日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

東北一周花見の旅 2013七日目

2013-05-03 23:51:40 | 居酒屋
仙台で呑むのも一年四ヶ月ぶりということになると、新規開拓するよりなじみの店を訪ねたくなるのが必然というもので、店の選択肢も限られてくるこの時間にあってはなおさらです。過去に仙台で訪ねた居酒屋は、最も多く通った「おのちゃん」と、教祖おすすめの「源氏」「一心」「かん」の合わせて四軒しかありません。このうち「源氏」と「一心」は既に看板ということで、選択肢はさらに絞られます。二つに一つの状況で最初に選んだのは「かん」です。

なじみといっても、この店に立ち寄ったのは二年前の正月一回だけです。延々四時間かけて常磐線を行く「スーパーひたち」を終点の仙台まで乗り通した後、石巻を通って女川まで往復し、夕方から早々に始めて牛タン二軒と居酒屋三軒をはしごしたとき、通算四軒目に立ち寄ったのがこの店でした。その二月後にどうなったかは周知の通りで、仙台行きの「スーパーひたち」も女川駅もことごとく過去のものとなってしまいました。それだけに、自分の中でも当時のことは思い出深く、二年の月日を乗り越えたこの店がどうなっているかを確かめたかったという次第です。
当時の記憶としては、国分町の古びた雑居ビルの二階にあること、五、六席ばかりのカウンターと申し訳程度のテーブルしかない小さな店だったこと、居酒屋というより日本酒バーといった雰囲気の店だったこと、中年の店主が一人で営んでいたこと、正月らしく粕汁が出てきたことなどです。当然ながら、店の雰囲気と店主は何一つ変わらないものの、再訪して改めて気付いたこともあります。カウンターの背後には造り付けの立派な棚が天井まで延び、向かって左には酒器が、右には食器と一升瓶が並び、器の一つ一つはなかなか気がきいたものです。三品のお通しは箸の進み具合を見計らいつつそいの造り、生湯葉、アイナメ煮付けの順で差し出され、牛タンの後ならこれさえあれば酒以外のものは必要ないでしょう。気のきいたお通しだけで十分呑めるところは「源氏」にも通ずるものがあります。
品書きはお造りとだし巻きなどわずかばかりの一品料理に限られていて、そのお造りの分量もかなり控えめです。腹は満ちない代わりに酒ばかりが進んで、酔いが次第に回ってきます。ある程度想定していたこととはいえ、やはり盛大な飲み食いはこの店に合わないのかもしれません。しかし、牛タンで腹を満たした後、酒をあおって仕上げたいと思ったときに、この店が「源氏」と並ぶ候補の一つに上がるのは事実です。居酒屋が先、お好み焼きが後になる広島に対し、仙台では逆順が定石なのだと改めて実感する結果となりました。

かん
仙台市青葉区国分町2-13-11
022-225-8148
1800PM-100AM(日祝日休)

かん・鳳陽・水鳥記
お通し三品
かわはぎ造り
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東北一周花見の旅 2013七日目

2013-05-03 23:29:12 | 東北
仙台市街に戻りました。出発からの走行距離は約920kmとなっています。過去三回の東北一周では、盛岡の前後で1000kmを超えたという記憶があるので、この先東北道をまっすぐ北上することを考えると、例年を100km少々上回るペースになっています。
現座の気温は9.5度です。上着が必要なのはこれまでと同じだとしても、これまで夜は5度6度あたりが続いてきただけにほっとします。経験上、車中泊が難なくできるかどうかの分かれ目が10度なので、これなら今夜は漫画喫茶の世話になる必要もないでしょう。その点に関する限り、道中唯一の車中泊が仙台になったのは幸運でした。
大分遅い時間帯ではありますが、この後は酒場で一献傾けます。仙台の飲み食いの主役といえば一に牛タン二牛タン、三、四がなくて五に呑み屋であり、居酒屋は牛タンで腹を満たした後に軽く一杯引っかける場所に甘んじているのが常です。初めから居酒屋で呑むという貴重な機会だけに、どんな展開になるのか楽しみです。
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東北一周花見の旅 2013七日目

