日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

晩秋の能登を行く 完結編 - 金沢21世紀美術館

2019-11-17 09:21:18 | 北陸
朝食無料も東横インの売り物の一つですが、いただかないまま出てきました。おにぎりの朝食というと、どうしても富山のアルファーワンと比べてしまいます。あちらの充実ぶりに比べると、東横インの朝食にはどうしても合理性、経済性重視という印象が残ります。本来なら無料というだけでもありがたいところです。しかるに余所と比較してしまうのが、申し訳なく思われたとでも申しましょうか。むしろその分早く出て、時間を少しでも稼ごうと考えた次第です。只今金沢21世紀美術館を訪ねています。
宿を出てから気付いたのは、北の方に青空が広がっていることでした。しかも、日が昇っているのはその青空との境目に近い場所でした。そうなると、あと少しで晴れないかと期待するのは人情です。街路樹は鮮やかに色づいており、晴れてくれれば滞在を延ばすにも一向にやぶさかではありません。しかし、この雲が晴れそうでなかなか晴れないのは経験上分かっています。案の定、瞬間的に日は射すものの、すぐに陰ってしまうという、何とも歯痒い空模様になってきました。
ここまで歩いてきたのは、高岡へ行く高速バスの乗り場に近いからでもあります。仮に頻発していれば、一本見送り天気待ちをしてみてもよいところです。しかしあいにく富山ほどの便数がなく、次が出るのは三時間後になってしまいます。この時期における日中の短さを考えても、それだけの時間を無駄にしかねない賭けに出るわけにはいきません。未練はありながらも出発します。また来年…
コメント

晩秋の能登を行く 完結編 - 東横イン金沢兼六園香林坊

2019-11-17 08:49:28 | 北陸
出発前にも言及した通り、さらに一週延ばすと決めた時点で、金沢へ行くという発想はありませんでした。理由の一つとして宿泊事情がありました。連休中ほど混み合ってはいなかったものの、富山に比べて相場が高く、繁華街のビジネスホテルが最安値でも七千円を超えていたのです。九月に行ったばかりということもあり、宿代を奮発してまで泊まりたいとも思われず、手頃な値段だった富山のアルファーワンをまず押さえました。金沢へ行くという着想を得た後も、夕方に呑み屋が開くと同時に入り、しかる後に富山へ移動して呑み直そうという考えだったのです。しかし、二都市の掛け持ちは慌ただしくなりがちなのが経験上分かっています。富山の店の看板が総じて早いことを考えても、富山から金沢という順序ならともかく、逆では半端になりかねないという懸念がありました。そこで、直前に空きが出る可能性に賭け、前日に再度照会したところ、相場が大分下がっていました。その中の一つにあったのが、昨晩世話になった香林坊の東横インです。

予約サイトの副産物として、混むとみるや軒並み法外な値をつける悪しき商慣行が、全国的に蔓延してしまいました。ただし、全ての宿がそうというわけでもありません。こまめに照会を続けて、常識的な値段の宿が空き次第押さえるという自衛策が、そこそこ有効ということに気付いてきました。同様の局面で、東横インに最も空きが出やすいことについても分かってきました。これは、元々の収容力が圧倒的に大きいのに加えて、どれだけ混んでも法外な値をつけることがないという理由によります。一昨年は釧路、去年も弘前で、東横インが助け船となってくれました。
世話になるのはあれ以来のことですが、実はその間何度か見送ってきたという経緯があります。当日の夕方までキャンセル料不要という気前のよさもあり、宿泊事情が逼迫する状況では、東横インに空きが出次第ひとまず押さえるという安全策を採っていました。ただし、その後予定が変わったり、他の宿が空いたりした時点で解約していたのです。無味乾燥な全国チェーンの宿よりも、泊まり慣れた地場の宿を大切にしていきたいという、年々強くなりつつある価値観が反映された結果でもあります。
そのようなことを一度や二度ではなく繰り返し、何度あったか自分の中でも定かでなくなりつつありますが、はっきり記憶しているのは去年の今頃です。北海道遠征からの続きで東北に転戦し、徐々に南下していった末に迎えた最後の週末、仙台の東横インを仮押さえできた一方、若松のフジグランドホテルも押さえており、仙台か、会津かの二者択一となりました。仙台に泊まれる貴重な機会も捨てがたくはあったものの、長旅の最後の夜が東横インというのも味気なく思われ、慣れ親しんだフジグランドホテルに落ち着いたというのがそのときの顛末です。
一つ空けば即埋まる状況に限って押さえているだけに、直前で解約したからといって迷惑をかけるわけでもありません。とはいえ、東横インを常に他のどこかと比べ、結局捨ててきたことに対する申し訳なさが残っていました。各地に散らばる定宿の中でも、とりわけ愛用してきたフジグランドホテルとの二者択一ならともかく、今回に至ってはアルファーワンとの二者択一です。今でこそ歴然とした規模の違いはあるものの、二昔前の感覚で捉えれば、どちらも似たり寄ったりの全国チェーンでした。ならばそこまで毛嫌いする理由もなかろうと思い至り、これまでの罪滅ぼしも兼ねて世話になったというのが真相です。

何をそこまで毛嫌いするかといえば、細部まで徹底的に規格化された客室の造り、空腹を満たすことだけに主眼を置いた味気ない朝食、フロント、ロビーのせわしない雰囲気といった要素が、ことごとく旅情を削ぐように思われてならないからです。先月末富山のアルファーワンに泊まったとき、おにぎりの朝食を好意的に評価し、それと対比する形でよくない例を挙げましたが、あれは東横インの朝食を念頭に置いたものでした。
しかし、香林坊の表通りに面した超一等地の利便性は、全国数百軒に及ぶ東横インの中でも屈指です。それでいながら富山のアルファーワンと比べてもほぼ同額の料金は破格ともいえます。大浴場こそないものの、銭湯の豊富な金沢なら特に問題ありません。
駅前に、ほぼ同じ値段で大浴場つきの宿もあるにはありました。しかし、富山はともかく金沢の場合、駅前と繁華街では利便性に歴然とした違いがあります。繁華街の宿を手頃な値段で手配できたことが、金沢を選んだ直接の決め手でもあります。富山と能登を渡り歩き、金沢で締めくくるという理想的な流れを実現できたのは、東横インが空いてくれたおかげです。主義主張をひとまず措き、素直に感謝したいと思います。
コメント

晩秋の能登を行く 完結編 - 二日目

2019-11-17 08:40:52 | 北陸
おはようございます。その後は武家屋敷の一帯を歩いてから戻って休みました。天候が早く回復してくれればという淡い期待も空しく、今日も朝から鉛色の空が広がっています。一様に曇るのではなく、所々に青空も見える、いかにも冬の北陸らしい空です。
最新の予報によると、短時間だけ日が射す可能性はあるものの、次第に晴れていくようなことはないようです。長旅の最後を、日本海の夕景で飾れれば最高だろうと思っていましたが、そうは問屋が卸さないということでしょうか。とはいえ、北海道編を含めて考えれば、既に十分やりきったというのが実感です。今回に関する限り、有終の美を飾ることにそこまでの執着はありません。最後の最後は移動日と割り切って、早めに距離を稼いでいくのが現実的といえそうです。
コメント