした。こんなことじゃ弁護しようがない」と呆れていた。「これで陳水扁はオワタ。ただそれは同時に陳水扁事件を騒ぐことで、失政を隠してきた馬英九政権の命運の尽きでもある」。

それはともかく、陳水扁の新刊が出てから、側近や息子夫婦らきわめて親しい人たちが罪状認否で「罪を認めて謝罪する」のが相次いでいるのは注目すべきことだろう。
これは台湾の司法システムに無知な日本人や中国人などは「ほら見たことか、陳水扁は黒だ」と思うみたいだが、これは司法取引の一種。「罪を認めてほかの被告に関する証言をすること」で、その罪を認めた本人が被告ではなく証人になるとか、無罪になったり、せいぜい罰金刑になったりする、そういう取引なのだ。

なぜこういうことが行われるかというと、台湾の司法機関の能力の低さにある。早い話が台湾は民主主義といっても司法(および立法)はまだまだ前近代的なのだ。

そもそも台湾の司法は、日本などの多くの先進国のように厳格な物証にもとづいて認定していくのとは違って(ただし米国は司法取引を多用するが)、自由心証主義なので、捜査や裁判の過程での被疑者や被告の「態度」「人格」「発言」が判決を左右する。
だから、逮捕されてから態度がよければ、実際には犯罪を犯していても無罪になるし、態度が悪ければ犯罪を犯していなくても有罪になってしまう。
いってみれば、前近代的な大岡裁きみたいなもの、近代的な司法制度とは言いがたい。
そこを勘違いして、民主主義国家の司法制度だから、日本と同じようにきっちりやっているだろうと思ったら、それは国情の違いをわかっていないバカだ。
陳水扁やその家族が逮捕起訴されただの、有罪になったりしたとしても、それを日本の司法の常識で当てはめて、本当に犯罪を犯していると思い込んではいけない。台湾の司法は日本の基準でいえば司法ではないのだから。

ただ、郷に入れば郷に従えというか、そういう前近代的システムが機能しているのは事実である以上、それにあわせて被疑者や被告も行動すればいいのだ。態度がよければ心証も良くなって無罪になる。
そういう意味では、捜査が始まってからの陳水扁と家族が言動や態度は、民衆や裁判官の心証を悪くするものであり、そういう意味では頭が悪すぎた。

しかも、新刊書が出てからまもなくの段階で、側近や息子夫婦が相次いで「罪を認める」発言をしたということは、新刊書を読んだ関係者が「こんなやつを庇って、やってもいない罪で自分が有罪になるのはバカらしい」と思った可能性が高い。
陳水扁は自分を政治迫害の犠牲者と見立てて、新刊書で「自分はこんなにかわいそうだ」と訴えて、同情を引いて、それで無罪を勝ち取ろうとしたのだろう。
また同時に自分の獄中生活が長引き、さらに蔡英文や新潮流も不人気とあって、謝長廷が次の盟主に復活することが必然の情勢になっていることから、謝長廷の出鼻をくじくために謝バッシングを行ったのだろう。

ところが、世の中はそうは見ない。「私はかわいそうで、間違っていない」としたまではいいが、それで同じ民進党の同志である謝長廷らを攻撃してしまったので、逆効果になってしまった。
もっとも、謝長廷本人が出てきて反論を行うというミスをやらかしてしまったので(その後誤りに気づいたのが沈黙したが)、陳水扁による謝長廷の足を引っ張る戦略は少しは奏功したといえるが、肝心の自分自身の無罪につなげる戦略は失敗どころか、裏目に出てしまった。
そういう意味では陳水扁は「裸の王様」で、完全にKYになってしまっている。貧すれば鈍すともいうべきか。

台北市長から2004年の総統選挙までの、あの、輝いていて、仕事もできた陳水扁はどこに行ってしまったのか?もともと本を読まず深みがないキャパシティや器の小ささが災いしたのか。陳水扁を見ていると、漫画や芸能界の一発屋を見ているようだ。一時だけはすばらしいアイデアや能力を発揮するが、それで才能を使い果たし(その程度の才能しかなく)すぐに飽きられ、飽きられた後も下手にあがいて、自ら首を絞めてしまう、というパターン。
それだけ台湾の政界というより、政治の世界は淘汰が速い。

そういう意味では漫画の「こち亀」や「ゴルゴ13」、政治でいえばチェコのハヴェルなどは、驚異的に長持ちしている、天才というべき領域だろう。
台湾だって李登輝だってもうとっくに駄目になっているし、馬英九は就任からたった半年あまりでもはや駄目になっている。

というか、台湾人は陳水扁が嫌いだといって馬英九に入れたんだが、いずれも人間の器が狭く、教養がないという点では同じタイプだったのに、そこが見抜けなかった台湾人はアホなんだろう。

