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JR東海/JR西日本 700系新幹線

2012-03-29 23:56:43 | 電車図鑑・新幹線
老朽化の進んだ0系及び100系新幹線の置き換えと「のぞみ」の増発による高速化のために登場した
車両である。
平成10年~平成18年の間に16両編成×75本=1200両が製造された。
今回は「ひかりレールスター」用のものは紹介を割愛し、東海道・山陽新幹線仕様のものを
紹介する。

製造を担当したメーカーは日本車輛、川崎重工、日立製作所、近畿車輛(JR西日本編成のみ)である。
編成の組み方は博多側から順に以下の通り。

723-0+727-0+726-500+725-0+725-300+726-0+727-400+718-0+719-0+717-0+※
※+726-700+725-600+725-500+726-200+727-500+724

編成記号はJR東海がC、JR西日本がBとなり、量産先行車のC1編成は各車両‐以下の車号に
+9000番台、B編成は‐以下3000番台である。
また、基本番台‐以下3ケタの数字は同一形式で連結位置や客室設備の違いを識別するための
区分番号である。
本形式では1・8~10・16号車が付随車又は制御車で残りはすべて電動車である。
なお、本形式の開発に当たってはJR東海とJR西日本が共同で行っている。

車体は軽量化のためアルミ合金を採用し、騒音の低下を図るため、防音材を入れた
ダブルスキン構造を採用している。
先頭部分はトンネル内から外に出るときに生じる衝撃波を和らげるため、エアロストリーム型と
呼ばれるカモノハシのような形状になった。
塗装は従来通りの白に青帯であるが側面の青帯のパターンが300系と見分けやすいように
上が細帯、下が太帯というものになった、
JR西日本所属のB編成は先頭車側面部に「JR700」のロゴが入る。
また、一部のスペースに「700」と書かれたロゴが貼りつけられている。
行先表示はC編成が字幕式、B編成がLED式である。

車内は8~10号車がグリーン車、残りが普通車という構成である。
基本的に300系の客室レイアウトを踏襲しており、事故や災害などで車両運用のやりくりが
しやすいようになっている。
まずグリーン車は左右2:2配置のフットレスト付回転式リクライニングシートで肘掛と座席背面に
折り畳み式のテーブル、読書灯を備える。
また肘掛部分にはオーディオサービス用のコンソールパネルを備える。
普通車は2:3配置の回転式リクライニングシートで座席背面に折り畳み式テーブルを備える。
C25編成以降およびB編成では各車車端部にモバイル用コンセントを設置した。
車いす用スペース及び対応の便所などは11号車に集約して設置されている。
そのほかのトイレは奇数号車車端部にあり、男子小用、男女共用の和式、洋式が一式ずつの配置で
洗面所も併設されている。
車内販売は通常通りのワゴン販売のほか、7号車及び11号車の車端部に自動販売機のスペースを
設けて飲み物のほか新幹線関連グッズの販売も行っている。
300系で弱かった空調装置の増強も行われ、天井部分のほか、網棚下にスポット空調機を
設けて快適性の向上を図った。
なお、シートモケットの色などがC編成とB編成で大きく異なる。

主制御装置はIGBT式VVVFインバータ制御でブレーキは回生ブレーキ併用電気指令式ブレーキ(電動車)
及び渦電流式ディスクブレーキ(付随車)である。
また緊急ブレーキ時の過走距離を短くするためのセラミック噴霧器を編成両端の車軸に
装備している。
台車は軸箱支持をモノリンク式としたヨーダンパー付空気ばね式ボルスタレス台車で
500系新幹線とはモーター以外互換性のあるものを採用した。
モーターの駆動方式は普通車がWN駆動方式、グリーン車がTD(中実軸)平行カルダン方式を
採用した(C18編成まではWN駆動)。
これまで新幹線ではやや騒音に難があるものの耐久性の高いWN駆動方式を一貫して採用してきたが、
TDカルダン方式でモーターから車軸へ動力を伝える継ぎ手の部分にあるたわみ板の強度が新幹線の
過酷な高速運用でも耐えられるものとなり、WN駆動よりも騒音が少なく、保守もしやすい
後者の駆動方式を採用することができた。
300系で問題となった乗り心地の改善を図るため、先頭車とグリーン車ではセミアクティブ
サスペンションを採用したほか、連結部分に車間ダンパーを設けている。
パンタグラフは編成2か所(5・13号車)にあり、シングルアーム式を採用した。
パンタグラフの周りには碍子カバーと側面に遮音板を設けて風切音を抑えている。
当初、C0編成で採用された「ワイングラス」と呼ばれるやぐらを組んだ上にパンタを置いて
その周りをカバーで覆った形状のものを採用したが、かえって騒音が大きくなることが判明した
ことから300系のものを改良した現在のものに落ち着いている。
運転台は従来車とほぼ同じ2ハンドル方式で右手がマスコン、左手がブレーキとなる。
また、運転支援装置を搭載しており、走行中に得られた各車両のデータを運転台のディスプレイで
モニターすることが可能で整備時の効率性の向上が図られた。

まず先行試作車のC0編成(現・C1編成/700系9000番台)が平成9年に完成し、1年半の試運転の後、
量産車が登場し、営業運転を平成11年より開始した。
主に東京~新大阪・広島・博多間の「のぞみ」への導入が進められ、300系を「ひかり」、「こだま」へ
シフトすることで0系や100系を置き換えていった。
平成18年まで増備が続けられ、東海道・山陽新幹線の主力車両となった。
平成15年~平成17年にかけては東海道新幹線品川駅開業や愛知万博、新幹線開業40週年などを
記念して催された「AMBITIOUS JAPAN」キャンペーンに合わせ、側面に円形のステッカーと
両先頭車へのロゴの貼りつけが行われている。
本形式はN700系が登場するまでは新幹線の決定版ともいうべき存在であり、
現行の「ドクターイエロー」923系、九州新幹線800系、台湾高鐵700T系などの派生形も登場した。
N700系登場後は「のぞみ」から徐々に撤退を始め、「ひかり」や「こだま」の運用に就くようになり、
現在では東海道新幹線と山陽新幹線直通の「のぞみ」の定期列車からは撤退し、新大阪折り返しの
「のぞみ」か、「ひかり」(こちらは岡山や三原まで乗り入れる)や「こだま」の運用が中心と
なっている。
平成20年~平成21年にかけては東海道新幹線の新型ATC整備完了に伴い起動加速度を1.6km/h/sから
2.0km/h/sへ向上させた。
平成23年より一部編成が廃車されたほか、300系の運用廃止に伴う車両の転配があり、JR東海の
C編成のうち9本をJR西日本への譲渡が開始されている。


○グリーン車客室。暖色系の照明が特徴。


○普通車客室。C編成のもの。


○B編成。側面に「JR700」のロゴがある。


○中間車の727-400番台。700系を示すロゴがある。連結部の棒状のパーツが車間ダンパー。
 この編成もB編成で行先表示がLED式となっているのが分かる。


○「AMBITIOUS JAPAN」キャンペーン時の700系。もっとも700系が輝いていた頃だった。


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