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ある日カッパ姉ちゃんとカメラおじさんの家に一匹の子犬がやってきた。
日々のうつろいの発見と冒険を胸に生きていこう!

さかなクン 絶滅した「クニマス」発見

2010年12月17日 | お宝テレビ館


70年ぶりに発見されたクニマス。
かつてお裾分けした西湖で生きていた。
もしかしたら100年前に絶滅したとされる
ニホンオオカミもどこかの山でひっそりと
生きているかも・・
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さすらいー森の王者16

2010年12月17日 | 投稿連載
森の王者 作者大隅 充
     16
 イーグルバンドルの銀色のオートバイがシューパロ
湖の湖面沿いの林道を走る。営林署の軽トラがカーブ
を曲がって来たのもお構いなくスピードを落とさず、
軽トラの面を間一髪のタイミングで避けて周遊道をけ
たたましく走っていく。軽トラを運転していた営林署
の嘱託の禿げ頭の老人は、思わずブレーキを踏んで急
停車すると跡形もないオートバイの残り風を睨んでバ
カヤロウと叫んだ。
 オートバイを運転していたのは、精悍な顔付になっ
た風見駿だった。その後ろの席に乗っているのは作業
服を着て茶髪の横山秀人だった。高校を今年の春に卒
業したばかりの二人で駿は、東京の大学へ進学して夏
休みでオートバイで関東平野から津軽海峡を渡って帰
郷して、久々に土建会社に就職した秀人と再会したと
ころだった。
「なあ。駿ちゃん。あの噂聞いた?」
「あの噂って、チャータのことか。秀人。」
「なんだ。もう聞いたン。」
「おまえン家に行く前にガソリンスタンドのタツヤ兄
ちゃんとこ寄ったら、シューパロ湖でチャータそっく
りの仔犬を見たって懐かしそうに言ってた。」
「夕張市役所の建設課に行った坂田君も見たって言っ
てた。仔犬にしちゃ身体が立派で野犬みたいのがチャ
ータの小さい時に似てるし、背中の黒い模様もそっく
りだって見た奴みんな言ってる。」
「でももう7年だぜ。チャータが子供のままでいるわ
けねえよ。」
「そりゃそうだけど・・・」
「だってあの幽霊屋敷って、もうないんだろ。」
「とっくに。宮田土建に就職が決まった去年の暮に一
人で行ってみたけどもう草ぼうぼうの、白樺がにょき
にょきで密林。どこだったかもわからなかったさ。」
「幽霊屋敷・・・チャータか・・・懐かしいな」
「ヨッチンも春にぶらっと遊びに来てチャータと幽霊
屋敷のこと言ってた・・・」
「7年か。もう立派な成犬だぞ。生きてたら・・可愛
かったのによ・・・」
「よくなついたなあ・・」
運転していた駿が慌ててブレーキ踏んだ。ちょうど湖
面から林に入った林道だったので道の側溝にバイクの
タイヤが嵌って駿も秀人も一回転して白樺の林の中へ
飛び込んだ。エゾジカの親子が道を横切ったのだった。
 熊笹の中から無傷で身を起こした駿と秀人は、林道
を振り返った。びっくりして動けなくなったシカの子
が道の真ん中で立ちつくしていたのを親シカが飛び出
て来て仔鹿の首を噛んで林の中へ連れて行った。
「危なく仔鹿轢くとこだった。」
「やべいよ。駿ちゃん。スピード出し過ぎ。」
 ふたりは、体についた夏笹の葉を振り払って白樺の
根っこにひっくり返っているシルバーのバイクをセイ
ノウで起こした。
「バイク大丈夫か?せっかく東京からツーリングで里
帰りしていきなり事故ったなんてシャレになんねえか
ら・・」
秀人が訊くと、駿はエンジンをかけてみて丁寧に確認
して
「いや。大丈夫みたい・・・」
そう言いかけて駿が黙った。
「・・・・」
「駿ちゃん。どうしたん。」
駿が見つめている林の方へ秀人も顔をむけた。白樺林
の奥にちょうど少し木のない草地があってそこに夏の
木漏れ日が射していた。駿が声を震わせて「あれ」と
言った。
秀人は、汗で曇った眼鏡をハンカチで拭いてもう一度
その木漏れ日の方を見た。
「何?ウッソ!」
秀人は、腰を抜かしてズシンと熊笹に尻もちをついた。
「あれ。チャータだろ。どう見ても・・」
駿が指差した木漏れ日の林に少し手足が長い仔犬のチ
ャータがいた。そして駿たちを見るとワンワンと吠え
て白樺の中へ消えて行った。
「チャーターーー!」
ふたりは同時に呼びかけて身を乗り出した。
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