陳水扁はやっぱり死んだほうがいいかも、新刊の獄中日記は同志攻撃に終始、人格的に破綻しきっている

2009-01-21 03:23:00 | 台湾政治
レバノンで誤認拘引されたことで、似たような境遇にある陳水扁にも若干同情心を持ち始めていたのだが、陳水扁の獄中日記と半生記をまとめた新刊「台灣的十字架」(財團法人凱達格蘭基金會、2009年)を読んだところ、そうした気持ちは完全に薄れ、やっぱり陳水扁は早く死んでもらいたいと思うようになった。
この本は247ページで、前半32-121ページは「獄中対話」として、11月11日から24日の獄中日記、後半124-244ページが「台湾萬歳」として半生について語ったものだ。
獄中対話では45ページに李勝雄弁護士の差しいれで台湾語漢字聖書を読んで初めて「読み間違えていたものと漢字がわからなかったものの漢字がわかった」と間抜けなことを書いているが、それでも教会ローマ字を挙げているところはまだ良い。
問題は後半の「台湾萬歳」の部分にある。
小学、中学、高校を通じてトップだったということをひけらかしているところが、総統まで上り詰めた人としては、まあ何ともお粗末なのだが(自己愛が強すぎるんだろうね)、これもまだご愛嬌として笑えるとして。

ひどいのは154-157ページに2008年総統選挙で民進党が負けた原因として、陳水扁と距離を置いたこと、党が団結できず個人の魅力の戦いになったこと、国連加盟レファレンダムを放棄したことの三つを挙げているところだ。
大体、すでに終わった話を今の時点で蒸し返して、しかも同志攻撃するような真似は台湾ではタブーだろう。これを読んだ独立派の人間も「終わったことを何をいまさら」といっていた。そういう意味で、陳水扁は中国人や朝鮮人に似ている。
それから、蒸し返すとしても、陳水扁には蒸しかえす資格がない。
そもそも大敗した原因は、陳水扁自身に最大の理由があるし、党が団結できなかったのも謝長廷が候補に決まってからも謝の足を引っ張りつづけ、謝が葉菊蘭を副総統候補にしようとしていたのも妨害して、むりやり蘇貞昌を推して、足並みが乱れるようにしたのも陳水扁のせいなのだが、それには頬かむり。
団結できなかったという部分で、民進党は基本票が40%あって、選挙では普通なら45%は取れる。2004年に私(陳)はそれに5%プラスすることに成功したが、今回は45%すら割り込んで41%になってしまった、と謝長廷の名前を挙げないまでも、批判している。
さらに、レファレンダムは2004年総統選挙で勝利する原因になったように、選挙で意味があるのに、謝長廷がそれをアピールせずグリーンカードにしか打ち出せなかったのも駄目だと攻撃している。

つまりここに現れているのは「俺は正しいが、ほかのやつはすべて間違っている」という独善的な姿勢。
だったら、裁判だって「政治迫害」などといって、弁護士になきつかずに、自分だって弁護士だったんだから、そんなにご立派なら、自分ひとりで弁護すればいいようなものだし、大体、中途半端にハンストして、しかも何の意味もなくいきなりハンストを止めたり、無意味なことをせずに、淡々と裁判に臨めばいいようなもの。

独善的という以前に、頭も悪いようだ。

陳水扁との距離を置いたのが失敗だったというが、実態は逆で、もっと距離を置くべきだったのに、台湾人の人情もあってできなかったことが問題なくらいだ。そして有権者も謝長廷を陳の後継者とみなしてしまったために、思わぬ票差につながったのだ。つまり、すべて原因は陳水扁にある。
大体、レファレンダムというが、2004年には奏功したからといって、その後も奏功するはずだと強弁するのは、陳の脳内の勝手な妄想であって、世の中の変化というものをまったくわかっていない裸の王様の主張だ。
もっとも、2008年でもレファレンダムは効果を発揮することはできた。ただし、それは陳自身が2003年に言い始めた憲法制定を問うものだったら、まだしも国民党本土派を含む多くの人からその一貫性を評価されただろうが、それはいつの間にか引っ込めたうえで、唐突に国連加盟を言い出したのは、明らかに愚策である。しかも国連加盟というなら、まずは憲法を解決するのが物事の手順としては先だろうし。

しかも、ここで選挙に有利だと書いた時点で、やはりレファレンダムは陳自身が当時主張していたような台湾の長期的利益でも民主主義の発展のためでもなく、「選挙に勝たんがためだけ」の党利党略だったということを自ら暴露してしまっている。こういうところが、民衆に見透かされたから、レファレンダムが失敗したんだろうに。
レファレンダムというのは、確かに進歩的な制度だと思うが、それを陳水扁が単に党利党略や権力欲のために利用しようとしたため、レファレンダムの意義が貶められてしまったのだ。

また噴飯ものとしては162ページで開業弁護士のはしりのころに、事務所の名前を「華夏」としたのも、その英語名をFormosaとしたように、華夏はFormosaの当て字、音訳だと強弁しているくだりがある。私がもっとも憤激したのは、この部分だ。

