世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

エリヤとザレパテの寡婦

2018-09-20 04:11:06 | 青空の神話


ジョヴァンニ・ランフランコ


預言者エリヤは神の声に従い、ザレパテにいきそこの寡婦に自分にパンを作るように言った。寡婦は貧乏なのでもう死のうと思っていると言ったが、エリヤが神に従っていれば粉も油も尽きないと言ったので、エリヤのためにパンを作った。エリヤの言った通り、粉も油もつきなかった。



神は魔法のようなことはなさいません。ないところからものはでない。もしこういうことがあるとしたら、エリヤの徳を慕って誰かが助けてくれたと言うことでしょう。神を知っている人は、それがどんなに大事なことかを知っている。愛で人々のために活動している人を、見捨てない人はいるのです。





  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

キリストの鞭打ち

2018-09-19 04:11:47 | 青空の神話


セバスティアーノ・デル・ピオンボ


逮捕されたイエスをピラトが尋問した。彼はイエスを見てそれほど痛いことにするべきではないと思い、群衆の前で言った。「この人とバラバとどちらを釈放するか」。するとユダヤの群衆はバラバを釈放し、イエスは十字架につけろと言った。ピラトはバラバを釈放し、キリストを鞭打たせた後、磔刑に処するために引き渡した。彼はイエスの死について責任を持ちたくなかったのだ。



イエスの受難は厳しい。馬鹿な人間はこれほどのことができるのかということをした。いやらしい人間たちが集まって、集団でイエスを激しく鞭打ったのです。もはやどうにもならないとあきらめたイエスは、ただ黙って鞭打たれるばかりでした。嫉妬に狂った群衆には何を言ってもだめだということを知っていたからです。





  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ユディト

2018-09-18 04:10:49 | 青空の神話


ヴァランタン・ド・ブーローニュ

アッシリア軍がベツリアの町を包囲したとき、ベツリアの寡婦ユディトは神を強く信じていたので、一計を案じてアッシリア軍の司令官ホロフェルネスの下に向かう。彼女の美しさと条件に油断したホロフェルネスは彼女を酒宴に招き泥酔する。その隙をついてユディトはホロフェルネスの首を打ち、故郷に帰る。司令官を失ったアッシリア軍は動揺し、ユダヤの軍に追撃されて敗れた。



これはもちろん創作でしょう。女性の力で男の首が切れるとは思えない。弱い者が強い者に勝つという話を、人間は好みました。それはまだ人間がとても弱かったからです。弱い者が強い者に勝つには、奸計に頼るほかはない。だがそればかりではきついことになる。ケースによってはよいだろうが。こればかりやっては、汚いことになりますね。





  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ソロモンの審判

2018-09-17 04:10:57 | 青空の神話


ジャン・バティスト・ジョセフ・ウィカール


ある日二人の女が子供を生んだが、一人の子供は死んだ。その母親が、もうひとりの生んだ子供を自分の子供だと言い張った。争いが生じ、二人は知恵深きソロモン王の前に出て裁きを願った。するとソロモンは子供を引き裂いて二人に分けよと言った。それを聞いて青くなった一人の女が、子供はやるから、殺さないでくれと願った。めでたく、子供は本当の母の手に帰ることになった。



子供を失うことほど、女にとってつらいことはない。だから死んだ子供の母親も血迷ったのでしょう。子供を切り裂けなどということは、物事を理屈で切る男にしかできないものだ。しかしそれが真実を摘出することもある。ソロモンは知者として有名だが、本当にこういう結果を予測して言ったのかどうかはわからない。女の裁きをするなど面倒だからつい言っただけのことかもしれない。





  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

プロメテウス

2018-09-16 04:11:03 | 青空の神話


ジャン・ルイ・セザール・レアール

ティターンの神族であるプロメテウスは、寒さに身を震わせる人間たちを哀れみ、ゼウスの反対を押し切って、火を人類に渡した。それで人類は暖かく過ごすことができ、調理したおいしい食べ物を食べることができるようになったが、反面それを使って恐ろしい戦争をして殺しあうようになった。怒ったゼウスはプロメテウスを三万年の間カフカス山に磔にし、毎日鷲に肝臓をついばまれるという責め苦を科した。



火は人間を豊かで高度な暮らしに導くが、恐ろしい悲劇への可能性をもまた開きます。人間に火を与えたプロメテウスの責め苦の苦しさが、その苦しさを表している。火によって味わう苦しみのはげしさからでしょう。しかし、人間が知恵を持つものであるかぎり、永遠に火を知らないでいることはできない。暴虐の世を火にさいなまれながらも人間は乗り超えていかねばならない。そしていつかヘラクレスのように、プロメテウスを解放せねばならない。





  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

エロスとプシュケ

2018-09-15 04:10:53 | 青空の神話


フランソワ・ジェラール


美しいプシュケに嫉妬したアプロディテは息子エロスを呼び、プシュケを嫌な男に恋させて来いと命じる。しかしエロスはプシュケを見て過って自分に愛の矢を刺してしまい、プシュケに恋をしてしまう。エロスはプシュケをさらい、つかの間幸福に暮らすが、数々の人の嫉妬と謀略により、恋は試練にさいなまれる。迷いながらもプシュケは試練をこえ、やがて別れた夫エロスと再び美しく結ばれる。



愛は美しいものだが、まだ何も知らない人間は時に迷い、その美しいものを失ってしまいます。逃げることのできない自分の愚かさから逃げず、愛の前に頭をたれ、自分のまことをするとき、美しい幸福が現れる。プシュケには魂という意味もある。エロスは愛の隠喩なら。霊魂と愛は試練に会いつつもいつかは美しく結ばれるだろうという、予言なのかもしれない。





  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ピグマリオンとガラテア

2018-09-14 04:11:55 | 青空の神話


アーネスト・ノーマンド


キプロスの王ピグマリオンはある日、美しい女性の彫像ガラテアを作った。その美しさに恋をしたピグマリオンはガラテアが本当の人間になることを願った。ガラテアが自分に似ていることに気をよくしたアプロディテがその願いをかなえ、ガラテアは晴れて人間になった。ピグマリオンはガラテアを妻に迎えたという。



女性を馬鹿にしながらも女性に深く依存している男はよくこういうことをやります。自分の理想の女性を思い描き絵などに描き、それにまぼろしの恋をする。そんなことをしても、絵や彫刻が本当の人間の女性になることはありません。本当に自分を助けてくれるのは、おかめであろうとおばあさんであろうと、ほんとうの自分を持った人間の女性なのです。





  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

マリー・アントワネット

2018-09-13 04:11:32 | 青空の神話


マリー・ルイーズ・エリザベト・ヴィジェ・ルブラン


フランスの王妃であったが、虚栄と浪費と民の苦しみを顧みない浅はかさで民意を逆なでし、革命を引き起こした。自分のことしか考えなかった彼女は国民を捨てて逃げようとさえしたので、革命の最中に国民たちの手によってむごく処刑された。しかしそれからフランスは迷走することになる。フランスのこれらの国難の大きな責任を負う女性である。



美しいがあまり趣味のよいとは言えないドレスですね。これは貴族の好みではない。どちらかといえば庶民に近い。庶民はこういう派手で明るいものが好きだからです。なんでもない。ほんとうは庶民に生まれるはずだった霊魂がこういう人間に生まれてきたのだ。だからひっくり返った。王妃の地位からなんでもない普通の人間に落とされたのは、彼女が本当はそういう人間だったからです。





  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

パルナッソス

2018-09-12 04:11:22 | 青空の神話


アンドレア・アッピアーニ

パルナッソスはギリシア中央部にそびえる石灰岩の山。伝承ではそこにはムーサ(ミューズ)たちが住むという。ムーサはゼウスとムネモシュネの娘で九人おり、それぞれに詩文や舞踏や芸能などをつかさどる美しい詩神である。彼女らを主宰するのは太陽神アポロンと言われる。



太陽神アポロンは、女性のような美しい顔と、若者のたくましい体躯をした、理想的な姿をして描かれますが、事実上肉体存在としてはこのようなすがたはありえません。たくましい体をした男性は必ず男性的な顔をしています。霊魂の存在にはまれにこのような男性はいますが、じつはこれは人類の男性にとっても女性にとっても理想形なのです。女性のように美しい顔と、男性の美しい体躯をした若者。その周りに多数の美しい女神がいる。人間の男性の理想形の理想形と言えましょう。





  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

スパルタの女たち

2018-09-11 04:10:59 | 青空の神話


ジャン・ジャック・フランソワ・ル・バルビエ


古代ギリシアの軍事的都市国家スパルタでは、女性たちもまた勇敢だった。彼女らは少女の時から裸で走り回り、男と一緒に鍛えられたという。彼女らの使命は勇猛な男を産むことだった。ゆえに厳しく息子たちも育てた。息子が戦地から逃亡して帰って来ようものなら、そんな子供を生んだ覚えはないと言ってたたき殺したという。



男性支配の下で女性は小さく委縮していた時代で、スパルタの女性たちは誇らしい自分を保つことができていたようです。お産で死んだ女は英雄扱いされたという。すべての人間は女が産むのだから、彼女らはすばらしい。何の価値もないと言って馬鹿にするのは全て間違いです。





  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする