日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

北海道花見の旅 2013

2013-05-18 23:28:42 | 北海道
お待ちかねの函館山にやってきました。標高が上がるにつれて気温は9度に下がり、大型連休以来となる上着を羽織って展望台に立ちます。
実は、自分が函館山に登ったことはただの一度、正確には二度しかありません。十三年前の秋、北海道を一周した汽車旅の最後で函館に立ち寄り、明るいうちに函館山を訪ねた後、暗くなるのを待ってもう一度登ったという顛末でした。そのときの記憶は、とにかく見事な眺めだったということと、とにかく見物客が多かったということの二点に集約されます。特に夜間は、花見の最盛期に千鳥ヶ淵のお立ち台から夜桜を眺めるようなもので、今の自分があの人混みに耐えられるかどうかは分かりません。
そして今回、宿願を果たして再訪すると、遅い時間ということもあるのか、まだ肌寒い五月ということもあるのか、身構えていたほどの人出はありませんでした。たとえるならば、ライトアップの明かりを落とした公園で、地元の若い連中だけが何人か花見に興じているといった雰囲気に似ており、適度な賑わいと表現するのが合っています。
そして、当然ながら夜景は見事の一言に尽きます。絵葉書などで何度も何度も目にした光景とはいえ、街の明かりのまたたきだけは、現地に足を運ばなければ体感できません。しかも、函館に来ればいつでも見られるというものではなく、山頂が晴れなければ成り立たないわけです。花見の後に自走で上れる状況で、なおかつ山頂も晴れているという条件が整った以上、これを活かさない手はないでしょう。呑み屋を一晩飛ばした分を補って余りある、実に見事な夜景です。
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北海道花見の旅 2013

2013-05-18 21:28:57 | 北海道
一通りの用事を済ませたところで、満を持して函館公園に繰り出しました。提灯とライトアップはおそらく今季最後だというのに、悠長に寄り道を繰り返したのは、小一時間もあれば余裕で回れることを経験上知っていたからです。しかし想定外だったのは、桜がほぼ葉桜になっていたことで、これなら弘前の桜と比べてもほとんど変わりません。もっとも、よくよく見ると花が散った様子はなく、ここでようやく合点がいきました。そうです、ここでも花がほとんど咲かなかったのです。
置賜から津軽まで、今年はあまりの寒さで花が咲かないという木を何度も見てきましたが、ここの桜もご多分に漏れずということのようです。今季最後の夜桜は、肩透かしを食った形で終わりました。こうなると気になるのは五稜郭の桜です。五稜郭でも似たような現象が起きているとすれば、明日の花見はやや興ざめになるでしょう。まあ、たとえ花見が空振りでも、函館で活動のネタには事欠かないのですが。
ちなみに、気温は日没の頃からさほど変わらず12度、時折風は吹くものの、長袖シャツが一枚あれば十分といった塩梅です。過去二回の花見では、上着を着込んでもかじかむほどの寒さだったことを考えると、今日はいたって過ごしやすい夜になっています。
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北海道花見の旅 2013

2013-05-18 20:55:37 | 温泉
続いては谷地頭で一風呂浴びます。市営だった温泉が民営化されたと聞いてはいたものの、特に何が変わったというわけではなく、泳げそうに思えるほど巨大な浴槽も、褐色の塩辛い源泉も何一つ変わらず健在でした。

★谷地頭温泉
函館市谷地頭町20-7
0138-22-8371
600AM-2200PM(第二第四水曜定休)
入浴料400円
泉質 ナトリウム-塩化物泉(中性高張性高温泉)
泉温 65.1度
pH 6.4
湧出量 330l/min
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北海道花見の旅 2013

2013-05-18 20:25:30 | B級グルメ
すっかり暗くなりましたが、花見の前に腹ごしらえです。函館公園への道すがら、毎度おなじみ「小いけ」に立ち寄ります。
今回訪ねるのは過去二度の花見で立ち寄った「元祖」ではなく、電車通りに面した「本店」です。昔からのカレー屋という形容がふさわしい「元祖」に対して、こぎれいなのがこの「本店」で、自分の趣向としては当然前者を選びたくなるところではあります。今回こちらを選んだ直接の理由も、「元祖」が既に閉まっていたからです。しかし、こちらはこちらで悪くありませんでした。
店内は見た目に違わず喫茶店かレストランのようで、少なくとも「カレー屋」という言葉から連想されるような雰囲気ではありません。しかし客席は広々しており、三日月型のカウンター席に腰掛ければ、背面の左右には小洒落た食器棚が、中央の棚にはいかにもインドといった感じの象の置物が並んでいます。カレーポットになみなみと満たされたカレーにはとろみがある、というより流動性がほとんどなく、昼に食べた「田沢食堂」のカレーにも通じるまったりした食感があります。しかし、典型的なそば屋のカレーだった田沢食堂に対して、ここのカレー肉と野菜の旨味が凝縮されたような濃厚さと、じわじわ効く辛さを特徴とし、「カレー屋のカレー」と形容するのが合っています。「元祖」との違いは、おそらく続けざまにいただかなければ分からないでしょう。味は互角で値段も同じなのですから、何の不足もありません。この店が開いていてくれたことに感謝します。

