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ある日カッパ姉ちゃんとカメラおじさんの家に一匹の子犬がやってきた。
日々のうつろいの発見と冒険を胸に生きていこう!

まめぐい・風車ミント~シーちゃんのおやつ手帖148

2010年09月17日 | 味わい探訪
千代田区丸の内・東京駅構内
まめぐいグランスタ店
風車ミント 1袋・378円
手拭いメーカーの老舗「かまわぬ」の姉妹店
「まめぐい」は、通常サイズより小さな手拭い
(マメてぬぐい)を扱うお店ですが、ギフト用
のお菓子も少々扱っています。
風車ミントは、色鮮やかな風車を模した爽やか
な味の金太郎飴。他に乗り物や動物園をモチー
フにした飴もあります☆
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さすらいー森の王者4

2010年09月17日 | 投稿連載
森の王者 作者大隅 充
             4
季節は春になっていた。
オクヤマの奥は、ダテカンバの林の向こうにあり、
そこを抜けると急に開けていてぽっかりと草原が広が
っていた。
チャータは、ここを野ノ原ッパと呼んだ。そこは野
球場ほどの熊笹の生えた広場であった。熊笹に混じっ
て高山植物が密集しているところは、むかし湿地だっ
た。長い年月をかけて堆積をくりかえし、固い地面と
なった。
ノノハラッパのけもの道は、イタチやヤマイヌの生
活道路であるのか、イタチのフンをチャータは発見し
てクンクンと匂いを嗅いだ。こいつは、朝早くここを
通った。そしてオスでまだ若い。野ネズミを喰ったら
しく内臓を食べたとき一緒に呑み込んだ胸骨の一部が
混ざっていた。
チャータは、ハラッパの道をトボトボ歩いて大きな
一本松の倒木までやってきた。カラスが低空で舞って
いる。こんな高い山でカラスが群れているので珍しい
なと思った。すると苔むした倒木に血の匂いがして腹
を喰いちぎられたキツネが倒木の根っこに転がってい
た。絶命して数時間も経っていない。血が固まってい
なかった。黒い影が頭上を過った。チャータがその血
ぬられたキツネを覗いているのも構わず目の鋭いカラ
スが舞い降りてきてキツネの肉を啄ばんで逃げようと
もしない。
チャータは、すぐにさっきハラッパの入り口で見つ
けたフンの若いキツネだと直感した。かなり鋭い牙で
喰いちぎられている。こんな大きな牙はヤマイヌでも
オオカミでもないなと思った。
チャータは後ずさりながらあたりを見回した。熊笹
の葉がサラサラと風になびいて平地で揺れている。太
陽は真上にあり、雪が融けた青い世界がただキラキラ
とあるだけだ。風のささやきが雷鳴のような轟きに一
瞬にしてかわった。
チャータの後ろから黒いヤマイヌの群れがいきなり
押し寄せてきた。危なく踏みつぶされるところだった。
熊笹の中へ飛びのいた。九匹の大小のヤマイヌたちが
チャータの脇を通ってノノハラッパの入り口へ走って
行った。倒木とキツネの屍に群がっていたカラスが一
斉に飛び立った。
風は唸って消えた。
ヤマイヌはチャータには目も触れず熊笹の原へ身を
消した。その最後にビッこを引きながら走って逃げて
いたメスの小さなヤマイヌはしっぽを喰いちぎられて
いて、痛々しく何回となく転んでは熊笹へ逃げていっ
た。
チャータは、やれやれと笹原から起きだして静かに
なったノノハラッパを後にしようと歩き出すと晴れて
いた筈の空が夜のように暗くなった。そして血と腐臭
と生臭い息とが顔にかかった。視界を覆っていたのは
褐色の固い胸毛だった。
次の瞬間。チャータは弧を描いて倒木の向こうへ飛
ばされた。そして背中にはげしい痛みを覚えた。チャ
ータは巨大なイノシシのタルカの牙と鼻で思い切り投
げ飛ばされたのだった。
ヒィィィィーと空気を切り裂く声を発すると前脚を空
に浮かしてタルカは、見慣れないよそ者に対して威嚇
した。
その声が耳の奥に針を刺すような高音でチャータは
鼓膜が破れるかと思った。こんな大きなイノシシは見
たことがない。なんだ。こいつは。チャータは熊笹か
ら起き上がって倒木越しにタルカを見た。
タルカは鼻息を荒めて今にも突進しそうだった。ま
るで二本の刀のような牙がくるりと尖った鼻の上で巻
いている。チャータは首を縮めて耳を倒した。全身に
鳥肌がたった。タルカは、体を左右に振りながら近づ
いてくる。鼻息でけもの道の笹の葉がひらひらと靡い
て倒れた。
怒りが頂点に達してタルカの体毛がハリネズミのよう
に逆立っている。そして前脚が地面を蹴ると猛然と突
進してきた。
チャータは、咄嗟に倒木の下に隠れた。何かが空を
飛んでふたつに分かれて熊笹の原へ落ちた。あの腹ワ
タのないキツネの体だった。タルカの牙で真っ二つに
切り裂かれて宙に舞ったのだった。
ヴヴヴヒヒィィィィィ・・・
タルカは、首を倒木の前で降り、引き戻ってくるりと
振り返るともう一度倒木めがけて突っ込んだ。
今度は、倒木が折れて宙に舞った。隠れた筈のチャ
ータは、ぽつんと倒木のあった筈の草地に身を曝して
しまった。チャータは再び折れて残った根っこの方の
倒木に隠れた。タルカはうすら笑いを浮かべてその根
っこの倒木に突進した。
ガンと鈍い音がしてタルカの牙が倒木に刺さってい
た。そして身動きできないでいた。チャータはそれを
見ると急いで逃げた。
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