歳を重ねると楽しいとか賢くなるとか・・・・みんな戯言なんだよ。

感じるままに、赴くままに、流れて雲のごとし

あの頃と変わらぬ景色。そして人々は…

2018-10-30 | 旅行
急ぐ旅ではなかった。
安曇野への道はなだらかなカーブが続き、稲なのかわからないが刈り取りが終わった田んぼは金色一色。紅葉が始まっていたけれど完璧ではなく見すぼらしい。
カーナビを頼りに蕎麦屋を探した。カーナビは便利。しかし、道を記憶にとどめなくなり帰り道がわからなくなる。無精者の僕にはもってこいの機械なのだ。
やっとたどり着いた蕎麦屋には行列が出来ていてほぼ一時間待った。多くの人たちは文句も言わずひたすら待つ。これほどまでに待たされたのだから…美味い蕎麦が食べられる。勝ってな思い込みはいつだて裏切られるんだ。出された蕎麦には香りが無かった。山菜と海老の天ぷらは限りなく硬く草加煎餅のようだった。待つ客と帰る客の顔色を眺めて僕は不躾ながら愉快な気分になった。
観光ガイドブックに掲載された食い物屋のダサさがそこにあった。あとで聞いた話だけれど、地元で美味い蕎麦屋と言われる店は全て休店だと聞かされた。行き当たりばったりの旅。だから仕方がない。それもひとつの愉しみだと諦める自分が情けなかった。

気を建て直し、今宵の宿を目指してエンジンボタンを押した。

旅の終わりはいつだってありきたりで…

2018-10-25 | 旅行
長い時間をかけたわりには成果を生み出すことがなかった。自分自身の不甲斐なさが招いた結果だったし、何よりも真剣に取り組まなかったとしか言いようがない。なにもかも、年齢のせいにして逃げ抜けるのが一番いい。そして、僕は旅に出た。前から誘われていた従兄弟が暮らす金沢へ車を向けたんだ。照れ臭くて真っ直ぐに金沢へ行かずに白馬へ寄った。圏央道から中央道へ走り込み長野で降りた。諏訪湖で親しくまないけれど僕を慕ってくれた彼女の顔を見ようと思いを巡らした。しかしやめた。未練は未練でしかなくもう一度復活の空気を誘い込むほどの気力はなかった。
そう言えば今まで無我夢中で惚れたおんなはいたんだろうか?いや、おんなに限らずのめり込むものなどあったんだろうか…そんな考えが繰り返し頭の中を駆け巡り運転を誤りそうになった。昨夜はよく眠れなかったことを思い出してPAで少し眠った。黄色いワンピースを着た彼女が出て来てぼくの手を胸元にたぐり寄せ涙で溢れた目で僕を見つめていた。そこで、
目が覚めた。
夢と現実の区別がつかない夢。
もう、懲り懲りなんだと思わず声に出してしまった。秋の日差しは晩秋の匂いを運んできていたし悪夢へと誘いこんでいる。
もはや、そんな安っぽい手管には乗らない。
ぼくは思いの外強くアクセルを踏み込んだ。


悪口を言われるのは慣れてると思っていた。けれど…

2018-10-18 | その他
運河の川面に中途半端な高さものビルが写って夕焼けが優しく包み込んでいた。気持ちは凹んでいて自己嫌悪を立て直す方法が見当たらない。そんな気持ちを見事に隠し切ったつもりでも足取りの重さまでは気が回らなかった。
そんな気持ちを感知せずに「セミナーの席につかせてくれ!」と彼はの賜る。僕は自分でやれよ!と心な中で叫んだ。
上司でも部下でもない関係でこの仕事をやり続けてきたはずだ。そう、一体感はヒエラルキーの中で生まれない。やらす奴とやらされる奴。そんなことはありきたり日常的に繰り返されている。其れを埋め尽くすために給料が存在するし、うまくいけば友情さえも生まれたりもする。
口先だけでいい仕事はできない。

思いは遥か彼方、虹は出なかった。
僕が目にしたものは暮れなずむ運河とそこに映るビルと夕焼けだけだった。

まあ、それで充分なんだけど。

しくじりのあとに残された気持ちを整えるのは…

2018-10-10 | その他
この歳でイベントの仕切りをすると言うのはとてつもなく気が重い。
抜き差しならないシーンを目の前に、拒む事を逃げ出すこともできない。そう、よくあるパターン。気乗りのしない事柄に首を突っ込んでデカイ顔をするなど浅はかな考えなんだ。結果は見えている。しくじった。若いうちの叱責は糧となり次に繋がる。しかし、取り返すチャンスなど無いに等しい歳では、そんな仕事は差し控えるべきなんだ。若者への対抗意識などは、もはや活力になることなどほぼないからだ。
やれるけるど敢えてやらない。
それが老人の仕事に取り組む正しい姿勢なんだろう。身に染みる後悔。無念。嫌悪は楽しいはずの残り少ない時間に水を指すことになる。危険を察知し近づかない。危険なことをすればするほどに周りに迷惑が掛かる。

現役のころ。オカマバーのママに言われた。
「あんたがいくら頑張ってもあんたの悪口を言う奴は必ずいるのよ。それを分かってないといけないの。そんな奴の言うことを聞いてばかりいてはダメ!まるで逆じゃない。」

信念が大切ということなのだ。
間違いであろうがなかろうが、いいと思ったことを簡単に覆してはいけない。
貫き、やってしまえばいいいだけなんだ。


反省はそれくらいにしておこう。
でないと楽しいはずの時間がたのしくなくなっちゃう。気乗りのしない仕事には手を出さぬこと。
それが僕の信念だからだ。いや、信念にしてしまおう。これからを笑顔で生きるためには…。

そして、
悔やまず、恨まず、笑顔を忘れず。
なのだ。