水の丘交通公園

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JR九州 815系電車

2008-11-11 23:47:12 | 電車図鑑・JR新系列一般用車両
豊肥本線の熊本~肥後大津間電化に伴い、平成11年に登場した車両である。
鹿児島本線の熊本地区、日豊本線の大分地区でも運用され、老朽化した
国鉄形電車を置き換えた。

編成は、門司港側からクモハ815+クハ814の2両編成で全部で26両が製造された。
編成番号の前に「N」が冠され、第1編成の場合、「N001」と表記される。
車両の転配の絡みでN015編成はN027に改番され、現在はN001~014・N016~027が
在籍している。
このうち、N007~010は、豊肥本線高速鉄道保有株式会社が保有し、JR九州に
貸し出す形をとっている。

製造メーカーは小倉工場製のN026編成を除いて、日立製作所で、同社の「A-train」
システムを、JRグループで初めて採用している。

車体は「A-train」準拠のダブルスキン構造のアルミ合金製で、
乗務員室、客室、トイレなどが、製造工程の合理化のため、
ユニット化されている。
塗装はドアと前頭部の縁と貫通扉に施され、他は無塗装である。
ドアは外側を赤、内側を黄色、前頭部縁及び貫通路は赤色である。
熊本地区所属のN004編成は、熊本駅にオープンした「FRESTAくまもと」の
ラッピング電車になっていた時期がある。

なお、本形式のデザインは、これまでもJR九州をはじめ、
多くのデザイン性に優れた車両を生み出した水戸岡鋭治氏率いる
ドーンデザインが手がけており、平成13年度のグッドデザイン賞と
ブルネル賞を受賞している。
なお、ブルネル賞受賞の記念プレートは大分地区で運行されているN018編成の
クモハ815-18の運転席後ろの仕切りに設置されている。

客用ドアは両開き式で片側に3箇所設置されている。
下り列車(門司港から見て、熊本・八代方面や大分・佐伯方面に行く列車)で
進行方向右側のドアの上にLEDスクロール式の旅客案内装置を設置している。

客席はオールロングシートで、JR九州の電車で初めての採用となった。
しかし、ロングシートといえども、各座席と座布団と背もたれが一人分ずつ独立し、
窓のない戸袋部分にはヘッドレストがあるというものである。

トイレはクハ814の連結面にあり、車椅子に対応している。

客室の窓は全て固定式で、ガラスにUVカットガラスを採用している。
このため、カーテンは設置されていない。

ワンマン運転時に車内で運賃が収受できるように、運賃箱、整理券発券機、
運賃表を運転席後部などに設置している。
ただし、平成18年より、運賃は原則、駅での収受になったため、
現在は使用していない。

台車は従前からのボルスタレス台車で、車輪直径を在来車よりも小さくすることで
ドア部分のステップをなくし、ホームとの段差も極力なくしている。

運転台や走行機器にはJR九州で初採用のものが多い。
以下に挙げると・・・
・IGBT素子使用のVVVFインバータ制御(交流回生ブレーキ・純電気ブレーキ可能)
・片手操作式ワンハンドルマスコン
・定速度制御機構(普通列車用の電車として初めて)
・シングルアームパンタ
・・・である。
なお、営業運転での最高速度は120km/hである。
行き先表示は正面貫通扉上と側面にあり、どちらも字幕式である。

運用範囲は、鹿児島本線鳥栖~八代間、豊肥本線熊本~肥後大津間、
日豊本線中津~佐伯間で、それぞれの区間で主力車両として運行中である。


旧「FRIESTAくまもと」編成。ラッピング跡がくっきり残っている。