世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

セントヘレナのナポレオン

2018-09-10 04:11:04 | 青空の神話


ポール・ドラローシュ


ナポレオン・ボナパルトはフランス革命後の混乱に乗じて独裁政権を樹立し、フランスの支配者となった。またヨーロッパ大陸に戦争を繰り広げその大半を勢力下に置き、フランス帝国の皇帝となった。だがロシアとの戦争に大敗したのち急速に失墜しエルバ島に流された。そこを脱出して復位し盛り返そうとしたがまた失敗し、最終的にセントヘレナ島に流されて絶望のうちに病死した。



嘆かわしい人生だと思いながら死んだのだろうが、これは当然のことでした。ナポレオンの人生は人から盗んだものだからです。本当は別の霊魂があの人生を生きるはずだった。小さな男がきついことになって権勢欲を持つと大変なことになるという例です。セントヘレナ島こそが、彼の故郷だったのです。





  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

プロクリスとケパロス

2018-09-09 04:11:20 | 青空の神話


ジェローム・マルタン・ラングロワ


暁の女神エオスはある日ケパロスという男の気を引こうとしたが、ケパロスは妻プロクリスを恋しがって思い通りにならなかった。おもしろくなかったエオスはプロクリスを試してやることにした。そしてケパロスを別人に変身させてプロクリスのもとにおくった。プロクリスが夫が化けた男とも知らずに心を傾けると、ケパロスは自分が夫であることを明かして妻の迷いを責めた。それがもとでプロクリスは家を出たが、のちに二人は和解する。しかし互いへの疑問は晴れなかったのか、やがてケパロスは勘違いを元に妻を槍で殺すことになる。



愛をためしてはいけません。人間はまだ弱いもの。愛がどんなものであるかをまだよく知らない。ちょっとした誤解や行き違いが、万年の悔いをつくることもある。まだ根の弱い愛をためしなどしてはいけない。しっかりと根付くまで、大事に育ててやらねばなりません。





  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

レダと白鳥

2018-09-08 04:10:52 | 青空の神話


ジャン・バティスト・マリー・ピエール


全能神の力をもって奔放に恋をするゼウスは、ある日スパルタ王テュンダレオスの妻レダに目をつける。そして白鳥に化けてレダに近寄り、首尾よく思いを遂げる。レダは二つの卵を産み、一つからは後にトロイ戦争を引き起こす美女ヘレネーが、もうひとつからはカストルとポリュデウケスの双子が生まれたという。



男としての偉大な力を持って女と好きなようにセックスをしたいという、男の夢がゼウスというものでしょう。清らかでかわいらしい白鳥に化けて近寄るなどというのも狡猾だ。狼がひつじの皮をかぶっているなどというものではない。男は昔から、こういう嘘を平気でついて女性をからめとってきたのです。





  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

カエサルの死

2018-09-07 04:11:26 | 青空の神話


ジャン・レオン・ジェローム

輝かしい経歴によってローマの独裁官にまで上り詰めたカエサルは、自己肥大を起こし、ローマを自分の思い通りにしようとした。ゆえにローマの共和制の危機を感じたブルートゥスやカシウスらによって、ある日柱廊で惨殺されたという。



共和制の危機というのは言い訳に過ぎない。本当の理由はやはり嫉妬でした。大きな戦功を持ち、数々のすばらしい美女との恋愛もあり、ローマの独裁官であり、良いものをいくらでも持っているかに見える彼に、多くの男が嫉妬したのです。だからみんなで殺した。その殺し方もむごいものでした。しかしほんとうの政治家であるなら、そんな隙を見せるものではない。カエサルが傲慢に落ちて暗殺者たちに言い訳を作ったのは、彼が本物ではなかったという証拠です。





  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ソクラテスの死

2018-09-06 04:10:52 | 青空の神話


ジャック・ルイ・ダヴィッド


ソクラテス以上に賢者はいないというアポロンの神託を検証するため、ソクラテスはあらゆる人に対話をしかけ、その不知を見破っていく。そして自分はものを知らないということを知らないより、知らないということを知っている人の方が賢いのだという見地にたどりつく。彼は賢者として名高くなったが、不知を暴かれた人々の憎悪を買い、裁判にかけられて有罪となり、毒ニンジンをすすめられて死んだという。



