世界に君臨する
巨大な芝居の書き割りがあった
それはそれは
甘やかな夢が虹色に描いてあるのだが
それにはすでに
太い十字の釘が打たれてあり
書き割りはもう命を失っていた
だが人間たちはまだ
その前で生きていた
わたしが書き割りの前を過ぎると
三本の川があった
槍の流れている川と
石つぶての流れている川と
糞尿の流れている川だった
どれも湯のように煮え立ち
嵐のように激しくごうごうと流れていた
天使の群れが
はるか上からその川を見ていた
彼らは青ざめていたが
その顔にはもう決意があった
神を信じてゆくしかない
そういって
天使たちは
次々に
川の中に飛び込んで行ったのだ