さらにこの後では、台湾は海洋国家で、中国は大陸国家で、根本的に異なる、と主張しておきながら、224-226ページでは、台湾もドイツ、朝鮮、ベトナムと並ぶ「4つの分裂国家」として同列に並べたうえで、自身が中国との関係でしばしば言及してきたEUモデル、ドイツモデル、朝鮮モデルによる共存と統合(!)を再度提起しているのは、支離滅裂で、何をかいわんや。
陳水扁って男は、台湾独立理論の基本をまったく理解できていないらしい。

それでいて、その後、244ページの終結までは、ダライラマの失敗を例に挙げるなどして、ひたすら中国の悪をあげつらって、台湾独立建国のスローガンを絶叫している。
要するに、陳水扁は低脳なのである。今の台湾にとって独立建国は、どういう国柄を作るかの具体的な政策や青写真を示すことであって、単なる反中国感情にまかせたスローガンのレベルではないのだから。

8年間も総統をやっていろんな情報に接したはずなのに、何も学んでいないどころか、むしろ正義連線を立ち上げて、軍の中立化や人権伸張に尽くしていたころの活力に満ちた時期の陳水扁よりも、退化しているのではないか。やはり中華民国体制なんかのトップになったことで、頭がおかしくなったのか。

新憲法、レファレンダム、台湾独立、いずれも陳水扁が一貫して愚直に進めることができず、中途半端に言い出して、そして途中で引っ込めて、選挙になったときだけまた唐突に持ち出すというパターンを繰り返してきたために、国民党本土派や民進党穏健派も含めて、嫌気が差してしまった議題である。
それをまたぞろ陳水扁がスローガンとして持ち出したことに、私もさすがに嫌悪感を感じた。
陳水扁はやはり死んだほうがいい!

とはいえ、台湾独立建国連盟の幹部らが「陳を支持したことを後悔している」などというのは、あまりにも軽率で無責任だと思う。だったら、連戦や宋楚瑜が総統になればよかったとでもいうのか?独立連盟が勢力を伸ばせない理由は、こうした軽率さにあると思う。
2000年と2004年に陳水扁が選ばれたのは、陳個人ではなく、陳に象徴されていた台湾の価値を支持したからであって、陳がつまらん人間だということは、今になって始まったものではないのだし、陳が選ばれたことで、結果として本土派ががんばり、民進党というリベラル勢力が政権を握ることで市民社会も活発になったのだから、悪いことではなかった。

ただし、候補者個人の資質と、それを支える政党、政治集団、基盤、価値とは、それぞれ別の問題であり、候補者個人を盲目的に価値と同一化することは避けるべきなのだ。

だから、私自身は、2000年と2004年に陳水扁が総統になったことは、後悔すべきことではないと思う。陳はどんなにアホでも、それに付随して、本土派やリベラル派ががんばれたし、それが台湾の進歩につながったのだから。
もし2004年の時点で、陳が負けて連戦が総統になっていたら、たった4年の改革はすぐに逆戻りして、台湾は再び独裁に回帰していただろう。まして2004年の時点では中国と結託すれば中国はまだまだ成長途上にあったわけだから、台湾そのものがなくなってしまっていただろう。
ところが民進党政権が8年もったあとで、事情は異なってきた。第一、国民党政権が復帰して、いくら独裁を復活させようとしても、8年の間に元気になった市民社会が容易に屈服しなくなっていることだ。さらに今ごろになって中国と結託しても、その中国が衰退期に入っているときであり、中国との結託は長くは持たないからだ。

そういう意味では、少なくとも8年はリベラル本土政権になったことの意味は大きかったというべきなのだ。

だが、陳水扁個人の人間としての資質はあまりにも駄目だったということだ。でも、それは初めからわかりきっていたこと。
ただ、私も今回この本を読むまで、こんなお粗末な内容の本をこのタイミングで出してしまうほど、状況判断ができない人間だとは思わなかったので、ある意味で驚きである。

いずれにしても、この本を出したことで、陳水扁は確実に終わった。下手に台湾独立運動に口出しして醜態をさらすよりも、とっとと死んでもらいたい。陳水扁はいまや台湾独立と民主主義にとって最大のお荷物になっているのだから。


閑話休題
台湾というのはどうも逆説的に進むところがあるらしくて、「台湾の子」陳水扁がむしろ台湾独立の最大の阻害になってしまったように、「統一派の星」馬英九はむしろ台湾独立の促進要因になってしまっている。
馬英九になってから、社会の親日度はさらに強まったし、台湾独立建国支持者も以前は2割を越えなかったのが、一挙に24%に達している。このスピードならあと半年もすれば、独立建国派が4割を超えるかも知れない。そういう意味では逆説的に馬英九こそが(本人が望んでいることとは反対にw)「台湾建国の父」になるのかもしれない。ただし経済的にはぼろぼろだが。これも皮肉、逆説だがw。

1月14日民進党の尾牙で、中国パンダが台湾黒熊にひれ伏して民進党入党

2009-01-17 17:14:22 | 台湾政治
さて帰国(台湾への)からしばらくたってから14日水曜日夜、台湾の最大野党の民主進歩党の尾牙(忘年会)があった。昨年は選挙大敗や資金不足などもあって中止になっていたが、今年は入居ビルの持ち主の好意と、今年春にも訪れそうな決戦に向けた元気付けの意味もあってか、開催された。
各部門のかくし芸大会みたいなものも行われたが、その中で好評を博したのは、政策委員会による「蔡英文主席の自転車台湾周遊」と、文化宣伝部(広報局)による「中国パンダ、台湾黒熊の技量にひれ伏して民進党に入党する」というもの。
日本人向けには後者のほうが話題のツボになるだろう。

最初パンダの着ぐるみ2人が登場し踊っていたが、そのうち台湾黒熊の着ぐるみ1人が登場し踊ると、その技量に驚いたパンダが「ははー、おみそれしやした」とばかりひれ伏して、ついには台湾黒熊の紹介で、中国籍を捨てて、民進党に入党する、というもの。
まあ、学芸会的といえばそれまでだが、台湾人の場合、こうした学芸会を心底楽しむんで、現場はかなり愉快だった。



↑パンダ登場


↑台湾黒熊登場


↑パンダが民進党に入党

政界引退して鳴りを潜めていた謝長廷氏がラジオ番組で復活

2008-12-11 00:44:58 | 台湾政治
3月の総統選挙で敗れて約束通り政界引退して、鳴りを潜めていた謝長廷氏が10日、自身も出資する台湾独立派台湾語ラジオ局、緑色和平電台(ラジオ・グリーンピース、FM97.3)の帯番組で再登場を果たした。帯番組は午後5時から6時までで10日から始まった「有影上大聲(u7 -iaN2 siong7 toa7-siaN、直訳すれば「本当に最大の声」、「声を張り上げて物申す」みたいな意味)」という名前で、謝氏が担当するのは水曜日で番組名は以前にも同局で持っていたのと同じ「長仔限時批(Tng5-e5 e5 han7-si5-phoe、長さんの速達便、長さんがそそのつど批判する、の二つの意味を込めている)」。
ほかの曜日は、月曜が葉菊蘭氏の「真情菊蘭香」、火曜が姚文智氏の「台灣派出所」、木曜は楊如氏の「卡神真會盧」、金曜が徐國勇氏の「勇仔講法律」。

初回の10日の内容は、自らが組織している「影子政府(影の政府)」の意味について台湾語で「有影」が「本当」、「無影」が「嘘」の意味になることを引っ掛けて「われわれこそ影のある(本当の)政府として、今の馬政権という影のない(偽物の)政府を監督する」と説明。その後、国際人権デー、公共放送に対する国民党の圧迫、民主主義や市民社会の歴史、批判精神の重要性、馬政権の司法機関による不当逮捕、現時点での社会運動、群衆運動の重要性などについて批評、力説した。特に9日に座り込みが終わった野いちご学生運動について「意味がなかったわけではなくて、少なくとも法改正の動きになった。運動がなければ国民党が法改正について議論することもなかっただろう」と評価していた。
ただ、今日はテンションが若干低いように思えた。謝氏は八字でいえば偏印の典型で、テンションの起伏が激しいんだよな。とはいえ、通り一遍のスローガンしかいえないし、下手な詩を発表して失笑を浴びた無教養な陳水扁と比べれば、さすが謝氏は教養豊かだと思った(中国大陸時代の国民党が聞一多らを暗殺したことも取り上げていたし。陳水扁だったら聞一多なんて知らんのじゃないかな)。

参考:
色和平電台・公式サイト http://www.greenpeace.com.tw
影子(影の)政府 http://www.shadowgov.tw/?p=news,detail,15219
謝長廷のブログ http://blog.udn.com/FrankCTHsieh/2460361
ほかに、 http://blog.roodo.com/lifeshot/archives/7773339.html

「陳水扁逮捕」と「邱義仁坊主刈り」に国民党勢力からも高まる「人権侵害」との指摘

2008-12-04 02:34:37 | 台湾政治
陳水扁が逮捕・勾留されているのに続き、前から勾留されてきた邱義仁が坊主刈りを強制されたことから、台湾では「人権侵害では」という指摘が高まっている。
特にヒッピー風髪型がトレードマークだった邱義仁が坊主刈りにされたことから、こうした議論は高まっており、3日には国民党系の「中国時報」が社説で「這不是剃髮問題 是人權問題
(これは髪を切るかどうかではなく、人権問題だ)」として、陳水扁に手錠をかけたり、邱義仁を坊主刈りにしたのは、まだ有罪確定しておらず、起訴すらされていない人を罪人と見立てて、屈辱を与えようとするもので、人権侵害だ」と批判した。
また、国民党タカ派系の聯合報も3日付けの投書欄で、国民党所属の監察委員李復甸(日本留学経験者)が「上手銬、理平頭 剝奪羈押中人權(手錠をかけたり、坊主狩りにするのは、起訴前勾留中の人権を剥奪するもの)」として同様の趣旨で批判している。
その前に2日には、陳水扁バッシングの急先鋒だった法務部長王清峰も「手錠をかけたり、坊主狩りにするなど、勾留に関する措置は再検討の余地がある」と、民進党系政治家に対する一種の報復措置が不当であることを認めた。

