水の丘交通公園

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熊本市交通局 5000形電車

2008-08-28 00:11:21 | 電車図鑑・路面電車
昭和51年にラッシュ時間帯の輸送力増強のため、西鉄福岡市内線で運行されていた
2体連接車の1001形電車を譲り受けたものである(※)。

この当時、オイルショックによる石油の値上がりを受けて、昭和30年代後半以降、
自動車交通の邪魔者として扱われ、廃止されていった路面電車の見直しが
叫ばれるようになった。
熊本市でもそれは同様で、利用客が再び増加し、ラッシュ時には積み残しが
起こるほどであったため、昭和50年に福岡市内線の一部廃線で余剰となった
2体連接車を譲り受けることになった。

熊本市では当初、製造年次の新しい別形式の連接車を希望していたが、
それらは既に、広島電鉄や筑豊電鉄に譲渡が決定していたため、
1001形電車の中でも状態のいいものを2両(2編成/1010AB・1011AB)を
最初に譲り受け、5010AB、5011ABとしてラッシュ時に投入した。
この効果は絶大で、ラッシュ時に度々発生した積み残しが無くなり、
好評であったため、昭和53年に2編成を追加した。
この2編成(5014AB・5015AB)は、部品が取られた状態のスクラップとして
譲られたため、それらの復旧と改装を行っている。
また、原型では通常の菱形のパンタグラフであったが、
この2本分からZパンタに交換し(屋根周りの部品などは、広島電鉄などに
売却されて何も付いてなかった)、前に譲渡された2本も交換された。
昭和60年には冷房化を実施している。

登場以来、ラッシュ時間帯専用で、当初は2系統(田崎橋・熊本駅~健軍町)で使用されたが、
上熊本車庫の完成で、3系統(上熊本駅~健軍町)で使用されるようになった。

平成11年に5010ABが廃車されたが、残り3本は現役で、5014ABは平成14年に
塗装を西鉄時代のマルーンとクリームのツートンに変更している。
他の車両はホワイトにドアがグリーンである。

なお、熊本市電ではワンマン運転を実施しているが、本形式と
ノンステップ電車の9700形はツーマン運転で、車掌が乗務している。


西鉄時代の塗装になった5014AB。ちなみに「~AB」とは、2つ車体のある連接車を
1つの車両であることに見做すための記号である。
法律上、路面電車の連結運転が認められてなかったための措置である。


車内。連接部を通るパイプは冷房の風道。

(※)西日本鉄道1001形電車
旧型車の置き換えと輸送力増強のため、昭和28年製造の北九州線1000形を
ベースに、翌年、福岡市内線用に登場した2体連接車である。
北九州線の1000形が多くのメーカーで長期に亘って製造されながら、
通し番号だったのに対し、福岡市内線では、車両の仕様や製造年毎に
1001形、1101形、1201形、1301形と形式番号で分類している。
1001形は昭和29年と32年に合わせて15本が登場。
メーカーは川崎車両で、台車にOK形を採用したカルダン駆動車である。
昭和43年にツーマン化(3ドア以上の路面電車では各ドアで運賃収受をしていたが、
これを乗務員のいるドアのみで行うもの)改造を受けている。
また、現在の5011AB、5014AB、5015ABを含む5本(1011AB~1015AB)は、一時的に
北九州線で運行されたことがある。
昭和50年に、西鉄福岡市内線の第一次廃線と共に、他の連接車と共に廃車となった。


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