世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

氷石のウェヌス

2012-05-27 07:33:58 | 画集・ウェヌスたちよ

ウェヌスはもちろん愛の女神のことですが、このウェヌス、悲しそうな顔をしていますね。
正直言ってしまえば、もう愛想がつきたって感じです。

愛の女神は何にでも耐えてきて、男のためにあらゆることをやってきたけれど、男が相変わらず、子供みたいなことばっかりしているのを見て、少し気持ちが覚めてきた。

もうそろそろいいんじゃないかしら。いつまでやっていても、男は変わらないわ。もうここらへんで、やめよう。

ウェヌス、何をやめるの?

彼を愛することを。

心配しないで。そばにはいるわ。彼はわたしがいなくちゃ、何もできないから。でも、これは秘密。誰にも言わないわ。もう愛していないなんて。でも、決定的に彼に意地悪をしないってことは、まだ愛しているって意味なのかしら。そうねえ。別れることはできるけれど、そうすると、苦しむ人がいっぱいできる。そう思うと、簡単には別れられないわね。

我慢をすることは、得意だから、大丈夫よ。男はいつもいばって、わたしを馬鹿にしてばかりいるけれど、心の中ではもうわたしは彼を愛してはいない。誰も知らない心の中で、わたしは彼に復讐しているのかもね。

もう、愛していないわ。あなたを。



この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ミネルヴァの嘲笑 | トップ | 月の船 »
最新の画像もっと見る

画集・ウェヌスたちよ」カテゴリの最新記事