国民党タカ派の一部ファシストは、陳水扁が逮捕されたことを「ざまあみろ」などといっているが、台湾の世論は国家元首経験者に手錠をかけ、裁判前にもかかわらず罪人扱いして酷い扱いにしていることに対して、急速に疑問や批判の声が高まっている。それもむしろ民進党よりも、国民党内から批判が出てきているのだ。
もちろん、タカ派勢力は、復讐心に燃えているので、そういう批判も無視して、陳水扁らへの迫害を続行するだろう。

だが、そうすればするほど、陳水扁は政治的に不当に迫害された英雄になってしまうのだ。陳水扁も先日下手な詩を発表して笑い草になった後、わりとおとなしくしているので、ますます同情を集めやすい状況になっているし。

過ぎたるは及ばざるが如し。一時の感情で過激な行動に突っ走った馬政権と検察当局は、台湾国民全体から糾弾される日は遠くないだろう。

「633」はマイナス6%もしくは失業率6%、「747」はKOSPI747ポイントの意味だったのか

2008-12-03 01:36:18 | 台湾政治
08年総統選挙の勝者・馬英九が掲げた「633」の公約は事実上撤回されているが、第3四半期がマイナス成長になり、今後最低でも2個四半期がマイナス予測になっていること、さらに現在の馬政権の無能ぶりを考え合わせると、実はこの「6」つまり「成長率6%」とは、実はプラス6%のことではなく、マイナス6%の意味ではなかったかと思えてくる。

事実、馬英九はこれが正とも負とも言っていなかった。もちろん経済発展といっていたのだから、常識的にはプラスであると解釈すべきだし、みんなそう思い込んでいたが、実はプラスともマイナスともいっていなかったわけだから、マイナス6%というなら、本当に公約は実現されてしまったことになる。あるいは失業率3%ではなく、6%という意味なら、来年はじめにも達成されそうである。

何事も責任を負わない馬英九のことだから、来年マイナス4%を下回り、マイナス6%に近づくことが確実になったら「実は私はプラスといったことはない」と開き直るかもしれないね。

同じように、韓国の李明博が掲げて同じく撤回した公約「747」も、KOSPIの暴落を見ていると、実は「KOSPI指数747ポイント」の意味じゃなかったかと思えてくる。実際、これはハンギョレのBBSハントマなどで指摘していた人がいたけど。

台湾と韓国のネオリベ政権は両者とも、公約撤回の口実を「世界景気後退」になすりつけているが、世界景気後退は昨年米国のサブプライムローン破綻、今年初めの中国株価暴落で予想されていたこと。それでも、経済をよくするといって、堅実な経済成長だった前のリベラル政権をあれほど攻撃したんだから、「世界景気後退」とは関係なく、台湾と韓国だけは景気浮揚できる秘策があるという訴えだったはずだし、それを期待したから、両者とも大差で当選したんだよな。

それをいまさら「世界的景気後退」のせいにするのは、明らかに詐欺といっていい。企業なら、背任として解任ものだ。

台湾と韓国のネオリベ政権は、いずれも政権を握っている資格も正当性もない。来年には経済不況に怒った両国市民の革命によって打倒されるだろう。
それにしても、台湾と韓国の大統領選挙は、とんでもない選択をしてしまったものだ。

ネオリベファシスト馬英九の肩を持つ雑誌「世界」と「週刊金曜日」の浅薄と愚鈍

2008-11-28 02:43:24 | 台湾政治
大企業の利益だけ考えて中国との宥和を進め、財閥はどんなに逃亡しようが逮捕しないネオリベ馬英九政権。
しかしおかしなことに、日本で「左翼」と自他ともに認める月刊誌「世界」と週刊誌「週刊金曜日」が2年前から、この馬英九と国民党の肩を持ち、逆にリベラルで脱原発を進めてきた陳水扁と民進党を攻撃し、反動政権登場に手を貸してきたのである。

「世界」にいたっては、今年10月上旬発売の11月号に、馬英九のインタビューを長々と掲載、しかもファシスト蒋介石を褒め称えた部分も無批判に載せている有様である。「世界」は80年代までは蒋介石をファシストと批判してきたのではなかったのか?そして、今でも平和憲法護持、脱原発、新自由主義批判が基本理念ではなかったのか?馬英九は台湾に平和憲法を導入するような思想を持っていないし、原発は推進で原発利権にまみれているし、新自由主義そのものである。普通なら「世界」がこっぴどく批判する対象のはずだ。

