歳を重ねると楽しいとか賢くなるとか・・・・みんな戯言なんだよ。

感じるままに、赴くままに、流れて雲のごとし

求めれば求めるほどに遠のくものもあれば、求めなくてもやってくるものもある・・・・

2016-12-24 | 音楽

まるで春が来たのではないか?

そんな風が吹いた12月。

僕は四谷の駅から四谷三丁目に向かって表通りを避けて裏通りを歩いた。

背中にギブスンJ-50を担ぎ、手にはエフェクターを下げ、

ちょっと今夜のライブ、ヤバいなぁ~なんて思いめぐらしていた。

そのヤバさと言うのは、落ち着いた気持ちで演奏できないだろうな・・・そんなことなんだけど。

いつまでたっても「人に良く思われたい!」

そんな欲望からは逃れられそうにない。

荒木町に足を踏み入れたころには少し汗ばんでいた。

メンバーの集合時間には早すぎた。

少し時間稼ぎをしなくちゃならないとベローチェへ入った。

席に着いた途端、LINEが来た。

「クルマが混んでいてちょっと遅れそう!」

店のS嬢からの手短な遅延報告。

少しホッツとしてコーヒーを飲み、心を落ちつけようとLOWDOWNの歌詞を見直した。

全く頭に入ってこない。

そして、記憶として身体に浸みこまない。

焦りが自己確認できるまでになってしまったようだ。

 

こんな状態でできることと言えば放棄すること。

何もかも放り出して逃げ出すのだ。

心が、そう叫んだ。

 

しかし、それはできない。

そう、僕の復活ライブなんだから・・・・・

ライブだなんぞと言ったって素人のバンド演奏。誰が期待し喜んでくれる。そんなこと想像外。

時計は4時を少し廻ったところ。

冬至を超えたので、夜の闇が急ぎ足でやって来た。

ステージにたつまであと3時間。

 

ここにずっといるわけにもいかない。

ましてや家に帰るわけにもいかない。

 

生まれて初めて地上10センチくらいの処を歩いているような気分になった。

 


何をしていても何を考えても・・・空回りする。そんなときは

2016-12-02 | その他

新潟に行ったり、札幌へ行ったり・・・

全てが日帰り。

仕事なんかするものじゃない。

 

いったい何処に行けばいいのか?

そんなことは考えもしない。しかし、見知らぬ土地へ出向いても、この町に住みたい!

そんな事を思うことがなくなってしまった。

 

素振りだけが哀しそうに見える男になんかなりたくはない。

 

新潟で見かけた。萬代橋の袂で、信濃川を漫然と眺めているだけ、

河に飛び込む気配はない。でも、危うい感じが溜まらなかった。

邪気が渦巻くその雰囲気に取り込まれそうになった。

一声かければ、精気を吸い取られてしまいそうな、そんな気配。

 

僕は思わず息をのみ、呼吸をやめた。

そう、悪魔の気配。

僕は天使じゃない。狙われているような殺気は足元からやってきた。

身動きができないようになる前にあとずさりをはじめた。

背筋を流れる冷たい汗に身を乞込めながらこの場所から離れようとした。

しかし、もう遅かった。

彼は僕の方を見て微笑みを投げた。

そして、一歩仁保と僕の方に身を寄せ始めた。

心臓が跳ねた。

 

 

静かに目を閉じるだけが精いっぱいだった。頭の中が空っぽ。

考えることをやめた。