2013-05-03 21:06:46 | 東北
仙台市街を通過し、45号線を走って塩竈に着きました。噂に聞いていた鹽竈神社の夜桜ですが、ライトアップされていたのは主役である鹽竈桜ではなく、駐車場の近くに立つ若い紅枝垂でした。珍しい八重桜のライトアップを期待していただけに、少々肩透かしを食った格好です。庭園風の斜面に枝垂桜が並んだ様は絵になってはいるものの、毎年立ち寄りたくなるほどの名所かというと、必ずしもそうは思わないというのが率直なところではあります。しかし、おかげで宮城の夜桜を観られたことについては感謝しなければならないでしょう。
夜桜はささやかでも、神社はかなり立派なものです。何百段あるのかと思うような石段が麓から山の上の神社まで一直線に伸び、その脇には立派な杉木立が並んで、鹽竈桜も橙色の街灯を浴びています。そして境内には、鹽竈桜に加えてエドヒガン、枝垂桜、ソメイヨシノの立派な古木がいくつも並び、中には弘前の二の丸大枝垂の全盛期を彷彿させるような大木も。残念ながらそれらは総じて葉桜に変わってしまい、鹽竈桜とライトアップされた紅枝垂だけが見頃という状況ながら、明るいうちに立ち寄ればどれだけ見事な眺めなのかと想像したくなります。
このような状況だけに、夜桜といっても見物客の姿はなく、境内では散歩と思しき人々が時折通りがかっては拝礼していき、池からは蛙の鳴き声が聞こえます。この光景を見て思い出すのは、一昨年新潟で立ち寄った弥彦神社の夜桜です。華やかなライトアップが夜桜の真骨頂とはいえ、こんな花見もまたよいものです。
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東北一周花見の旅 2013七日目

2013-05-03 19:22:59 | 東北
神町駅に立ち寄って山形での全行程終了。48号線経由で仙台へ向かいます。着いたら即牛タンというのが不動の定番のところ、鹽竈神社の夜桜見物を予定しているため、仙台市街へ戻る頃には店が終わっているでしょう。今夜は居酒屋で一献傾けるにとどめ、牛タンは明日の昼に回します。
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東北一周花見の旅 2013七日目

2013-05-03 18:53:48 | B級グルメ
三日三晩滞在した置賜への敬意を表し、当地にもある金ちゃんラーメンの支店へ行くことも考えはしたものの、やはり谷地へ来たなら肉そばをいただかずには終われません。前回に引き続いて訪ねるのは国道沿いの「いろは支店」です。
米沢の「金ちゃんラーメン」同様、一年ぶりともなると味わいにも格別のものがあります。甘しょっぱい出汁に歯応えのあるそばと鶏肉の組み合わせには完成されたおいしさがあり、こちらも汁一滴残さず完食と相成りました。

★いろは支店
西村山郡河北町谷地字月山堂411-3
0237-72-2831
1100AM-1900PM(水曜休)
肉そば650円
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東北一周花見の旅 2013七日目

2013-05-03 18:27:48 | 東北
谷地に着きました。以前はそこそこの頻度で足を運んでいた仙台、山形も、歩みが遅くなった近年では縁遠くなり、一泊二日で訪れることはまずなくなりました。その結果、近年では谷地にも年に一回花見の途中に立ち寄るだけになって、今回も日付まで全く同じ一年ぶりの再訪です。今でも足繁く通っている会津などと違って、ここから仙台にかけてはどこか懐かしさを感じる場面が多くなってきます。
気温は6度、肌寒さは相変わらずながら、置賜で見頃だった桜が大分散ってきており、違う土地へ来たことを否応なく実感します。さらに仙台まで下りれば新緑の季節です。明けても暮れても花見だったこれまでに比べ、置賜を出てから仙台にかけての旅路は若干趣を異にします。しかし、南東北から北東北へ渡る合間の中休みと思えば、これはこれで悪くなかろうと思っています。
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東北一周花見の旅 2013七日目