「週刊金曜日」にいたっては最近は佐藤優にすっかり取り込まれて、日の丸を肯定するまで堕落している。しかしその堕落はすでに2006年7月に馬英九を賛美する記事を掲載したときから始まっていたのである。
私もかつて週刊金曜日には、反原発の問題で何度か寄稿したことがある。しかし原発を推進するネオリベ馬英九を賛美する記事を臆面もなく載せたのを見て、もう駄目だと思った。要するに理念などないのである。

「世界」といい、「週刊金曜日」といい、馬英九を、ウヨクが嫌う反日派だからということで、無条件に左派の仲間だと思い込んでいるのだろうか?馬英九が原発利権にまみれているから原発推進に邁進し、蒋介石を賛美する反動思想を持っていることをなぜ吟味しようとしないのか。

このナイーブさこそが、かつて「世界」が金日成や毛沢東を賛美し、今はチャベスやカストロを評価する軽率さにつながっているのだろう。要するにマトモな思想がない。あるのは、戦後ン本の「左翼」の習性であったところの「ウヨクが嫌うものは敵の敵で味方」「反日ならすべて左翼のはず」という単純な「日本のウヨクのアンチテーゼ」という、単純な日本一国主義の鎖国思想、視野狭窄症だけなのだ。日本ウヨクの反対が左翼なのではない。戦後日本左翼の問題は、結局、日本のウヨクを基準にしてそのアンチテーゼにとどまっていた自律性のなさであろう。80年代後半の冷戦崩壊で、戦後左翼が賛美してきた「似非社会主義国家」が崩壊すると、その急所を突いて反共宣伝でのしあがったウヨク論壇に戦後左翼が敗れたのは当然だろう。
「世界」はどんどん衰退し、私の学生時代は3万部に下がっていたのが、今では5千部程度だろう。「週刊金曜日」も佐藤優が憲法護持だからといって左派だと誤認し、絡めと
られてしまった。いずれも本当の意味での左翼思想も、透徹した視野も、人間を吟味する知力も持っていなかったということだろう。

「週刊金曜日」が日の丸万歳に絡めとられたのは当然だろうし、おそらく「世界」もそうなると思う。金日成やホーネッカーを賛美し、馬英九を評価しているくらいだから、日の丸を賛美するのも紙一重の差に過ぎないからだ。

一握りの大資本家の庇護者として庶民を敵対するネオリベ+ファシスト馬政権

2008-11-28 02:41:56 | 台湾政治
馬英九政権は、外省人政権というより、新自由主義を信奉する金持ち優遇政権という階級的本質がますますあらわになっている。
陳水扁前総統の政治献金疑惑で、不正献金を行ったという容疑が持たれ指名手配されていた財閥辜家の4代目、辜仲諒が、逃亡先の東京から台湾に戻った。しかし、陳水扁ら民進党関係政治家が「逃亡の虞あり」として逮捕されたのに対して、「逃亡の虞」どころか実際に逃亡していた事実がある辜仲諒は事情聴取後、1億元の保釈金を用意したことで身柄拘束は免れた。さらに辜仲諒の弁護人には、馬英九特別費横領事件のときと同じ弁護士がつくことになった。
また、陳水扁と親密だった大地主家族の余政憲も、検察は「勾留するに及ばない」との判断を下している。

これまで露骨に金持ち庇護をされるとあいた口がふさがらない。さすがに国民党内からも疑問の声が上がっており、民進党寄りのテレビ民視と三立は「二重基準」を厳しく指摘している。しかし、これが馬英九政権の本質なのである。

彼の反日親中政策も、大中国イデオロギーというよりは、むしろ大企業利益の極大化という新自由主義的思想から出てきているのである。


中立の仮面をかなぐり捨てて、深藍=反動路線の本性を現した蘋果(リンゴ)日報

2008-11-28 02:41:22 | 台湾政治
以前にも書いたが、10月中旬以降、香港系の蘋果(リンゴ)日報が明らかにおかしい。というか、香港系国際資本の大中国、反動体質を露骨に顕しはじめた。
特に27日付け一面トップ記事が露骨で、他の親中派日刊紙の「聯合報」が「タイの黄色シャツ部隊が空港を占拠し、台北バンコック便キャンセル」、「中国時報」が「馬総統:年末までに失業救済対策出動」がそれぞれトップ見出しなのに対して、リンゴ日報は「海角7億 陳水扁家は国家への返還を了承」がトップ見出しで、陳水扁バッシングもの。

ニュースの扱い方としては、タイの事件をトップに持ってきた聯合報が最もマトモだといえるが、中国時報でも許容範囲だ。しかし、いまだに陳水扁バッシングに固執するリンゴは異常、心理的変態というしかない。

