つれづれなるまま(小浜正子ブログ)

カリフォルニアから東京に戻り、「カリフォルニアへたれ日記」を改称しました。

TPPの行方

2011-11-10 22:22:34 | 日記
この数日、息を飲んで日本のTPP交渉への参加がどうなるかを見守っている。
私の考えは「脱原発、そして」のところで書いたけれど、参加絶対反対。これについては繰り返さないが、アメリカにいると、こちらの事情と併せて見えてくるものもある。
アメリカの景気の悪さ、国内の経済格差の拡大に加えて財政破綻の状況は、ある意味日本以上に深刻だ。Occupy Wall Street Movement はとどまるところを知らず続いて、先週はオークランドで衝突も起きた。このところ毎週、英語の個人レッスンの先生のキャロル(仮名)と、新聞記事を見ながら時事問題を(つたない英語で)議論している。典型的な高学歴中産階級主婦のキャロルにとっても、最近の1%のみに富の集中する経済格差の拡大ぶり―データからは中産階級の消滅の傾向が明らかだ―、議会がトップの富裕な人たちの道具となり、彼らのための制度作りに邁進していること―この前読んだ記事はlegalized briberyとこれを表現していた―等はショックのようだ。こういう状態の中で、とりあえず今はまだいくらか経済力のある日本を収奪する制度を作って、アメリカのトップ1%をますます儲けさせるとともに、99%も少しは潤うと宣伝して、近づく大統領選挙用の得点にしよう、というのがこちら側の思惑だろう。日本のTPPへの参加はアメリカの国益のために必要なのであって、日本のそれなんかどうでもいい(アメリカが大変な時に搾り取れるようにと日本を子分にしているのだから)、というのは、こちらでの当り前だ。
にもかかわらず、日増しに慎重・反対派が増える中で強引にTPP参加を進めようとする日本政府、それを後押しする大手マスコミの破廉恥ぶりはあきれるばかり。交渉参加反対派の議員が過半数になって国会で反対決議が出そうになったら、議事運営委員を入れ替えてそれをさせないなんて、自民党政権の時でもそこまではしなかったように思う。日本でも、アメリカでも、権力者たちのやり方のタガがどんどん外れてきている。きちんと見て対応しないと、本当に危ない。
現在日本時間の11月10日夜、アメリカ時間の早朝。首相は反対の多さを見てTPP交渉参加表明をとりあえず一日延期した。事態はまだまだ予断を許さない。
このブログはあまり激しい政治的意見は書かないつもりだったのだが、どうも今年はそうはいかないことが多い。

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1 コメント

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Unknown (Rako)
2011-11-11 04:17:55
書いていらっしゃることに100%賛成です。99%が潤うかどうか、産業によるのではないかと思います。ミシガン州の上院議員は日本の自動車の関税はすでに無いに等しく、TPPが通過してもアメリカの自動車が日本で売れるようにはならないし、アメリカの関税が減る分日本の自動車はもっと売れるようになるといって反対を表明してます。実はそれもあまり正しくなくて、トヨタの自動車とかアメリカで作られているものが大多数だから、要するにアメリカはTPPの恩恵は受けない。アメリカの農業大企業や健康保険会社は得するでしょう。でもNAFTA以降、たとえばハワイで作られていた農産物がメキシコで作られるようになって、ハワイの農民は大打撃を受けたといいます。TPPも農民にとって負の側面があるかもしれません。あとアメリカの消費者・選挙民にとって、農業大企業や健康保険会社をさらに肥大化させることは、食の質も落ちるし、保守的な政治家が力を持つことにもなるので、良くないのではと私は思います。
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