2013-05-03 17:38:56 | 東北
さて、この後は一般道経由を選択し、287号線と48号線を経由して仙台へ向かいます。悠長にしているわけではなく、実は所要時間に大差はありません。というのも、287号線が実に快適な道なのです。広々した車線と緩やかな線形は下手な幹線国道よりも整備されており、交通量も適度でストレスを感じることがありません。北海道の道や高規格のバイパスのような「快走路」というわけではなく、流れに乗ってストレスなく走れるという点では、高速道でいうならさしずめ常磐道のようなものといってよいでしょう。
この道をひとしきり走ったところで谷地の肉そばをいただき、神町駅の背の高い個性的な駅舎に立ち寄って、そこから48号線まで一直線に高度を上げ、峠を越えて作並、愛子と下って、最後に西道路のトンネルを抜けると仙台市街が現れるという一つ一つの場面の展開が楽しく、自身過去何度も通ったなじみの経路です。東北を一周した過去三回の花見でも、置賜から仙台への移動はことごとくこの経路でした。さくら回廊を後にしてからというもの、ここまで地図を一度も開いていません。もちろん仙台に着くまで一度も開くことはないでしょう。
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東北一周花見の旅 2013七日目

2013-05-03 17:18:50 | 東北
白兎の枝垂桜、釜の越桜、薬師桜と立て続けに名木が現れるところで、残念ながら雨が本降りになってしまいました。もう撮影にはならないため、機材を持たず傘だけさして申し訳程度に見物するしかありません。この先にも名木はいくつかあるものの、沿道からは少し外れるため、これをもって今年のさくら回廊は打ち止めとします。
結局さくら回廊では三年続けて天候に振られてしまいました。しかし、雨に打たれて淋しげに佇んでいた昨日の夜桜は印象的でした。涙の後には虹も出る、いつの日か青空の下で再会したいものです。また来年…
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東北一周花見の旅 2013七日目

2013-05-03 16:59:26 | 東北
長井市街を出て最初に訪ねるのは草岡の大明神桜です。伊佐沢の久保桜と並ぶ国指定天然記念物の名木ながら、唯一の難点は杉林や民家に囲まれ見晴らしがよくないことで、そのせいか久保桜に比べて人出も常に少なめです。とはいえその立ち姿は樹齢千二百年とは思えないほど矍鑠としており、改めて眺めると名木といわれる所以も納得できます。
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東北一周花見の旅 2013七日目

2013-05-03 16:37:18 | 東北
先へ行けば行くほど天候が下り坂になるのは昨日と同様で、残念ながら長井市街に入ったところでどんより曇った空から小雨が落ちてきました。これ以上さくら回廊に深入りする必然性はないため、この後は申し訳程度に沿道の名木を訪ねつつ、仙台へ向かって移動を開始します。自身初見ながら、鹽竈神社で八重桜のライトアップがあるとのことなので、今日はこちらで夜桜見物ということになりそうです。
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東北一周花見の旅 2013七日目

2013-05-03 16:06:01 | 東北
伊佐沢の久保桜を再訪します。本降りの雨にたたられ訪れる人の姿もなかった昨日の夕方に対し、連休初日で時折日も差す今日は見物客の数が違います。しかし、違うといっても実に適度な人出で、近寄る気さえ起きないような滝桜の大渋滞などとは別世界です。青空に抜ける姿は拝めなかったものの、西日を浴びた名木の姿を拝めただけでも、再訪した甲斐はあったというものです。
ところで、今日明るい空の下で眺めて気付いたのですが、すぐ隣の小学校の校庭に並んだソメイヨシノの花がまばらになっています。以前最盛期に訪ねた時は、それはもう見事な桜並木で、久保桜の引き立て役に甘んじているのがもったいなく思えるほどでした。それが今年は、烏帽子山ほどではないにしても、まばらにしか咲いていないのが遠目にも分かります。やはり今季の寒さと何らかの関係があるのでしょうか。そんな中でもこれだけの花を咲かせた久保桜は、改めて大したものだと思います。
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東北一周花見の旅 2013七日目

