オリックス・バファローズと楽天ゴールデンイーグルスによる分配ドラフト(くわしくはこの
ニッカン記事でどうぞ)が行われます。
いよいよ両球団に所属した選手たちの所属先が決定するわけですが、皆さんもご存知なとおりオリックスは嵐の船出です。
【
オリ「結団式」で団結できない (デイリーより)】
7日は神戸市須磨区の神戸サブグラウンドで『ブルーウェーブ』として最後の練習を行った。しかし各選手の姿に覇気はなく「モチベーションは下がりっぱなし」と川越も苦笑いだ。その原因は、6日に行われた小泉社長と中村GMによる選手への現状説明にあった。
この「
現状説明」、選手側から経営者側に怒号が飛ぶという前代未聞の騒ぎとなりました。
個人的に
率先して叫んだのは塩谷な気がするのですが…。
(「塩谷」でリンクさせていただいた塩谷ウオッチの第一人者である爆笑トホホ系サイト「
檻のうた ブルーウェーブ」様も、分配ドラフトに関して普段ではみられない感傷的な記事を挙げられております。
こちらよりどうぞ。)
さて、最初にご紹介した「オリ『結団式』で団結できない 」というデイリーの記事に話を戻しましょう。
オリックス選手会は消滅する近鉄側への配慮もあって、極力冷静に対応するようにしてきた。それをいいことに球団首脳は近鉄側の処理に奔走し、揚げ句の果てに近鉄・礒部がプロテクトから外れる特別扱い。「これじゃ“ゴネ得”」と、1日たっても怒りは収まらない。
この日、礒部は三輪に騒ぎを起こしたことを電話で陳謝した。もっとも、オリックス選手の矛先はあくまでも球団に向いている。川越は「礒部は覚悟を持ってやっていたから。悪いのは“特例”を認めた球団」と、礒部に対する悪意は全くないことを強調した。
小泉社長は「プロテクトは“チーム愛”のある人を選んだ」と説明したが、選手への対応を怠ったばかりか、今もなお肝心の現状にはほとんど秘密主義で押し通している。「結団式」でも団結できない―。多難な船出となりそうだ。
「チーム愛がない」という失笑ものの理由で礒部選手のプロテクトを外したオリックス経営陣側への見解についてはルパート・ジョーンズ選手の「
ルパート・ジョーンズ、愛を語る―独りよがりな『愛』なんて」の内容に賛同いたします。
あのね、オリックス・バファローズという球団に「愛」を持てる選手は皆無なんだよ。
普通の会社でもタブー中のタブー、経営者に怒号を飛ばしたとされる選手も、本来なら懲罰・解雇もの。
「これでプロテクトを外してくれ。楽天に移籍させてくれ」という切実な願いもあったことでしょう。
で、僕はルパートさんの記事に以下のようなコメントを残させていただいたのですが…
自主独立ということ (マンガウルフ) 11-08 01:30:28
「オリックス・バファローズ」という名前は一番選択するべきでない名前でしたね。
両方のアイデンティティーの侵害・そして喪失を意味すると僕は思っています。
選手とファンが一番戸惑ってしまうネーミングです。
誰かがおっしゃっていましたが、今回の合併によって完全に消えてしまうのは近鉄バファローズの歴史ではなく、阪急ブレーブスの歴史だと。
つまりオリックスブレーブスからオリックスブルーウェーブとなり、今度オリックス・バファローズとなってしまう「阪急ブレーブス」の歴史こそが完全に消滅するのだと。(今調べたところ、えのきどいちろう氏と網島理友氏の対談でした)
そういった歴史の重みをどこまで経営者側が理解しているのか?疑問です。
これを補足いたしますと。
「オリックス・バファローズ」という名称が意味するところは、両球団の選手ならびにファンのアイデンティティを乱暴に破壊し、そのプライドを根底から否定する名称であると僕は思うのです。
プロ野球ファンは誰もが多かれ少なかれ自分の応援するチームに誇りを持ち、日常生活と自らの内面を豊かにする糧としています。
そして球場で、職場で、居酒屋で、インターネット上で、他球団のファンとも“楽しくケンカ”ができるのは「お互いの自主独立が保たれているから」に他なりません。
同じ野球を愛する者同士という共通項はあれど、自主独立は尊重しあうべきもの。
オールスター戦が面白い理由も、それぞれが自分のチームを代表し、自分のチームのユニフォームで戦うからに他なりません。
自主独立し、個性を尊重したうえで、普段はライバルである選手と一致団結して戦うからこそ面白い。
