歳を重ねると楽しいとか賢くなるとか・・・・みんな戯言なんだよ。

感じるままに、赴くままに、流れて雲のごとし

蛙は自分の住んでいる池の水を飲み干したりしない・・・・

2016-01-31 | 日記

先夜、雨が雪に変わる天気予報もハズレに終わって、激しい雨のなか僕は自由ヶ丘で飲んでいた。

久しぶりに会う彼女は赤いセーターとジーパンという出で立ち。

僕に目を向けるときは笑みを絶やさず、反対の意見を言うときは

必ず僕の言うことを肯定し、励ますかのように語りだす。

励ましにはなっていなくても、否定的であったとしても・・・・

励ましとなってしまう。

 

静かに夜が流れていた。

 

そして二軒目。

ショットバーでありながら、ツマミは工夫されている。

店の内装はほぼマスターの手作り。

一枚板の曲がったカウンター。

ちょっと傾いた食器棚。

古びた柱時計。

小さいけれど使いやすそうなキッチン。

どれをとっても完成度はかなり低い。

 

そうだ、すべからく完璧がいい!ってなことはないのだ。

可愛げがないものに親しみはわかないんだ。

 

で、僕はカウンターに座り上から目線で言った。

「マスター、余市の水割り。」

 

で、マスターは上目づかいで言った。

「下さい!は・・・・・」

 

相変わらずの対応だ。

なんともはや、このレスポンスがとても心地よいのだ。

・・・気分が乗ってくる。

 

なんでもかんでも僕に、「はい!」「はい!」と答える輩に全うな仕事などできたためしがなかった。

 

人は誰しも平等だなんて言わない。

でも、いつだって五分五分でありたいと思う。

相手より劣っていると感じたら努力するしかないし、

負けたくない。なんて思ってしまう。

自分の価値観がベストだなんて思わないし、押し付けがましいのは嫌いだ。

 

店の人間とお客の関係もそんな感じが一番いい。

ヘタに媚びられたり諂われたりするのは好きじゃないんだ。

 

お互い気持ち良く過ごす時間が必要なんだから、それが楽しいのだから

少しは努力しなくちゃならない。

その為に会話がある。

出会ったその瞬間から探り始める。

お互いの心の状況をね。

気分が良いのか悪いのかから始まって。

良ければ・・・・それに乗っかっていきたいし、悪ければ・・・・乗せてやりたい。

そんな気持ちはけっこー傲慢だと思うけれど・・・気質だね。

だから、会話は率直でなくてはつまらないんだ。

 

なんて、言うけれどそう上手くはいかないものだ。

 

だから、僕は初対面の人間は観察してから・・・・

タメ口で喋るか、敬語で話すか、どちらかを選択をする。

ただ時は流れていくし、また会うかどうかなんてわからないけれど、

気分良く過ごす時間が、そんなコトで生まれればいい。

 

もう、時間がないんだ。

そんなに多くは残されていない。

だから、人と過ごす時間は大切なんだから・・・・

相手を選んでしまうんだ。

 

話し相手はそんなに沢山はいらない。いまはもう・・・・・・

関係は濃くても薄くても嫌だ。

ほどほどの関係がいい。

甘えたり甘えられたり、頼ったり頼られたり、

そんなコトが苦痛にならないようにしたいだけなんだ。

 

 


嫉妬は何も生まない・・・・・

2016-01-22 | 日記

午後8時30分。

地下鉄、帰宅途中。

比較的座席は空いていた。

神保町駅から乗り込んできたサラリーマンふたり。

片方は30歳後半、もうひとりは50歳少し過ぎた感じ。

程よい酔い具合で大きな声で喋り始めた。

酔っ払いの与太話など聞く耳もだず。

しかし、僕の耳に否応なしに入ってくる。

 

「どう思います? 〇〇さんのこと・・・・。昇格です。大した仕事してないですよ。」

「そうだよなぁ~。俺も驚いたよぉ~!」

ぶつぶつぶつぶつ・・・・・

 

やかましい!

胸の内で、小さく呟いた。

 

そして、談春の「赤めだか」の一節を思い出した。

それは・・・・「嫉妬心」

 

談春の師匠「談志」が嫉妬丸出しにする彼に向って言い放ったいと一節。

 

「現実は正解なんだ!

いくら世の中が悪い、会社が悪い・・・といったところで何も変わらない。

現実は事実なんだ、

そうなったことには原因がある。それを分析・解明し

処理をすればよいだけなんだ。

 

己が努力、行動もせずその相手の弱味を言葉であげつらい

今の自分のレベルまで引き下ろす。

それを嫉妬と呼ぶ。

 

本来であれば、相手に並び、追い抜くために行動する生活を送れば

解消する。

 

しかし、人間はなかなかそうできない。

なぜなら、嫉妬しているほうが、楽だからだ。

 

現状を認識しろ!