神話と言うより史実ですが。賢い人というのはいつも妬まれるものだ。自分はものを知っていると思っている人ほどものを知らない。すぐれてよき人を罪もないのに殺してしまうということがどういうことなのかということさえ、わかってはいない。無知というものほど、人を苦しめるものはなく、その無知を越えていくためには、自分の不知を知らねばならないのに、それに臆する人は多い。このように、優れて高い人が、大勢の無知の人々の謀略によって滅びていくということは、昔からよくありました。





  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アンドロメダを助けるペルセウス

2018-09-05 04:11:06 | 青空の神話


カルル・ヴァン・ロー


母の不遜によって怪物への犠牲にされるべく岩につながれていたエチオピアの王女アンドロメダを、ペルセウスは助ける。ペルセウスはゼウスとダナエの息子。その縁によってオリンポスの神々の助力を受け、アンドロメダを助け、彼女と結婚し、アルゴスの王となり、様々な英雄的行為をした。



英雄的男が、恐ろしい怪物の手から姫を助けるというスタイルの神話の典型ですね。良い身分の美しい女性を、勇猛な行為によって助け、結婚することで、よい身分を手に入れるという話は、昔からよくありました。男が自分の力によって自らのし上がるという生き方の見本でもありましょう。だがペルセウスはヘラクレスほど魅力的ではない。自分の力というより、父の力を頼っている風があるからです。





  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

トロイから逃げるアエネイアス

2018-09-04 04:11:45 | 青空の神話


フェデリコ・バロッチ


木馬の計でトロイが陥落したあと、トロイの英雄アエネイアスは老父アンキセスを背負い、幼い息子アスカニオスの手を引いてトロイから逃げる。彼はイタリアにたどりつき、そこでローマ建国の祖となった。



年老いた父も幼い息子もまた妻も見捨てないで連れていく男に、麗しいものを感じます。腕力の強い男はともすれば自分のことだけを考える。ひとりだけで逃げる男もいたろうが。責任を果たすことを真っ先に考えるものが英雄というものでしょう。





  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

西施

2018-09-03 04:10:59 | 青空の神話


丸山応挙


美女西施は、川で洗濯をしていたところを見出され、呉王夫差に献上されたという。西施には胸に持病があり、あるときその発作に落ちて苦し気に顔をしかめていた。その姿があまりになまめかしく美しいので、人々は目を見張ってみとれた。ある日ある醜女が、そのまねをして自分も顔をしかめてみた。すると人々はその醜さに恐れおののいて、一斉に逃げてしまったという。



顰に倣うのことわざのもとになった伝説ですね。しかしこの言葉が冗談でなく大規模な現象となって、この時代起こりました。
ひとりの美女のひそみにならって、それは大勢の醜女がその顔を真似したら、とんでもなくひどいおばけになったのです。
美しい女性というのは、形だけを真似してできるものではない。
西施は美しいだけの女性ではなかったのでしょう。病に苦しんでいる間も、自分を見失わない品性というものが備わっていたのでしょう。





  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

バッカスとアリアドネ

2018-09-02 04:11:21 | 青空の神話


ウスターシュ・ル・シュウール

クレタの王女アリアドネは、ミノタウロスを退治しに来たテセウスに恋をし、それを助けるが、首尾よくミノタウロスを退治した後、一緒にクレタを脱出したものの、ナクソス島に取り残されて捨てられる。そののちバッカスが彼女を見つけて恋をし、慰めたという。



恋に破れた悲しい魂に訪れる神がいらっしゃる。傷ついた魂は謙遜の礼をとって彼を迎えなさい。もう傲慢にふるまってはならない。失敗の原因は、たいていの場合、不遜であったからです。





  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アマゾンの女王

2018-09-01 04:10:54 | 青空の神話


ピエール・ミニャール


ヘラクレスの十二の試練のうちの一つは、アマゾンの女王ヒッポリュテの帯をとって来ることだった。アマゾンは黒海周辺に住んでいると言われる女性だけの部族で、勇猛な狩猟部族であった。ヘラクレスはヒッポリュテに気に入られ、帯を渡すと約束されるが、ヘラの妨害が起こり、誤解が生じてヘラクレスはヒッポリュテを殺してしまう。



いかに勇猛な女性でも、男性にはかないません。男と女というものは、決定的にちがうものなのだ。筋力と骨の強度で男にかなう女はいない。まともにぶつかっては負けるのが当たり前です。アマゾンなどという部族は存在しませんでした。有力な女性が支配する部族を見て伝えられた話に、尾ひれがついたものでしょう。





  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする