日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

東北一周花見の旅 2013Part3 二日目

2013-05-17 19:36:37 | 東北
五月の中旬にもなると日の長さはかなりのもので、この時間になっても西の空にはわずかに明かりが残っています。これまでの花見であれば、これが暗くなるのを待って夜桜見物へ繰り出すところ、弘前公園のライトアップはさる日曜を最後に終わりました。今日は公園の街灯に照らされた枝垂桜と八重桜がささやかな夜桜となります。
空前ともいえる遅咲きに助けられ、果てしなく続くかに思われた今年の花見ですが、弘前のライトアップがないという現実に直面して、見納めは近いという実感が一気に押し寄せてきました。実際のところ、ぼんぼりと投光器を炊いての夜桜はこの先函館公園がせいぜいで、少なくとも夜桜に関しては見納めがすぐそこまで近づいているのです。さらに道央から道東へと進めばソメイヨシノが姿を消し、川沿いの桜並木や城跡の桜といった見慣れた光景にもお目にかかれなくなります。華やかな桜を追い続けた旅路も、これからはしんみりする場面が次第に多くなりそうです。
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東北一周花見の旅 2013Part3 二日目

2013-05-17 18:43:39 | 東北
来た道を引き返して弘前市街に戻りました。会津、米沢の三泊を超え、これで実に五泊目となる弘前ですが、日没を迎える場所はいつも決まっています。毎度おなじみ禅林広場です。馬鹿の一つ覚えというなかれ。何度も訪ねてしまうのは、ここで眺める夕日がそれだけ見事だからなのです。右に三本並んだ桜の木を、左に岩木山を置いた非対称の絵柄もさることながら、雲の形と光の強弱で刻一刻と眺めが変わり、何度訪ねても飽きることがありません。
今日の空には絹のような薄い雲がたなびき、岩木山の向こうの残照に照らされており、中腹から裾野まで雲をかぶっていた前回とは全く異なる趣です。世界一の桜並木を引きずりすぎて、夕日が山の向こうへ落ちる瞬間には立ち会えなかったものの、その代わり今日は列車の時刻を気にする必要がありません。空が茜色から紫色へと変わり行くのをこの場所で見届けることにします。
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東北一周花見の旅 2013Part3 二日目

2013-05-17 17:34:13 | 東北
県道を西へ進んで「世界一の桜並木」を訪ねます。岩木山を南から西へと周回する道沿いに、エゾヤマザクラの並木が延々続くというのがその正体です。右に岩木山、左に白神山地を望みつつうねうねと走る道は、津軽平野と全く趣を異にしており、地形も植生も南部地方を彷彿とさせます。沿道には驚くほどの雪が残っており、過ぎた冬の厳しさを物語っているようです。木の立ち姿は地味ながらも、長い冬に耐えた桜が遅い遅い花を咲かせる様子は、内地離れした雄大さに満ちています。
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東北一周花見の旅 2013Part3 二日目

2013-05-17 16:42:04 | 温泉
岩木山麓まで足を延ばしたのは、ここで一風呂浴びるためでもありました。前回に続いて「温泉旅館 中野」に立ち寄ります。
先週末までほぼ蕾だった二本の紅枝垂は、今まさに見頃を迎えています。浴室から眺めるこの桜の立ち姿そのものが絵になるとはいえ、ここへ立ち寄るというと曇りか雨の冴えない天候ばかりで、晴れたらどれほど見事な眺めかとかねがね想像させられたものです。しかして今回宿願を果たすと、白神山地を望む芝地で、二本並んだ桜が夕日を浴びて佇む姿はなるほど様になっています。この立ち姿を窓越しに眺めながらの贅沢な湯が、いつ行っても貸し切りなのですから、ここへ寄らない手はありません。

★温泉旅館 中野
弘前市百沢字高田80
0172-83-2345
800AM-2100PM
入浴料300円
泉質 ナトリウム・マグネシウム・カルシウム-塩化物・炭酸水素塩泉(低張性中性高温泉)
泉温 49.8度
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東北一周花見の旅 2013Part3 二日目

