MT MANIAX

苦難の時にこそ、われわれは隣人に対して寛大であらねばならない。そうしていれば世界はわれわれにとって寛大なものになるはず。

タッチ

2005年09月16日 | 映画
監督:犬童一心、出演:長澤まさみ、斉藤祥太、斉藤慶太、日本、2005

 漫画『タッチ』の実写映画化。私は『タッチ』世代です。漫画の『タッチ』は、あまり読んだことがありません。全部通して読んだ回数は、1回だけだと思います。『タッチ』が連載されていたころ、私は小学生でした。映画館の中の客は、私に近い年代の人が、何人もいました。今年の春、この映画の予告編を観たとき、思わずニヤリとしてしまいました。『タッチ』といえば、夏、高校野球、青春、恋愛・・・そこは、真夏の青空と白い雲の世界。長澤まさみと犬童一心は、めちゃくちゃハマっているように思えたからです。
 映画は130分でした。青春・恋愛映画としては若干、長めですが、ギリギリ大丈夫な時間でした。主演の3人の演技も、スクリーンでのアップに、なんとかギリギリ耐えられるものだったと思います。
 ツッコミどころが満載でした。
 達也や和也が出ている野球の試合がテレビ中継されている場面では、野球中継ではありえないようなアングルで画面が映っている箇所がいくつかみられ、オイオイと思ってしまいました。
 挿入歌の『タッチ』(韓国人歌手ユンナが岩崎良美のヒット曲をカバーしたもの)は、劇中に必要ありませんでした。この歌のメロディーと、この映画は相性が悪いように思えました。
 萩本欽一が監督を務める野球チームのゴールデンゴールズが登場することも解せません。映画に出てこなければならない必然性がありません。1984年にリメイクされた『ゴジラ』に出てきた、武田鉄矢が演じたホームレスぐらい必然性が感じられません・・・なんで欽ちゃんが出てきたのやろうか。どこかからの圧力だと思うのですが・・・。
 映画と原作を比較すると、必ず原典至上主義を通らなければならないのでイヤなのですが・・・。原作を130分の映画に詰め込む作業が大変であったと思います。編集の上手さが光っている場面が、いくつも見られ、すごいなあと思いました。極限まで削っていると思います。他に削れるとすれば、欽ちゃんぐらいだったと思います。原作の『タッチ』をスクリーンで再現するには、どのシーンも削れないと思いました。削ってしまうと物語が破綻してしまうためです。そのため、130分に詰め込むだけ詰め込んでしまい、登場人物たちがしゃべる言葉に“命”が感じられず、ただのセリフになっている印象を受けました。
 ツッコミどころをあげていくとキリがないので、ここで止めにします。漫画の『タッチ』が好きな方は、ぜひ観に行って欲しいと思います。映画館の中で、青春時代に戻ることができると思います。