小いけ本店
函館市宝来町22-5
0138-22-5100
1100AM-1500PM/1700PM-2030PM(LO)水曜不定休
ポークカレー大盛り730円
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北海道花見の旅 2013

2013-05-18 19:38:02 | 北海道
駅前に投宿したところで、花見の前に済ませておかなければならないことがあります。三度目の一時帰京に備えて列車を手配することです。明日最終の新幹線で帰り、金曜の始発の新幹線で戻るわけなのですが、「東京往復割引切符」なる渡りに船の商品があったため、乗車券はこちらを選択しました。函館から東京までの往復に加えて、電車特定区間が乗り放題で12000円という破格の商品で、盆正月などの利用制限もなし。割引切符の類が年を追えば追うほど姿を消していく中、これほど良心的な商品が残っていたとは知りませんでした。
唯一の問題は、この乗車券の有効期間が六日間だということです。つまり、来週の金曜までに戻るのが絶対条件であり、万一休暇取得に失敗すると復路の乗車券を買い直すしかありません。週明け四日の平日が無事過ぎてくれることを願う次第です…
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北海道花見の旅 2013

2013-05-18 18:46:54 | 北海道
函館に着きました。出発以来使ってきた東北の地図を片付け、北海道の地図を取り出したところで、いよいよ北の大地へたどり着いたという実感が高まってきました。気温は13度、しかし数字以上に体感温度が違い、暑がりの自分でも半袖ではいられません。たかが100km少々北上しただけとはいえ、やはり北海道の気候は違います。
この後の行動についてですが、まず投宿してから腹ごしらえして谷地頭で一風呂浴び、函館公園の夜桜を見物します。そして、10時の終了後はその足で函館山に登ろうかと思っています。あまりに月並みな観光地とはいえ、最後に訪ねたのが10年以上も前で、なおかつ今日は山頂まで一点の曇りもないため、今日を休肝日にして再訪しようと考えている次第です。かなり混むという話は聞くので、取り付く島もないようならいつものように酒場で一献傾けます。
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北海道花見の旅 2013

2013-05-18 17:11:11 | 北海道
下北半島と陸奥半島が途切れ、彼方の海が見えたところで、今度は入れ替わるように北海道の陸地が迫ってきました。西に見えるのはおそらく松前半島でしょう。
過去何度も語ってきたように、北海道へ上陸する交通手段が数ある中でも、函館行きのフェリーほど旅情に満ちたものはありません。松前半島から函館山まで海岸線が長い長い弧を描く中、北の大地が徐々に迫ってくるところが最高なのです。青森を出て以来、空は終始薄雲に覆われてはいるものの、絹のような薄雲と松前半島の取り合わせは絵になります。函館港に着岸するまで、一瞬たりとも退屈する間はなさそうです。
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東北一周花見の旅 2013Part3 三日目

2013-05-18 15:57:07 | 東北
出航から一時間半、岩木山の頂が津軽半島の向こうに消えました。右には下北半島、左には津軽半島が迫り、船は間もなく陸奥湾を出て津軽海峡にさしかかろうとしています。
気温は一時20度まで上がり、朝から終始汗ばんでいたにもかかわらず、海へ出た途端に寒くなってきました。「涼しい」ではなく「寒い」と形容するのが正しく、これなら長袖シャツを二枚着込んでデッキに上がるべきでした。過去函館で花見をしたことは二回あり、いずれも夜間の寒さに驚かされたものです。初夏の陽気だった津軽平野から一転、海峡の向こうではまだ寒風が吹いているのでしょうか。
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東北一周花見の旅 2013Part3 三日目

2013-05-18 14:43:01 | 東北
青森港から函館行きのフェリーに乗り込み、先ほど岸壁を離れました。出発からの走行距離は1650km, 延べ15日にわたったみちのくの旅路はこれにて終了です。しかし行く手には北海道が待ち構えており、旅が終わったという実感はありません。その一方で東北に滞在した時間が長すぎて、これから北海道へ渡るという実感が湧かないのもまた事実です。北の大地が彼方から迫り来るのを眺めたところで、初めて実感することになるのでしょうか。
後方では岩木山の頂が顔を出し、見送るかのように佇んでいます。往生際の悪い性分からして、この山が見えなくなるまでデッキに立ち続けることになりそうです。
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東北一周花見の旅 2013Part3 三日目