リンゴも社説などオピニオン面はわりとマトモではあるが、以前から写真を多用した扇情的な記事が多く、お世辞にもマトモだとはいえなかった。創刊当時は親民党の影がちらついていた。
ただそれでも創刊以降ずっと努めて中立を装っており、特に2年前の陳水扁打倒運動の際にも冷静な報道をしてきたのに、なぜかここに来て、聯合報もびっくりの統一派イデオロギーぎらぎらした偏向報道が目立っている。
聯合報も社説や投書欄や世論調査は深藍に偏っているが、一般記事そのものや記事のレイアウトそのものはそれほど偏っておらず、資料整理もよくやっていて、しかも扇情的でカラフルな紙面構成ではないので、私は意外に好感を持っている。
中国時報は、2年前の陳水扁打倒運動のころは、一番偏っていて扇動的だったが、最近は割合冷静で中立路線になっている。社説やオピニオン面は以前から聯合報よりはバランスが取れていた。ただ、紙面処理は毎日ぶれまくっていて、27日は馬よいっしょっぽい構成になっているが、違う日は馬に批判的な構成になっていたりする。名前が「中国」を冠しているのも胡散臭いし、中国進出している食品企業旺旺が最近買収したので、今後親中の本性をあらわにするかもしれない。
ただ、外省人資本とはいえ、それでも聯合報と中国時報は、台湾で生まれ育った新聞である。統一派イデオロギーがあったとしても、台湾に自生的なもので、まだ理解はできる。

しかし、最近のリンゴ日報は香港基点の国際資本ジョルダーノの系列で、そもそもは台湾に自生したものではない。
それでも、オーナーの黎智英はもともと右派リバタリアンで、中共に批判的で、民進党政権になって自由な台湾にあこがれて台湾に移ってきたのだが、しょせんは中国人としての大中華思想は隠しがたいということか。しかもオピニオンは独立派のも採用しているとはいえ、基本的にイスラエル万歳、米国共和党万歳、企業の最大利益を確保できる新自由主義を鼓吹する傾向が強く、はっきりいって経済右翼的体質もはっきりしていた。現在はそれが中華思想とも結びついて、醜悪なものになっている。

それならまだしも聯合報のほうがマシだ。聯合報は反動とはいえ、それでも台湾で育ったものであり、外省人の一部反動思想を代表しているものだから、否定はできない。
統一派新聞は、聯合報だけで十分だ。聯合報はまだしも基本的な品位と職業倫理はある。
リンゴ日報は最低の毒リンゴ、腐ったリンゴだ。

ただ日刊紙では唯一の本土派の自由時報も、経済・社会政策的には右派的・反動的で、台湾民主化の中で育った本土派の基本路線である中道左派とはズレがある。本土派運動の基本思想である脱原発、弱者の権利、楽生院運動などには、自由時報は冷淡かむしろ敵対的ですらあった。米国のイラク侵略も手放しで褒め称えた。ところがイラク侵略こそが、米国のアジアでの不在を生み出し、その反テロが中国に少数民族弾圧の口実を与え、結果的に台湾の外交的困窮を招いたことを考えると、自由時報もまた本当に台湾人の利益を代弁しているとはいいがたい。そういう意味では、今の台湾の主要4紙は、ドングリの背比べなんだが。
もちろん右派しか選択肢がないなら、本土派の自由時報を選ぶしかないが、自由時報を喜んで読むってこともできないんだよね。

もっとも、自由時報が経営するメディアでも英字紙のTaipei Timesのほうが、自由時報と違ってなぜかかなりリベラルなんだが(よく社会運動の記事を載せているし、配給受けている論説も英国のガーディアンとか左派系のが多い)、しょせん英字紙だと一般的な影響はない。

かつて台湾日報は大資本がバックだったといえ(それをいうなら、英仏の左派日刊紙もそう)、経営と編集が完全に分離していて、けっこうリベラルだったからよかったんだけどね。
韓国のハンギョレや京郷新聞にあたる本土派左派新聞が台湾に出てこないのは、非常に残念なことだ。


言論弾圧の手口 三立テレビのオーナーに追徴課税

2008-11-28 02:39:58 | 台湾政治
やっぱりやると思ったが、やっぱりやりました!何がって、現在一番馬政権批判の急先鋒じゃないかと見られる三立テレビのオーナーで会長の林崑海、社長の張栄華がそれぞれ2千万および4千万元を脱税していたとして板橋地検に指摘を受け、それぞれ追徴金を払って起訴猶予処分を受けた、と聯合報25日付けが伝えた。
台湾では誰でも脱税をしているが、わざわざ摘発するのは政治的反対派に対してなされる手口として、80年代まで多用されたもので、政治的な意図以外の何者でもない。
馬政権になって逆コースがあらわになっている折、80年代さながらの古臭い手口で、反対派いじめに出ているということ。

