![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/08/ed/9144a8765038627c9b24e0e8696b2963.jpg)
コレッジョ、16世紀イタリア、マニエリスム。
アレクサンドリアの知事の娘であったカタリナは、母に導かれてキリスト教に改宗して間もなく、聖母マリアに抱かれた幼子イエスと結婚する幻を見たという。この伝説をテーマにした絵画は多い。これもその一つである。
カタリナとイエスの結婚を後ろから見ている男の聖人は、矢を持っていることからして聖セバスティアヌスらしいが、そのほほえみは微妙に硬い。女が男以外のものと結婚するのをよく思わない男の痛い本音が見える。画家も男であるから、自分の心をごまかし切ることができなかったのだろう。
カタリナは異教の賢人を次々と論破し、多くの異教徒を改宗させ、当時のローマ皇帝の求婚も断ったため、捕えられて処刑されたという。昔から男は、自分の思い通りにならない女を、いろいろな手を使って殺してきたのである。カタリナの伝説は、そのような多くの事実を吸い取ったものであろう。