2013-05-18 13:05:34 | 東北
大トリを飾るのはもちろん弘前公園です。といっても時間が押してきたため、西濠の周辺を申し訳程度に眺めるしかありません。申し訳程度といいつつ何時間も滞在してしまうのがこれまでの常だったのに対し、フェリーの時刻が決まっている今回は許されない選択です。せめて一時間あればと惜しまれはするものの、仮に一時間あったとしても、今度は二時間あればと思っていたでしょう。ここが正真正銘の潮時です。
4日に着いて18日に出るということは、相棒は津軽平野に半月滞在したことになります。その間花冷え、花吹雪、さらには風薫る五月の陽気を体感して、これまで知らなかった津軽の季節の移り変わりに触れた八日間でした。最後まで楽しませてくれたことに感謝します。また来年…
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東北一周花見の旅 2013Part3 三日目

2013-05-18 12:50:30 | 東北
富田の清水で喉を潤します。冬場は温かく感じる水が、今日はこんなに冷たい水だったかと思うほど冷たく感じられます。もちろん、湧水の温度が大きく変わることはないので、おそらくは今日の陽気のせいなのでしょう。この先夏から秋へと季節が変わると、この水の味わいはどう変わるのでしょうか。自分の知らない津軽の四季に思いを馳せます。
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東北一周花見の旅 2013Part3 三日目

2013-05-18 12:42:46 | 東北
続いては最勝院を訪ねます。前回立ち寄ったとき散りかけていたエドヒガンは葉桜に変わり、鮮やかな新緑が山門と五重塔を引き立てています。今年はソメイヨシノの花がまばらで少々肩透かしを食った感があったとはいえ、代わりに新緑との取り合わせが見られたのは幸いでした。次は雪の降る頃にお会いしましょう…
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東北一周花見の旅 2013Part3 三日目

2013-05-18 12:30:41 | 東北
5月4日の到着以来延べ八日にわたった弘前滞在にも、いよいよ終わりの時が近づいてきました。別れの挨拶代わりに禅林広場へ立ち寄ります。おそらく冬場に再訪することにはなるものの、その頃この広場は雪に埋もれて立ち入れなくなっているでしょう。芝生の広場で岩木山を眺めるのは、来年再び桜が咲く頃となります。
今季初めて訪ねたとき、まばらな花に少々落胆させられたのが、最初の一時帰京から戻ると立派な花が咲いていたのはあっぱれでした。来る日も来る日も見事な夕日を見せてくれたことに感謝します。また来年…
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東北一周花見の旅 2013Part3 三日目

2013-05-18 12:02:38 | B級グルメ
弘前市街に戻ったところで頃よくお昼の時間になりました。最後も「田沢食堂」で締めくくります。馬鹿の一つ覚えと化した感のあるこの店ですが、最後だからこそ慣れ親しんだ店で終わりたいという考えもありました。今回は中華そばの「小」とカレーライスを注文します。
「小」とは読んで字のごとしで、チャーシュー抜きのメンマと葱のみという簡素さながら、ご飯ものと合わせるには必要にして十分。中華そばを主にしたいならご飯物の代わりにおにぎりを合わせてもよく、目一杯腹を満たしたいなら中華そばとご飯ものを合わせるもよし。腹具合に応じて自由自在に選べるばかりか、腹一杯いただいても800円そこそこなのですから、やはり弘前でのお昼はここに限ります。

田沢食堂
弘前市茂森町97
0172-33-2969
1000AM-1830PM(土曜祝日 -1600PM)日曜定休
中華そば(小)+カレーライス730円
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東北一周花見の旅 2013Part3 三日目

2013-05-18 11:26:46 | 東北
撮影を切り上げ弘前市街に戻ります。一面の田圃の向こうに雪をかぶった岩木山が。しかし、その田圃にまだ水はありません。越後、庄内、秋田と通ってきた中では、車窓が一面水鏡になっていたのに対して、津軽平野で水を張った田圃はざっと一割から二割といったところでしょうか。つい最近まで桜が咲いていたのですから当然ではあります。津軽の長い冬が偲ばれる光景です。
ちなみに、この後は弘前市街を軽く一周して津軽平野に別れを告げ、二時半のフェリーで函館へ渡ることにしました。昨日並の快晴ならば終日津軽に滞在して青森止まりにするにもやぶさかでなかったものの、薄い雲で空全体が覆われてきたため、ここが潮時と判断しました。予定通りの便に乗れれば函館には六時半に着くため、到着次第函館公園に直行して夜桜を眺めることにします。
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