2013-05-17 16:09:24 | 東北
岩木山神社に着きました。先週末に訪ねたとき、蕾がようやく開いたばかりなのを見て、これなら見頃は翌週末だろうと踏んで乗り込むと、果たしてソメイヨシノは満開になっています。去年あらかた散った弘前公園を訪ねたとき、ここの桜が満開だったことからしても想定通りの結果で、日影に雪が残っているのを含めて例年通りです。
しかし驚いたことには、いまだ蕾ばかりの枝が残っていることです。明日明後日にも開きそうな蕾がある一方で、まだ緑に色づいただけの蕾もあり、これなら来週末、つまり五月の下旬でも花見ができるでしょう。今年の関東の早咲きには驚かされましたが、北国の遅咲きはそれ以上です。
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東北一周花見の旅 2013Part3 二日目

2013-05-17 15:17:21 | 東北
八重桜を申し訳程度に眺めるつもりが、結局延々三時間近く注ぎ込んでようやく終了と相成りました。これは今日の桜がそれだけ楽しめたということでもあります。当然ながらソメイヨシノはあらかた散り、花筏の色鮮やかさも先週末には及ばず、明らかに盛りを過ぎた感はありました。しかし、今まさに満開の八重桜を始めとして見頃の木もそこそこ残り、小鳥のさえずりを聞きつつ祭りの後の静けさを味わうのもそれはそれでよいものでした。去年もこの程度まで散ったところへ駆けつけ、それなりに楽しめたという記憶があります。水戸の梅のごとく、盛りを過ぎても楽しめるのが弘前の桜の奥深さなのでしょう。
この後は岩木山麓へ向かいますが、行って戻ればもう夕方です。この分だと、今日は弘前にとどまることになるかもしれません。もちろん、今日中に青森まで行くなど造作のないこととはいえ、明日もかなり天気がよいと聞いており、この清々しい晴天が続くなら、もう少し津軽に滞在したいという方向に傾いているからです。仮にそうなった場合、青森からフェリーに乗るのは早くとも明日の昼頃になり、函館に着くのは夕方から夜にかけてということになります。その結果、明日は函館公園で夜桜を眺めるのがせいぜいで、明後日を五稜郭と函館公園に注ぎ込んで、夕方の列車で三度目の一時帰京をするといった展開になりそうです。
もちろん、津軽の居心地がよすぎて、青森に着いた頃には日が暮れていたという展開も考えられます。その場合は潔く青森止まりとし、函館には明後日の早朝のフェリーで渡れればよいということにします。弘前まで到達した時点で、花見の旅は一つの峠を越えており、北海道の花見は極論するならおまけのようなものです。先を急ぐつもりはないため、明日も風に任せて動きます。
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東北一周花見の旅 2013Part3 二日目

2013-05-17 12:29:53 | 東北
腹ごしらえを済ませた後は、お約束の弘前公園を訪ねます。例によって河原に車を停めれば、最初にたどり着くのは西濠です。あらかた散った左岸に対し、桜のトンネルには遠目に見ても花が少々残っており、この眺めは去年訪ねたときと変わりません。しかし違うのは、見物客が誰一人としていないことです。平日という事情はあるにしても、散歩客が時折通りがかるだけという閑散ぶりは、雪に埋もれた冬場と比べても大差ないかもしれません。
しかし、華麗な花吹雪が舞っていた前回には及ばないとしても、今日の光景もなかなか印象的です。ほぼ葉桜だというのに、風が吹けばまだこれだけ咲いていたかと思うほどの花吹雪が舞い、落ちた花びらが桜色の絨毯になっています。そんな光景を眺めつつ、ベンチに腰掛け涼やかな風を受ければ、開始早々時間の経つのを忘れてしまいそうです。
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東北一周花見の旅 2013Part3 二日目

2013-05-17 11:05:25 | B級グルメ
ひとしきり見物したところで頃よく「田沢食堂」が開いたため、こちらで朝食をとります。注文はもちろん中華そばとご飯物の組み合わせで、本日選んだのは親子丼です。
これまで「そばつゆの風味」と形容してきたこの店の中華そばですが、改めて味わうと、舌先に残るそばつゆの風味に加えて、含んだ瞬間に魚介の出汁が香ってくることに気付きました。それも、いわゆる津軽の煮干中華とは少々違う、この店独自の味わいです。何度も繰り返した台詞とはいえ、これほどの逸品が350円とはお値打ち品です。

田沢食堂
弘前市茂森町97
0172-33-2969
1000AM-1830PM(土曜祝日 -1600PM)日曜定休
中華そば+親子丼800円
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東北一周花見の旅 2013Part3 二日目