実は陳水扁フェチwなのかもしれない国民党

2008-11-28 02:39:22 | 台湾政治
最近、台湾の国民党系テレビ局(TVBS、中天、東森)の討論番組や、後述するがリンゴ日報・壱週刊は毎日のように「陳水扁の汚職疑惑」ばかりw。経済不況で株価が一貫して下落して、企業のボーナスも出なくなり、失業率が高まっているというのに、相変わらず「陳水扁」の話題ばかりw。
「経済をよくする」のが唯一最大の公約だった国民党政権が、経済では失政を重ねているので、そこから目をそらそうとしているのだろうか、しかし、そこまでして陳水扁バッシングばかりしていては、逆に陳水扁フェチなんじゃないかと思ってしまう。

好きの反対は嫌いじゃなくて、無視、無関心だからね。

25日には、消費券問題で立法院の委員会で口論になった民進党の蔡煌瑯と国民党の呉育昇が言い争って、蔡が「民進党時代は経済成長率は5%だったのが、今はマイナス、失業率も上昇し、株価が9000ポイントから4000ポイント」と突っ込んだところ、呉が「それはすべて陳水扁が横領したからだ」などと反論していたが、ぜんぜん説得力ないわねw。
ここまで陳水扁を意識してしょうがない国民党って、心理的な変態というか、実は陳水扁が好きでたまらないんだろうねw。もうアホかとw。
しかも陳水扁パクっておいて、いまさら陳水扁のせいになんてできないと思うが?

陳水扁の身柄を拘束することで、陳水扁を悲劇の英雄にしてしまった国民党の下策

2008-11-26 03:20:15 | 台湾政治
陳水扁を拘束(逮捕・勾留)したのは短期的には国民党にとって有利だったといえるだろうが、長期的には確実に国民党にとってマイナスだろう。
何せ、いったん、身柄拘束したら、そうそう簡単には保釈できないからだ。保釈したらその時点で、逮捕が不当だったことを認めるようなものだからだ。かといって保釈しないで勾留したままにするのは人権侵害という非難を浴びることになる。

各所の座り込みやハンストもそうだが、この手の極限闘争、極端な手段というのは、落としどころや結末がつけにくい。実は検察当局は今頃、しまったと思っているのではないか。

台湾のテレビの報道では、すべての「罪状」について別件逮捕勾留を続けていけば2年半は勾留したままにできるという話だが、そうやって勾留したままだと、単なる人権侵害ということになって、国内外から非難が高まるだろう。

仮に「すべての罪状」ではなくて、単純に勾留を二回4ヶ月続けて、それから保釈するとしよう。11月12日の勾留から4ヶ月というのは、3月10日ごろだから、228記念日の後で、台湾では人権や国民党の負の歴史について最も敏感になる時期である。
陳水扁のことだから、そのタイミングを最大限に活用し、228と結びつけて大イベントを仕組むだろう。
そうなったとき、国民党はどうするのか?

しかもそのころまでには、経済は決定的に悪化して、アイスランドの二の舞になる一歩手前になっているかもしれない。陳水扁の世論誘導が経済悪化の不満とリンクして、それが爆発の糸口になるかもしれない。

かといって、それを避けて穏便にすぐに保釈したら、逮捕そのものの不当性が浮き彫りになってしまう。
まことに厄介だ。


国民党が本当に賢ければ、陳水扁を在宅起訴にし、時期もベストだったのは退任直後、あるいは後れるなら陳雲林来訪から距離を置いた年末あたりに淡々と在宅起訴すべきだった。
陳水扁はもともと中身も大してなく、8月に海外送金を認めたことで、民進党の伝統的支持者ほど陳水扁離れが起こっていた。陳水扁の「疑惑」に触らず、放置しておけば、陳水扁の駄弁癖に呆れる支持者はますます陳から離れ、陳は自然にフェードアウトし、政治生命が絶たれていただろう。
国民党が本当に狡猾なら、8月の海外送金承認問題をうまく利用して、民進党支持層によって陳水扁の政治生命を絶たせるという手段を選んだはずだ。ところが、陳雲林来訪直後という敏感な時期に、しかも警察の過剰鎮圧が問題になった時期に、陳水扁に手錠をかけて拘束するという強硬手段に出た。これは完全に判断ミスだろう。

国家元首経験者に手錠をかける行為というのは、長期的には普通の人間なら人道的によくないことだと思うだろう。
何よりも、手錠をかけられ逮捕されることを最も喜んだのは陳水扁だろう。
国民党保守派としては、「台湾人の分際で、中華民国総統にまでなって、国民党の利権を一部つぶした憎い敵」陳水扁に屈辱を与えるのは快感だっただろうが、いざ拘束してみると、いつ保釈するかの時期をめぐって引っ込みがつかなくなり、長引くほど人権侵害という問題が浮き彫りになってしまう。
一時の感情論で、突っ走ったのだろうが、とても政権運営をしていくまともな政治センスがあるとは思えない。

国民党政権に聞いてみたい。「で、陳水扁はいつまでパクッておくんですか?」