日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

豊穣の能登を行く - 山海

2018-09-01 22:42:16 | 居酒屋
相変わらず酒は進まず、「連」では二合弱の飲み切りボトルを息切れしつつ空けました。体力的には切り上げた方が無難な状況です。しかし、はるばる輪島へ来たからには、一軒限りで切り上げるのも惜しまれるのが人情ではあります。多少の無理を承知で「山海」を再訪します。
前回は情報を頼りに薄暗い国道を歩いていき、このような場所に店があるかと半信半疑になったところ、脇道へそれたところに忽然と雑居ビルが現れ、意表を突かれるという経験をしました。その後分かったのは、国道の北側にささやかな歓楽街があり、それが尽きるところに店があるということです。今回はその歓楽街を歩いて店へ向かいました。
扉の向こうから歓声が漏れてくる中、意を決して飛び込むと、常連らしき先客の三人組が、店主、女将と乾杯するところでした。先客は既に〆のラーメンをすすっています。もうお客は来ないだろうと見て、常連の勧めに応じ乾杯したといったところでしょうか。そこへ飛び込むという、何とも無粋な真似をしてしまったにもかかわらず、快く通してくれた店主と女将には感謝しなければなりません。
前回は見るからにうまそうなネタが並んでいるのを見て、二軒目にもかかわらず刺盛りを思わず注文し、酒も三合飲み干しました。しかし今回その余力はありません。黒板と短冊を一通り眺めた末に選んだのは、「連」で気になりながらも見送ったふぐ唐揚と茄子舟焼です。先客がすすっていたラーメンもうまそうだっただけに、別腹に入りはしないかと考えはしたものの、依然として万全ではない状態につき今回は自制。大徳利を空けたところで席を立ちました。

山海
輪島市河井町6-21-12
0768-22-5254
1800PM-2300PM(LO)
日曜定休

酒二合
ふぐ唐揚
なす舟焼
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豊穣の能登を行く - 連

2018-09-01 21:15:40 | 居酒屋
自身にとって完全な盲点となっていた能登半島を、久々に訪ねたのは早春のことでした。元々福井へ行くつもりで始めた旅が、唐突な思いつきから拡大し始め、四月まで続く契機となったのがこの活動です。ただしその思いつきには伏線がありました。当時放映されていた教祖の番組で、輪島が特集されたのです。「居酒屋王国」とまで形容されては、一度訪ねてみたいと思うのが人情というものでしょう。こうして現地を訪ねると、「王国」というほどの呑み屋街こそなかったものの、番組で紹介された二軒はいずれもよい店でした。今回再訪するにあたっても、なまじ趣向を変えるより、同じ店を再訪してみたいという考えがありました。そのようなわけでまずは「連」の暖簾をくぐります。

再訪ということになると、品書きの季節感がどのように移り変わるかが最大の関心事となりますが、結果としては大差がありませんでした。しかし物足りなさを感じるわけではなく、むしろ居酒屋としての完成度の高さを再認識させられました。
その一つが、カウンターに向かって左の壁面にある縦長の大きな黒板です。右上に記された刺身には鰤、八目、ノドグロを始め北陸らしいものが並び、それに加えてふぐの唐揚、茄子舟焼など能登ならではの品々も。しかも安さが特筆されます。ただ金額的に安いのではなく、それを大きく超える内容を伴っており、たとえば刺盛りは上記の三点に梅貝、赤イカ、甘海老、さらにはサザエを奢った七点盛りで、いずれもぴかぴかに光って見るからにうまそうです。器は前回同様輪島塗が奢られました。
何より貴重なのは、この芸当をかなりの大店で実現していることです。自身なじみの深いところでいうなら赤坂の「まるしげ夢葉家」ですが、カウンターが他の席から隔離され、静かに呑めるところは当店ならではの美点です。親子二代による家族経営の雰囲気も好ましいものがあります。時折顔をのぞかせる、まだ歩き始めたばかりと思しき小さい子が、いずれは三代目としてカウンターに立つのでしょうか。それまで体力気力が持つかどうかは未知数ながら、今後輪島を訪ねるときも、必ず立ち寄りたいと思う名店です。