そして、行動するのだ。」

 

なんてことをのたまった。

人間の業の肯定。

それが談志の落語の意味なんだ。

赤塚不二夫とおんなじなんだ。

「それで、いいのだ。」

なんだ。

 

なにも迷うことなんかなく、行動すればいいんだ。

嫉妬心を分析して言葉にする必要なんか、いまのぼくらにはいらないんだ。

どんなバカげた行動にだって意味はある。

気が付かなくてもいいんだ。

 

もし、迷ったり、戸惑ったり、立ち止まってしまったら・・・・

談春や談志や志らくや志の輔・・・の落語を聞けばいい。

そして背中を押してもらえばいいんだ。

 

でも、僕は「赤塚不二夫」を読むよ。

どうしてかって・・・・?

談志が好きじゃ・・・ないんだ。

劣等感をエネルギーに変えるにはある種の邪悪さが伴うからだよ。

 

 

 


好んで独りっきりになることもないけれど・・・・

2016-01-18 | 日記

正月早々に八戸へ行った。

仕事。

なんて言っても大した仕事ではない。

協賛するイベントの立ち合い。

暮れの26日から愚妻と一緒に過ごす時間が多かった。

だから、なんて言うつもりはないけれど、良いタイミングで独りになれる口実ができた。

独りの時間を自分と向き合う時間。

そんな、大それたことを言うつもりはない。

自分自身の発見の旅・・・などとJR東海のコマーシャルに易々と乗っかるつもりなどない。

自己など発見できた試などないからだ。

 

ただ、誰にも気を遣わずに過ごせる時間は尊いのだ。

でないと窒息死してしまうからだ。

社会との関わりは必要なんだと思う。

他人がいて自分がいる。それで安心できるのだから。

良い意味でも悪い意味でも・・・・

 

 

そんなことはどうでもよくて、空気を換えないと気分が変えられない。

単調な日々は安息をもたらす代わりに、煮詰まりすぎる危険も孕んだりする。

東京駅から東北新幹線に乗り込む。

ダウンジャケットを羽織るには暑すぎた。

マフラーもしていたけれどどうにもこうにも、汗が流れ始めた。

汗は嫌いだ。

正月4日だったから空席が目立った。

仙台すぎると僕しかその車両にはいなかったぐらいだ。

実に快適だった。

盛岡まで約2時間半。

ここから先は未開の地だった。

雨が降り始めて、八戸に到着。

そこから二駅行かなければならなかった。

 

しかし、

「青い森鉄道」なんて電車があるとはついぞ知らなかった。

時刻表には1時間に1本のペースしか走っていない。

八戸が終点なのだ。そして、青森まで行くJRの在来線はない。

第3セクターの経営のようだ。

40分の時間を駅の周りを徘徊。時間を潰した。

 

それなりの街のように聞いていたが何もない。

見事に何もない。新幹線の停車場だけのために作った駅なんだろう。

 

そして目的地へ行く列車がやってきた。

雨はいつの間にか雪に変わっていた。

午後の4時少し過ぎたばかり。でももう、闇に包まれようとしている。

空気が澄んでいるのか音の響きが良い。

ホームに入ってくる列車の警笛が耳をつんざく。

どことはなしに、遠くへ来たんだ・・・なんて思った。

 

凍えた空気は身体を引き締めてくれる。

そして、何よりも人を恋しくさせる。

何も満たされてはいないのに、

満たされてしまっているかのように誤解をする。

 

そんなに自分を、

雪降る空を見上げて

情けないなぁ~

と、思った。

 

 

 

 


どうにもこうにも・・・・この時期がたまらなくイヤなんだ?

2016-01-01 | 日記

気分を一新して、区切りをつけて、けじめをつけて、節目だから・・・・・

なんてそんな言葉と空気になじめなくて、ガキのころから、

正月という空気が好きになれずにいたような気がする。

そんなことをおもってもみなかったけれどね、いままで・・・・

今年になって、特に感じてしまったんだ。

静まり返った街路樹。

クルマの轍が確認できる幹線道路。

澄み渡った空気に浮かぶ山々。

公園の池で動かぬ白鳥たち。

無邪気な風が吹き抜ける隧道。

 

なんだか急に寂しくなっちゃうんだろう。たぶん・・・・

日々の騒音の中に身を置いている孤独感は孤立感ではなくて

連帯感なのかもしれないんだよね。

突然、親に突き放されガキのように戸惑いながら

夕方の町をほっつき歩いた頃を思い出す。

でも、なんだかそんな気分がとても好きだった。

その寂しさが好きだった。

世界中でたったひとりなんだ。

そう思う気分が緊張と切迫感を生んだりしてた。

 

しかし、それは、いつでも帰れる家がある。そんな安心感のもとで暮らしていたから得られる・・・

そんなことも充分わかっていんだ。

センチメンタルなんてものは健全な生産性など生まない。

 

まあ、こんな正月ドキに生産性について話している僕はどうかしている。

余りにもすることがないからね。

お正月は・・・・・

 

それでいいんだ。

ただ、かつてのような閑散とした空気が町に流れないから

腹立たしいだけなんだと思うよ。

 

静かに雑煮で食べれば、このひねくれた気分は常人の気分になれるかもしれない。