みなさま、ご機嫌いかがでしょうか?
ミニボートフェスティバルの前日、仕事が終わってから用意していたら、
いつもならもう終業している時間に来客がありまして、
「BF50Dを使っているのですが、〇〇(遠方)まで修理に来てもらえないで
しょうか?」とご相談です。
う~ん、その地域はいつも、大先輩のMさんを紹介しているのですが、
今回は調子が悪いとのことで、Dr-H(パソコン診断機)が必要になるかもで・・・
私が自ら行くことにしました・・・・
3:30に出発して、下道&山道を延々と走ります。
まだ暗い山道はどこか寂しく、お化けが出たらどうしようとか考えていると
「ああっ・・・アアアアあああっ・・・あああ」
何かやけにほっそりした2本足の人物が道路の真ん中に立っています。
「やってもした~見たらアカンもんを見てしもた~」
小人で、頭がとんがっています。
「あああ~」
CR-V君が近づくと、ピョンと飛んで右側によけて・・・
正面から見たら、小鹿はケムラー星人みたいに見えるんですね。
私もとうとう「ムー」の世界にいってしまうかと、びっくりしました。
その後もビクビクしながら峠を越えて、日本海が見えてきました。
海が荒れてるなぁ、試運転できるかな?
現地に到着です。
早速陸上試運転しながら、Dr-Hでスキャンします。
お客様は900時間以上お使いですが、トラブルの履歴はありません。
ついでにインジェクターチェック(Dr-Hで指令して、1気筒ずつ順番に
インジェクターを止めて、その瞬間わざと回転を不調にする。
不調にならない時は、元々そのインジェクターは死んでいる)と
点火のチェック(わざと順番に失火させて・・・・上記と同じです、なので
最近は診断機が無いと、修理が出来ません)を
しますが、問題はありません。
いろいろと目視でチェックして、不調の原因らしきものを
1つ見つけました。
「ああ、ここは部品を持ってきていない・・・・再度来ることになるな」
事前にオーナーとは、2回になることを覚悟してくださいと
伝えています。
修理とあわせてご依頼いただいた定期点検を同時進行で
はじめます。
そうそう、本社のM嬢が、今まで個別に対応していたホンダ船外機の
消耗品の通販コーナーを作ってくれました。
今までは修理中に油だらけの手で受話器を持って
「はい、入りますよ、値段は・・・えっと」とやっていたので
これからは助かります。
まだまだ発展途上ですが、興味のある方は、覗いてみてください。
http://www.hondamarine-hanbai.com/html/
お問い合わせや来店でのご注文の多い、ヤマハ、トーハツの
修理パーツも順次アップしていきます。(と、思いますが・・・・)
さて本題にもどって、つづきです・・・。
(画像をクリックすると、拡大します)
右から1番2番3番です。
2番が黒いのがわかるでしょうか?
いくつか原因が考えられるのですが、このエンジンのスパークプラグ、
3本とも締め付けトルクがユルユルで、2番はすでに緩んでおり、
3番は手で緩む程度で・・・・OHコワい状況です。
スパークプラグの締め付けが弱いと、熱を持ってしまって、
最悪、溶けてシリンダー内に「ポロッ」とかあるそうです。
インテーク側のアノード(防食亜鉛)は、このBF50D/40Dはこのように
簡単に交換できます。
陸置艇でも、これだけボロボロです。
キャップはOリング又はキャップ&OリングのASSYを交換して、
耐水グリスを塗って、戻してください。
燃料フィルターも点検します。
携行タイプの燃料タンクの方は、このような汚れが多いですね。
特にEFIエンジンは汚れに敏感です。ご注意を!
サーモスタットも点検します。
これなら交換しても、バチが当たらないでしょう?
今度はウォータージャケット側の内部アノードの交換です。
陸置なのですが・・・思ったより・・・・汚れていて、朽ちています。
清水洗浄の水圧が低いのか?
このアノード比較的簡単に交換できます。パッキンも同時交換です。
度々交換したほうが、すぐにネジも緩んで、楽です。
高圧側のベーパーにくっついている燃料フィルターです。
こいつはいつも、どのエンジンも真っ黒です。
ろ過する目が細かいのでしょう?