輪島市河井町24-17-21
0768-22-8414
1730PM-2200PM(LO)
木曜定休

千枚田
刺身盛合せ
もずく
ふぐぬか漬
みそ汁
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豊穣の能登を行く - 投宿

2018-09-01 20:54:53 | 北陸
七時を回ったところで切り上げ、国道をひた走って輪島に着きました。投宿し、風呂から上がって一息入れたところです。
金沢からの走行距離は130km弱となっています。つまり富山と福井よりもはるかに遠いということです。海水浴場を出た時点が60km少々だったため、あの地点でもまだ中間点だったことになります。しかも、さらに50km走らなければ半島の先端には行けません。能登の広さを改めて実感します。
早春に訪ねたときは、とにかく寒い夜でした。今は暑からず寒からず、適温微風のキャンプ日和となっています。前回とほぼ同じ行程をなぞってはきましたが、季節感だけは全くの別物です。引き続き能登の秋を体感できれば幸いに思います。
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豊穣の能登を行く - 柴垣海水浴場

2018-09-01 18:56:50 | 北陸
結局天気は回復せず、さしたる収穫なしで終わることも覚悟しました。しかしようやく見せ場が訪れました。鮮やかな夕焼けが広がったのです。
国道を輪島へ向かって北上すると、カーナビに小さな岬が映されました。その時点では、前回夕景を眺めた海水浴場だろうと思いました。そこで再訪すべく向かうと、何やら様子が違います。降りて周囲を見回すと、小さな陸繋島でした。島に接する形で漁港があり、北側には長い砂浜が広がっています。しかも幸運なことに、水平線の彼方だけが晴れており、そこへ夕日が沈んでいこうとするところでした。夕日が射してくる瞬間を漁港で見届け、次いで砂浜へ移動し、西の空をひとしきり撮影して切り上げるという顛末です。
大きな雲が沖合を北の方へと流れていき、彼方では帯状の雲が幾重にもなっていて、残照を受け茜色に染まっていました。加えて幸運だったのは、階段状の護岸が二階建てほどの高さになっていたことです。その護岸の上から見渡すと、残照を映した水面が波打っており、夕焼け、水面と砂浜が一期一会の眺めを作り出していました。前から波音が、後ろから虫の声が聞こえてくるのも印象的です。空振り気味の一日でしたが、最後の最後に救われました。
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豊穣の能登を行く - 同じ轍

2018-09-01 16:56:00 | 北陸
大野の町を再訪してから金沢を発ち、のと里山海道に入りました。只今高松のPAで休憩中です。
熱心な読者の方は、前回の行動をほぼそのままなぞっていることに気付かれたかもしれません。あのときは半島のかなり南の方で日が暮れてしまい、輪島まで暗い中を延々走らざるを得ませんでした。その教訓から、今回は粛々と北上していくつもりだったわけなのですが、気付けば同じ轍を踏んでしまいました。
このようなことになったのは、空が再び曇ってしまい、先を急いだところで仕方がなくなったからでもあります。この後お約束の千里浜も一応走るつもりですが、今日のところはそれ以上欲張っても仕方なく、輪島で一杯やれればよかろうという考えです。明日こそ晴れてくれると期待しましょう。
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豊穣の能登を行く - 糸吉言侖

2018-09-01 14:48:19 | 北陸
先ほど事もなげに能登へ向かうと申しましたが、結局輪島に泊まるということで結論が出ました。金沢に着く直前に北陸各地の天気予報を確かめたところ、依然として能登、とりわけ奥能登の天候が多少なりともよかったからです。金沢市街でも雨は上がり、薄日が射してきています。先へ行けば行くほどよくなるとすれば、夕景にもそこそこ期待できるかもしれません。
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豊穣の能登を行く - 厚生食堂