その「独立」を侵害するような行為・発言は当然のごとく忌み嫌われます。
仮に例を挙げれば「自分のチーム以外はつぶれても良し」「野球は巨人だ。巨人さえ良ければ全てよし」といった発言・行為がそれに該当するでしょう。
かつてジャイアンツファンで有名なアナウンサーの徳光氏が広島のリーグ優勝が決まったにも関わらず「まだ巨人は優勝をあきらめてません。だって広島の選手が乗った飛行機が墜落するかもしれないじゃないですか」とテレビで発言してヒンシュクをかったそうですが、そういった他球団への敬意に欠ける独善的な発言も忌み嫌われて当然。
チームやリーグの「自主独立」を侵害する行為として、今年一連の「合併問題・1リーグ化問題」は、その最たるものだったといえます。
ルパートさんの言葉を借りれば
「オリックス・バファローズ」という球団名は、どう聞いてもオリックスがバファローズを僭称したようにしか聞こえません」。
「ファンに配慮して」だかなんだか知りませんが、取ってつけたようなこの名称をすんなりと受け入れる両球団のファンがいるとは思えない。
また、新しく「応援しよう」と感じるファンがいるとは思えない。
選手側…例えばかつて近鉄で活躍された鈴木啓示さんも「私ら、バファローズという名前を残す事は逆に中途半端やと思うわ。」と発言されておられます。
たとえ話で申し訳ないのですが、僕がいた少年漫画の世界には「人気のでるストーリー展開の法則」というのがありまして。
それはズバリ
「昨日のライバルが今日の味方」というものです。
要するに、思いっきり敵として戦っていた相手が「フッ…お前もなかなかやるな。」という一言で味方になり、新たな強敵に立ち向かうというストーリー展開です。
「ドラゴンボール」などの例をあげるまでもなく、皆さんもそんな漫画を一度ぐらいは読んだ記憶があることでしょう。
ただ、鉄則として両者の「自主独立」は保たれているんですよ。
あくまで自由意志で主人公の仲間になり、キャラクターに必要以上の変更は絶対に加えられない。
でないと、漫画として絶対に人気がでない。
仮に「ひとつになろう!」なんて安易な一言で主人公とライバルが合体し、より強いキャラクターになったところで、
ファンはついていけません。
「ドラえもん」と「パーマン」が合体して人気が2倍になります?
「バカボンのパパ」と「イヤミ」が合体して、よりおもしろいギャグって描けます?
誰が作者でもできない。
できるとすれば、
その合体までの過程を何度も何度も粘り強く、ファンが心から納得するまで描いていく方法しかありません。
はっきり言って、
無駄な努力です。
ついでにアニメの世界でいえば、ルパン三世の声が栗カンに変わっただけでも「ルパンの声、
よく似てるけど本当はこーじゃないんだよなぁ…」という違和感と感傷がいつまでも付きまとう。
そんなもんでしょ?
話は脱線したかに見えますが、続いています。
それに限りなく近いプロ野球ファンの感情をどこまでオリックス宮内オーナーが理解しているのか?
おそらくは全然わかってない。空気が読めないにもほどがある。
どうせ数年後にはブレーブスをブルーウェーブに改称したときのように別の球団愛称を考えるのでしょうが、
どうせやるなら今のうちにやったほうがいい。
「パーマン+ドラえもん」で「パーえもん」のような…
もっといえば
「アメリカ合衆国日本州」のような侮辱的名称はいますぐ撤回するべきです。
【追 記】
ふと思ったのですが…
例えば「福岡ダイエーホークスが南海ホークス時代から数えて21年ぶりにライオンズに勝ち越し」みたいな表現ってあるじゃないですか。
いったい「オリックス・バファローズ」は、近鉄とオリックスのどちらの球団史に属するんでしょう?
仮にリーグ優勝などした場合、「近鉄時代から数えて○年ぶりの優勝!」と言えばいいのでしょうか?
それとも「オリックス時代から数えて○年ぶりの優勝!」と言えばいいのでしょうか?
加えて言えば「近鉄時代から数えて○回目のリーグ優勝です!」とか言っていいの?
近鉄と阪急とオリックスの優勝回数を全部足してもいいの?
「まったく新しい球団だから、まったくの初優勝です」と言えばいいの?
じゃあやっぱりバファローズを名乗らないほうがいいんじゃないですか?
くだらないイチャモンに聞こえるかもしれませんが、できれば教えて。オリックスの経営者の人。