MT MANIAX

苦難の時にこそ、われわれは隣人に対して寛大であらねばならない。そうしていれば世界はわれわれにとって寛大なものになるはず。

NANA

2005年09月03日 | 映画
監督:大谷健太郎、出演:中島美嘉、宮崎あおい、松田龍平、日本、2005

 東京へ向かう新幹線の中で、2人の主人公“ナナ”と“奈々”は出会います。奈々は、この出会いのことを運命的な出会いと表現しています。夏の前から、この映画の予告編が映画館で流れており、実は少し期待しておりました。
 この映画は人気漫画『NANA』の実写映画化されたものです。メインの客層のターゲットを中学生・高校生に設定された、若者向けの映画です。いろいろ突っ込みどころがありましたが、悪くはなかったです。
 2人の主人公に中島美嘉と宮崎あおいがキャスティングされたのは、本当に素晴らしいと思いました。中島美嘉は演技がそれほど上手いとはいえませんでしたが、気だるいしゃべり口調などがピッタリとあっていました。宮崎あおいも、はまり役だと思いました。
 孤高なバンドのボーカルのナナと、天真爛漫な奈々の、本来交わることのない2人の、優しさや距離感が、この作品の魅力なのだろうと思われました。原作漫画は少女漫画であるため手を出しづらく、おそらく読むことはないと思いますが、こんな物語が、今の女の子に受けているのだなあ、と素直に思いました。女の子にとって、ナナも奈々も、両極端な存在なのだろうと思うのですが、どちらも憧れなのだろうと感じます。
 2人の主人公は女性のため、どうしても女目線の映画になりますが、男性客が入り込めないことはありません。バンドマンのレン、ヤス、ノブの中の男の友情のようなものや、章司(奈々の彼氏)の目線など、男性客が感情移入できる余裕も、この映画にはありました。このテイストが原作の漫画にあったのか否か分からないのですが、余裕を入れて114分に収めた、この映画の脚本は、若者向けの映画としては立派だと思います。
 恋愛・青春を扱った漫画『NANA』に対し、この映画では音楽という要素がプラスされます。紙媒体の漫画では、音楽を取り扱うのが極めて難しいため、期待が高まります。しかし、この音楽に関するシーンが突っ込みどころになってしまっており、ちょっと残念です。
 松田龍平が演じる“レン”は、超人気バンド「TRAPNEST」のカリスマギタリストです。しかし、カリスマ性のようなオーラが画面から感じられませんでした。ギターのシーンでも、それほど演奏が上手そうに見えませんでした。カリスマ性が感じられなかったのは私だけでしょうか。
 また、映画終盤では「TRAPNEST」のコンサートシーンがあります。このシーンが非常に辛かったです。照明やステージ設備などが、ショボショボなのです。超人気バンドのライブがこんなんじゃ、夢がないなあ。予算が足りなかったのかなあ、という現実的な気分に引き戻されてしまいました。ナナがボーカルをつとめるバンド「BLACK STONES」(プロデビューしていないアマチュアバンド)のライブシーンの方が、こじんまりとはしていましたが、照明効果などが格好良く、豪華に感じられ、お金がかかっているように感じました。
 成宮寛貴が、まあまあ重要な役柄で出演していました。先月に行なわれたサイキック青年団での話しを思い出してしまい、ちょっとドキドキしてしまいました。これは、成宮寛貴のカミングアウト映画か? 考えすぎだな。