2013-05-17 09:49:51 | 東北
まずは前回最後に立ち寄った禅林広場を訪ねます。満開だった桜が葉桜に変わっているのは想定の範囲内だとしても、思った以上に沢山の花が残っており、最後に咲いた枝では若葉より花の方が断然勝っています。そして岩木山の眺めは期待通りです。気分は津軽滞在の方向に大きく傾きつつあります。
ちなみに、駅から来る途中に眺めた外濠の桜にもまだ花が残っており、去年の花見で訪ねたときがこの程度だったと記憶しています。散り際で比べるならば、今年の桜はざっと十日以上も遅れて咲いているということです。
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東北一周花見の旅 2013Part3 二日目

2013-05-17 09:32:33 | 東北
相棒を引き取って出発します。車を置いての一時帰京にも慣れてきたとはいえ、漠然とした不安感はどうしても残ります。もちろんそこらの道端に放置していたわけではなく、人目につきやすい駐車場を選んで止めており、トラブルに巻き込まれる危険性としては、花見のとき河川敷の駐車場に一日止めておくよりはるかに低いのです。そうとわかっていながら不安になるのは、やはり遠く離れた場所に何日も置き去りにすることからくるものなのでしょう。たかが車を一週間弱置いただけでこうなるのですから、出稼ぎや単身赴任の辛さはいかばかりかと想像させられます。
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東北一周花見の旅 2013Part3 二日目

2013-05-17 09:25:56 | 東北
弘前に着きました。能代を過ぎた頃から次第に雲が晴れ出し、津軽平野には雲一つない青空が広がっています。気温は16度、花冷えだった大型連休とは全くの別世界で、花吹雪が舞っていた先週末とも違います。水を張った田圃に青空が映える様子は、花見の季節というより新緑、薫風の季節と呼ぶにふさわしく、仙台で眺めた清々しい青空が、二週遅れて北東北へやってきたかのようです。
彼方では雪をかぶった岩木山が山頂まで一点の曇りもなく姿を見せており、これが水を張った田圃に映った眺めなどは最高でしょう。今日は弘前公園で申し訳程度に八重桜を眺めたら岩城山麓まで高度を上げ、その日のうちに青森まで移動するつもりでいましたが、これなら津軽平野に終日滞在するのもよさそうな気がしてきました。北海道へ渡るのがその分遅くなるとはいえ、函館では去年散り際の見事な桜を眺めていることもあり、それほど先を急ぐ必要もありません。とりあえずは風に任せて進みます。
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東北一周花見の旅 2013Part3 二日目

2013-05-17 06:27:45 | 東北
酒田を過ぎたところでもう一寝入りし、只今車内放送の再開を告げる「ハイケンスのセレナーデ」で目覚めました。7分遅れで運転中とはいうものの、四時間以上も遅れた冬場を思えば、この程度なら遅れのうちに入りません。
窓の外には再び日本海が広がっています。そして雲間からは時折薄日が。花見も盛りを過ぎ、天候に一喜一憂することもなくなったとはいえ、もちろん天気がよいに越したことはありません。庄内で散りかけていた八重桜が、北上するにつれて見頃になってきました。ソメイヨシノはともかくとして、八重桜はまだ十分楽しめそうです。
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東北一周花見の旅 2013Part3 二日目

2013-05-17 04:32:53 | 東北
列車は海沿いを離れて庄内平野に入りました。車窓に広がっていた日本海は水を張った田圃に変わり、こちらはこちらで季節感があります。どんより曇った空は相変わらずとはいえ、その空が鏡のような水面に映るとそれなりの絵になるものです。こんな調子で車窓を眺めていれば、弘前までの五時間弱は意外と早く過ぎ去るかもしれません。
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東北一周花見の旅 2013Part3 二日目

2013-05-17 03:48:16 | 東北
おはようございます。列車は本日最初の停車駅である村上を出て、羽越本線を北上中です。初夏の日は長く、この時間から空が徐々に明るくなってきました。それも色鮮やかな朝焼けではなく、どんより曇った空が雲間から薄ぼんやりと明るくなってきたというのが正しく、沖合にはところどころ漁火が。こんな車窓こそ、夜汽車の旅の醍醐味というものです。高崎を出てからは眠ったり起きたりの繰り返しでしたが、これは寝台で眠っている場合ではありません。少なくともこの車窓が続く山形との県境まで、空と海とが少しずつ明るくなるのを車窓越しに見届けたいと思います。
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