2018-09-01 14:21:43 | B級グルメ
金沢から能登へ向かうということは、漁港の食堂を再訪できるということでもあります。朝食のきしめんに続いて、お昼も必然的に決まりました。立ち寄るのは「船員厚生食堂」です。
近年はこの手の食堂を訪ねることがほとんどなくなりました。魚介はどうしても値が張りがちであり、居酒屋と比べても価格に大差が付きません。その結果、魚介は夜の部に回して、昼には昼ならではのものをいただくことにしたわけです。それでもここに限って再訪したのは、屋号に違わぬ船員御用達の雰囲気が秀逸だったからに他なりません。
一通りの刺身に加え、一種とはいえ海鮮丼もあります。しかし、この食堂といえば揚げ物主体の定食と自分は思います。鯖を筆頭に、エビ、キス、鰺など様々な魚介を綴ったホワイトボードの中から、北陸らしさを重視して選んだのはサワラフライ定食900円也。肉厚のフライが四枚奢られ、これに丼飯、酢の物、お新香、ご飯と味噌汁がつき物量感は十分。今回もすっかり満腹となりました。

厚生食堂
金沢市無量寺町ヲ51
076-268-1299
1100AM-1400PM/1700PM-2100PM
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豊穣の能登を行く - あるまじき仕打ち

2018-09-01 13:26:47 | 北陸
定刻より五分遅れて金沢に着きました。車を引き取って出発します。今回の相棒は日産ノートです。
小幅の遅れが出たのは混雑のせいでもあります。名古屋駅でやるべきことも見当たらず、発車の30分近くも前にホームへ上がると、自由席の乗車口にかなりの数の先客がいて驚きました。始発から二本続けて運休し、あぶれた乗客の相当数が回ってくる以上、よくよく考えれば当然のことではあります。しかし十分な余裕を持って並んだのが功を奏し、無事着席という結果でした。
気の毒だったのは米原からの乗客です。上下各二本が運休したため、車両のやりくりがつかなくなり、本来増結されるはずの3両が連結されず、名古屋から来た6両に詰め込まれる羽目になったからです。特に、付属編成に2両ある指定席の乗客は、当日になって席がないと通告され、デッキや通路に立たされるというあるまじき仕打ちを受けたのでした。
当然何らかの補償はあるらしく、下車駅で申し出るようにとの放送が繰り返されていました。しかし、料金を全額払い戻すならともかく、自由席との差額しか支払わないということになると、小競り合いが起きても仕方がありません。彼等が受けた仕打ちを思えば、一時間遅れただけで済んだのは幸運だったといってよいでしょう。
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豊穣の能登を行く - しらさぎ5号

2018-09-01 09:49:23 | 東海
腹ごしらえを済ませたところで移動を再開します。続いて乗車するのはしらさぎ5号です。

先ほどしらさぎ3号と申したのを覚えていらっしゃるかもしれません。本来ならば、きしめんをいただいた後、ほどよい間合いで列車が入線するはずでした。ところが、本来発着するはずの4番線に案内表示がありません。着発線変更かと思って見回すと、雨のため運休というまさかの告知がorz
北陸で連日雨が降っているとは聞いていました。しかし昼には止むというのが出発した時点の予報でした。それだけに、運休は全く想定外でしたが、ともかく問題はどのようにして収拾を図るかです。普通列車が動いているとはいうものの、調べてみると接続が悪すぎ、とても使える代物ではありません。後続の5号が運転される可能性に賭けるのが事実上唯一の選択肢でした。幸いにもその賭けに勝ち、只今ようやく発車したところです。

このまま定時で走っても、金沢に着くのは一時近くになります。新幹線で直行した場合に比べ、実に四時間差がつくわけです。レンタカーで活動することを考えると、新幹線で直行し、一刻も早く乗り始めるという選択肢はあり得たわけであり、結果的には裏目に出てしまったともいえます。
とはいえ、そうすればよかったと嘆くつもりはありません。北陸特急に乗るのも本活動の重要な目的の一つだからです。新幹線が延伸される数年後、北陸本線は有名無実化し、どのみち新幹線で直行直帰するしかなくなります。急ぐのはそうなってからでも十分です。