最後の砦ですので、がんばっています。皆さんフィルター君に
拍手を・・パチパチパチ♪
さすがに陸上艇なので、あまり減っていませんが、オーナーの希望
ですので、交換します。(良いことです)
プロペラ/シャフトの点検と、グリスアップです。
久しぶりに釣り糸を巻いていません。このエンジン。
お次はインペラー/キーなどの点検です。
インペラーのキー(キーウッドラフ)も、このタイプは、当たり面が
片減りすると遊びが多くなるので、点検して減っていたら、安いものなので
交換してください。
さあ、とりあえず消耗品交換を終え、不具合箇所のチェックをしたので、
試運転します。
う~ん、予想より調子が悪いですね。
見つけていた部分以外にも、不具合があるようです。
再度帰港して、スロットル側のリモコンケーブルをシビアに調整します。
調整の余裕があまり残っていません。
リギング時にリモコンBOX側の詰めが少なかったのかも・・・・・
ギリギリ調整できました。
次回は・・・・・ありません(BOX分解orケーブル交換)
あと、燃料系も、おかしいと思うのだが・・・・・・・
電気系の不調もあって、たまに症状が出るので、見分け難しく、
頭の中で、理論と理論がぶつかって、どちらか迷います。が、
夕方までに犯人を見つけないと、真っ暗になって、
ケムラー星人よりコワいのを見るのも御免ですから、
立ったまま昼食のジャムパンをかじりながら、サービスマニュアルと相談を
します。(エラーが無いのでパソコンは横で静かに見守っています。)
いくつか推理し、分解/実証します。
つまり、燃料入り口~インジェクターまで順番にバラバラにして、
可能性の高そうな順番ではずして、詰まりを確認します。
・・・・・・・・ベーパーセパレーターも分解しましたが、きれいなものです・・・・・・・・
ケムラー星人が頭をよぎります。
「ブルッ」と寒気がします。
ひょっとして・・・・来たとき一度点検済みの、フューエルコネクターを
再度点検します・・・・外れません・・・・・外れません・・・
洗濯ばさみを指で押さえられず・・・・・ということは・・・・もう、外れている・・・・
引っ張ると「ポン」と、簡単に・・・
やられました。ここからエアを吸っていたのでしょう。
再度試運転します・・・答え合わせです。
電気系の不定期な発作&スパークプラグの締付けトルク不足&フューエル
コネクターの接続不良(これは、私だけ?オーナーも以前から)&スロットルケーブルの
調整不良が複合的に重なって、回転不良になっていました。
よく「エンジンが吹けないのですが、どこが悪いでしょうか」と聞く方がおられますが、
原因は一つとは限りません。
私の尊敬する先輩達も、ベテランほど「診て見ないとわからない」と言いますが、
それが「真理」なのです。
初めは3500~4500rpmまでしか回らなかったBF50Dですが、
電気系の症状が治まっているときは5000rpm~6000rpmまで回ります。
これで、完全に絞り込めました。
頭の理論と、体で感じているものが一致しました。
四国のプロフェッサーYに電話して最後の答えあわせをします。
遣り残しがあると、恥ずかしくて聞けませんから。
「(電気系の)部品交換するしかないね~」
残念ですが¥2,800-の部品が追加になります。
帰って、上架してエンジンを洗って、タッチアップペイントと
グリスアップをして、収納します。
今度は部品が入り次第、また交換に来ることになります。
出来れば、オーナーに確認していただきたいので、日を合わせられればと
考えています。
さて、明日は休日出勤で、GPSの取り付けです。
先週土曜日、ミニボートに出るため休みましたので・・・・
FRPの加工があるので、1日掛かると思うのですが、
オーナーは「オイル交換の仕方を教えてほしい」と
言われていますが・・・・余裕あるかな?
最悪、超残業になったらオーナーにも一緒に「ケムラー星人」が出る時間まで、
居残りをしてもらうことにしましょう。
一人では、怖いですしね・・・・・・・。