2013-05-03 14:54:08 | 東北
わずか20kmの間に両手に余る古木が点在し、中通りと並ぶ名木の宝庫として名高いさくら回廊だけに、寄り道は本来禁物ながら、一ヶ所だけ立ち寄りたい場所がありました。昔ながらの木造駅舎が残る西大塚駅です。
沿線には長井や羽前成田など他にも名駅舎が多く、当然ながらこの駅ともども何度か訪ねています。中でも、伊佐沢の久保桜への道すがらにあるこの駅舎は、花見の旅では西米沢と同様毎年立ち寄るなじみの場所です。しかし、どういうわけかこの駅を訪ねるときは、撮影する気も失せるほどどんより曇ってしまったり、本降りの雨にたたられたり、さらには駅舎をふさぐように車が止まっていたりして、いい条件で撮影できたという記憶があまりありません。その点今回は快晴とは行かないまでも時折日が差し、花壇に咲いたチューリップや駅裏の民家の鯉のぼりなどもよい点景になっています。

ちなみに、赤湯を出てから長井へ向かって移動するうちに、またしても曇りの時間の割合が増え、さらには雨粒が一滴二滴落ちてくるようになりました。程度の違いこそあれ、米沢から長井へ向かうにつれて天候が下り坂になるのは昨日と同じで、束の間の日差しを狙って訪ね歩くとすれば、立ち寄れる名木にも限りが出てきそうです。しかし、だからといって今更先を急いでも、今日中に盛岡まで行くには仙台を素通りするしかありません。仙台止まりになることは事実上確定したため、今日は暗くなるまで時間の許す限りさくら回廊の名木を訪ね歩きます。
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東北一周花見の旅 2013七日目

2013-05-03 14:26:24 | 東北
一風呂浴びた後はさくら回廊を北上します。ここまで昨日とほぼ同じ展開をたどってきた本日の活動ですが、一つだけ違う点があります。にわか雨がほとんど降らず、その代わり米沢を離れても晴れの時間の割合がほとんど変わらないのです。仮にこの天候が行く先まで続いていれば、さくら回廊の古木を訪ね歩くには好都合です。三年越しの宿願を今日こそ達成できるでしょうか。
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東北一周花見の旅 2013七日目

2013-05-03 13:58:25 | 温泉
米沢に昼まで滞在し、それから赤湯で一風呂浴びるという展開は昨日と全く同じです。道中三度目の赤湯温泉となれば、「あずま湯」「烏帽子の湯」と並ぶもう一ヶ所の公衆浴場である「とわの湯」を選びたいのはやまやまながら、あいにく二時半まで昼休みで、「烏帽子の湯」は定休日です。その結果選択肢は最初に訪ねた「あずま湯」に絞られました。しかし、三日続けて赤湯の公衆浴場に入れたのですから、それだけで十分なのかもしれません。
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東北一周花見の旅 2013七日目

2013-05-03 13:16:49 | 東北
市街を出る前に道中二度目の給油を済ませます。例年の展開からして、次は盛岡での給油を見込んでいたところが、この分だと盛岡を素通りして弘前まで直行することも考えられる情勢になってきたため、その間給油なしで確実に走れるよう今のうちに手を打った次第です。出発以来七日間、桜前線と同様遅い歩みが続いている今回の旅ですが、ここへきてわずかながらも動きが出てきました。
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