★名古屋948/しらさぎ5(5M)/1248金沢
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豊穣の能登を行く - いこい

2018-09-01 08:28:56 | B級グルメ
名古屋で列車を降りました。乗り継ぎの合間にお待ちかねのきしめんをいただきます。
直近に訪ねたときは、趣向を変えて独立系の「かきつばた」を選びました。その結果は、雰囲気では上回るものの、きしめんの味については「住よし」に軍配というものでした。ならば今日は原点回帰かというとさにあらず。「いこい」なる屋号の店舗に飛び込みます。
各ホームの上り方にある「住よし」に対して、こちらは「かきつばた」と同様下り方にある店です。屋号こそ違うものの、揚げたての天ぷらを売り物にしていることからして、「住よし」と同系列の店なのは察しがつき、品書きにも味にもほぼ違いはありません。しかしこちらの方がやや狭く、おばちゃんが一人で店を仕切っています。その結果、一人で全てを仕切れるよう厨房が機能的に設計されていて、冷凍麺を湯がいて丼に上げ、フライヤーから天ぷらを引き上げて乗せ、葱を散らし、出汁をかけて一丁上がりという一連の工程を目の当たりにすることができます。加えて、余所者にはきしめん即ち「住よし」という刷り込みがあるせいか、旅行者の姿がほとんどないのも特徴です。「住よし」の味と「かきつばた」の雰囲気を併せ持つ、自分にとってはまさに理想の一軒でした。

★いこい
名古屋駅5-6番線下り方
700AM-2120PM(LO)
かき揚げきしめん520円
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豊穣の能登を行く - 別れ

2018-09-01 07:08:20 | 関東
先日少し触れた通り、今回も北陸を周回する一筆書きの経路にしました。切符は職場の近くの代理店で手配したものです。空いているのはよいものの、担当者の知識が貧弱すぎ、発券にかえって時間が要るという経験をしてきたことから、最近では専ら駅の窓口に並んでいたわけなのですが、近くに野暮用があった関係上、今回に関する限り都合がよかったという事情があります。つまり、積極的に選んだわけではなかったのですが、結果としてはこれでよかったともいえます。閉店の告知が掲げられていたからです。
今回の担当者も片道乗車券と連続乗車券の違いすら分かっておらず、知識の乏しさは相変わらずでした。しかし、去り際に発せられた「いってらっしゃいませ」の一言が印象に残りました。もうこの店舗には戻ってこないと思うと、何だかんだで感慨深かったのです。別れの挨拶代わりに立ち寄れたのは幸運だったのかもしれません。長らく世話になったことに感謝します。
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豊穣の能登を行く - のぞみ5号

2018-09-01 06:57:49 | 関東
本日は少し遅めの出発となりました。六時半の「のぞみ5号」で旅立ちます。運用につくのは「いい日旅立ち・西へ」が流れる西日本所属車です。
近年は始発列車の混雑を避け、6分後を行く臨時の「のぞみ」を使ってきました。ところが、週末はまず例外なく運転されるこの列車が、今日に限ってどういうわけか設定されませんでした。そうなると、名古屋で「しらさぎ1号」に乗り継げるのは始発の「のぞみ1号」に限られ、混むのを承知で始発に乗るか、「しらさぎ3号」に乗る前提で遅めに出るかの選択になりました。その結果、一時間遅れるのと引き替えに、混雑を避けることにした次第です。
狙いはおおむね的中し、東京駅では余裕を持って席に着くことができました。新横浜を出た時点でも、三列席の通路側がいくつか埋まった程度に過ぎず、隣はもちろん空いています。名古屋で列車を待つ間に、きしめんもいただけるという寸法です。

★東京630/のぞみ5(5A)/811名古屋
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